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巨大イカの触手で海底まで引きずり込まれる

「改めて見ると……デカッ!」


目の前に戦艦のようなサイズのイカがいる。


「お、大きいですわ……。これはもしや……」


「………?」


メイジーが目を見開いて言った。


「ギガントプラーケンかもしれないですわ」


「ギガント……?」


メイジーは語り始めた。


「ええ。"ギガントモンスター"という魔物がいるのはご存知ですか?」


「ああ。デカいやつね」


俺はこの前倒したカニのことを思い浮かべた。


「世界各地には不特定のモンスターが巨大化する事例が多く報告されています」


「そうなんだ」


「ええ。どのモンスターとは決まっていないのですが、ある日突然巨大化するそうです。そして……」


「そして?」


「その体の中には"魔王の芽"が埋められていると……」


「"魔王の芽"?」


俺は耳障りの悪い言葉に思わず聞き返した。


「はい。その芽を何かの拍子に魔物が取り込むと、巨大化したり凶暴化したりするそうなのです」


「なんだそれ」


「それ自体がどういうものかはわかりませんが、とにかく危険なもののようです。ですが、見た目は水晶のように美しいとも言われており、魔物すら惹かれてしまうとか」


俺はカニをぶった斬った時に落ちた水晶のようなものを思い出した。


「げ……それって……」


俺は懐からテニスボール大の"ソレ"を取り出した。


見た目は確かに美しいが、"魔王の芽"と言われてから見ると途端に気持ち悪くなった。


「あ、あの……それは……?」


「あ、ああ。すまん。これ、ギガントクラブっていうデカいカニを倒したら出てきた玉なんだ」


そう言ってメイジーに近づけた。


「きゃっ……?!これは……!!これはヤバいやつですわ!!あなた、よく持っていられますわね!」


そう言うとメイジーは海中で俺と距離を取った。


「え、なんで?」


俺は腕を伸ばし、玉を前に出してメイジーに近づく。


「こ、来ないで下さいませ!!そんな邪悪な魔法力がむんむんの物、見たことありませんわ……!!」


明らかに俺から逃げ出すメイジー。


俺は話を聞いてもらおうとイケメン風に追いかける。


「おい!ちょ待てよ!」


「きゃぁああああ!!来ないでぇええええ!!」


「ちょ待てよ!」


イカの真横で追いかけっこをする2人。


しかし、そんなことをイカが黙ってみているはずはなかった。


その瞬間、イカの眼が俺たちを捕捉した。


ゴゴゴゴゴゴゴ……。


そのままギガントプラーケンはゆっくり海中深くに潜っていく。


しかし巨大イカは少し動いただけで、小さな津波を立てるほど。


海中から見上げてみると、海面の船が大きく揺れているのがわかる。


(カトリーナは多分また吐いとるな……)


そんなことを考えた瞬間、イカの触手が俺の体を捕らえた。


「な、なに……!?」


慌てて逃げようとするが、吸盤に捕獲用のキモい骨が付いていて俺の肩に突き刺さって取れない。


(くっ……)


「あ、ああ!!」


メイジーが驚きの声を上げたが、イカは俺を掴んだまま巨体に似つかわしくない速度で海底にビュンッと降りていく。


俺はその勢いのまま、深海まで引きずり込まれて行った。

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