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プーチューパーサタンの『入りの挨拶』

外に出ると、カトリーナが開口一番に言った。


「よし、サタン!"カトサタンおんえあ"の企画スタートだ!」


「企画?」


俺は怪訝そうに問い返す。


「そうだよ!『ピッピンプンスカ教会の闇を暴いてみた』って動画!」


「冤罪だったら完全に名誉毀損だろ……」


満点の星空を見上げながらツッコむ。


「今回はライブ配信じゃなくて動画にするよ!」


「へーへー」


俺は適当に返事をすると、首をコキコキ鳴らした。


どうやらギガントクラブ狩りの疲れが今になって少し出てきたようだ。


「サタン、疲れた?」


「ん?あぁ。長時間働いたから精神的に疲れた。カニも食ってお腹いっぱいだし。今すぐホテルのシーツにくるまりたい」


「よし、じゃあとりあえずプニパンの宿に行って休もう!」


「ああ」



そう言って夜を駆けるカトリーナ。



「くっ……」


一瞬、現実世界での嫌な過去がフラッシュバックする。


彼女と同じ名を持つ女性との悲しき記憶。


未だ癒えぬ心の傷が開きそうになったが、慌ててその記憶を振り払う。


(カトリーナ……)


そんな俺の葛藤はつゆ知らず、土を蹴ってパタパタと走るカトリーナはクルッとこちらを振り向くと、笑顔で言った。



「あ、そうだ。宿着いたら企画説明の動画だけ撮るからね」


「いや今日はもういいよ!!」


俺の不満が静かな夜に響き渡った。 







「皆さんどうもこんにちは!カトちゃんと………」


「不死身のサタちゃんですッ!!誰か俺を殺しておくれよーーー!!」


「……………」


「……………」


「………………ぷぷっ」


「………おい」


「ぷはははははははは!!!」


「おーーーいーーー!」


「いや!サタちゃんごめん!!めっちゃ大きい声でやる気に溢れてたから!!ぷはははは!!」


「お前が特徴的な挨拶考えろとか言って10回もリテイクさせたんだろうが!!」


翌朝、宿屋の一室で俺とカトリーナは『ピッピンプンスカ教会の闇を暴いてみた!』という動画の挨拶部分を撮影していた。


戦闘中のライブ配信で顔は割れているものの、動画で喋るのは初めてだったため、少し緊張する俺。


ポーポー公爵に向かって、しどろもどろになりながらボソボソ挨拶する。


しかし、そんな俺のローテンションな自己紹介が気に入らなかったカトリーナによって、すでに11テイク目に突入。


段々とイライラしてきたカトリーナが叫ぶ。


「もう何でもいいから、大きな声で挨拶しなよ!」


そんな怒りを目の当たりにし、このままじゃ終わらないと判断した俺は、普段出さないような大きな声で自己紹介したが、それがツボにハマってしまったようだ。


「『不死身のサタちゃんですッ!!誰か俺を殺しておくれよーーー!!』ぷはははははは!!」


「うるせーよ!!」


その一部始終もポーポー公爵はジッと撮影していた。

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