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セクハラは許しません

「イカ臭い手でセクハラすな!!!」


ズバンッ!!


しばらく掴まれて引きずられていたが、掴んでいる触手を『労働組合相談クロウ』で切り落とすと、刺さっていた骨も消えて霧散した。


一応自由の身になったが、海底は何も見えないほど真っ暗だった。


俺を掴んでいた触手すら普通では見えないほどの暗闇。


"真紅の瞳"を発動しなければ泣きたくなるほどだ。


赤く光るイカは再び俺を捕らえようと触手をゆらゆらと動かし、さらに巨体をぐるぐる旋回までしておちょくっている始末。


(んの野郎……!)


俺は真紅の瞳でイカをさらに観測する。


「ん?」


すると、イカの眼の中央あたりに、コアのようなものが光るのが観えた。


そして、その光の玉からいくつもの血管のようなものが伸びており、イカの全身に張り巡らされている。


(……これが"魔王の芽"か?)


なんだかよくわからないが、こいつがイカ刺しになる運命に変わりはない。


俺はゆっくりイカに向かっていく。


それに気づいたイカは、8本の足をガバッと開き、俺を掴もうと迫ってきた。


「あたりめ確定ゲソ落とし!」


高速の足を避けつつ、1本、2本と邪魔な足を切り落として中央に向かっていく。


ーー3本。


ーーー4本。


ーーーー5、6、7本。


そして最後の8本目の足を切り落とした瞬間、巨大な口が開き、巨大なおろし金のような歯で俺を捕食しようとしてきた。


(怖っ……!)


さらに大量の水を吸い込んで俺を引き込んでくる。


そんな口を突き出して迫ってくるイカに向かって俺は言い放った。


「接吻までしようとすんのかい」


体格差を利用した許されざるセクハラ行為に俺は憤慨する。




左手を構えてぶった斬ってやろうとしたその瞬間、イカの動きが止まった。


「せんのかい」


「ゴォォォォォォ」


イカは大口を開けたまま硬直したが、よく見ると口の中に巨大な空気の玉が入っており、空気圧で口が閉じられないようだ。


真紅の瞳で上を見ると、メイジーがイカに向けて空気玉を放ったようだ(?)


「イカに向けて……?」


結果オーライではあるが、俺はこの魔法の意味がよくわからなかった。


この瞬間までは。



プ、プシュッ……。チョロチョロ。



何やら不穏な音が漏れたかと思うと、俺を包んでいた空気の膜に小さな穴が開いていた。


そこで俺はイカの口の中に入っている空気玉の意味を理解した。


「それ、俺んだ!イカ野郎!!!食ってんじゃねぇよ!!!」



ーーー追加の『水の中歩けるヤツ』。



恐らく、この魔法の継続時間が過ぎそうになっていることを察知したメイジーが、空気玉を"俺に向かって"放ったのだ。


それをイカが俺を飲み込もうとする勢いで吸い込んでしまったようだった。


「あ!よせ!!」


パァァァァン!!


そして無情にも、『水の中歩けるヤツ』は破裂した。


ゴポゴポゴポゴポ……。


その間にも俺の膜の中に水が入ってくる。


「あっ!ヤバいよヤバいよ~~!!お前はバカか!?」


こめかみに人差し指を当てて、リアクション芸人のように動揺する。


そんな俺に対し、イカは再び大口を開けて吸い込みを開始。


「ゴォォォォォォ」


「フリとかじゃないから!!やめろ!!!」


俺は大声で抗議したが、空気はどんどん減り、俺のコートはビシャビシャになってしまった。


ーーージュッ。ドプンッ!


そして、空気の膜は全て消失。


結局、水に潜るハメに。


お触り、接吻に加えて、服(空気)まで脱がされた俺。


(許されることではない……!)


俺は相変わらず吸い込み続けるイカを睨みながら、左腕にエネルギーを集中した。

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