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異世界には無い最強の吸血鬼の力

「おじいちゃん……」


その扉の隙間に幼い少女が顔を出した。


「おぉ!ソフィー。どうしたんだい?眠れないのかい?」


ガリレオは見せたことのないデレデレとした表情で波目の笑顔になると、少し屈んで両手を広げた。


パタパタパタ、とスリッパを鳴らしてガリレオの腕の中に向かって走る少女。


「おじいちゃん……。一人で寝てたら怖くなっちゃった。ご本読んで……」


「おぉ~。なんということだ……。わかったよ。おじいちゃんと一緒に行こうね」


その様子を黙って見ていると、ガリレオは短く一言放った。




「帰れ」




「急展開過ぎるだろ!」


俺たちは一服する暇も無く、帰ることを余儀なくされた。


玄関まで階段を降りて行く途中、2Fの居間から孫を抱いたガリレオが言った。


「そうだ、もうひとつ」


俺が振り返ると、ガリレオは「いや、まぁどうでもいいことではあるんだが……」と前置きしてから俺に聞いてきた。




「お前は、"なん"だ?」




最大限、言葉を選んでの質問だったと思うが、この世界のことをよく知らない俺は、それに対しての答えを持ち合わせていない。


また、"吸血鬼"だと言っても、一般的なイメージとは違うとか、色々と説明が面倒くさく、この世界に変な伝承があったら血を吸われるとか不安を与えかねない。


そうなると仕事にも支障が出るため、適当に流すことにした。


「美男子」


「……ふん。隠しおって。……だが、それは誰もが思うはずだ」


「美形であると?」


俺は髪をかき上げながら聞く。


「お前の戦闘動画を見たが、まず魔法無しで空を飛べる人間はこの世にいない」


「え、そうなの?」


「当たり前だ。飛空魔法も上級魔法だ。そんなことも知らん辺り、この世界の住人ではなかろう」


「い、いや……」


「それから、ギガントクラブを両断したあの赤黒いエネルギーだが、あれは地水火風と光闇、そのどの属性とも違った。……そんな芸当ができるのは……」


「……できるのは?」


「……魔王級モンスターだけだ。それも最上位の」


「いや~、それはないわ。俺はそんなんじゃないよ」


魔王と嫌な響きを聞いて、俺は即座に否定した。


「……わかっている。魔王級モンスターがこんな所で金のために老人の依頼を受けている訳が無い」


「だよね」


「それに、私も一度"ソレ"を見かけたが、身の毛もよだつほど禍々しかった。……お前にはそういう"魔の気"は感じない」


「むしろ超絶美男子でありながら、小動物のようなチャーミングさも感じる中性的な"韓流アイドルのような気"だよね」


「いや、多分違う」


「わかんないのに否定すんなよ!」


「まぁとにかく、そんな特殊なお前が動画で目立った以上、帝国、ハンターなど、魔物以外の敵も多くなるだろう」


「まぁそんな奴らが来たら、キレのあるダンスを見せつけてやるだけだ」


俺のしつこい韓流アイドルジョークは完全無視してガリレオは続けた。


「まぁ何にせよ依頼を達成してくれれば良い。詮索して悪かったな」


そう言うとガリレオは孫と一緒に寝室へ歩き出す。


その背中に向かって俺は言った。


「じいさん。話からするとあんたの娘さんは生きてるんだろ?」


「…………ああ。そのはずだ」


「だったら安心しろ。その子のためにも、必ずここに連れてきてやる」


ガリレオは振り向かなかったが、孫は肩越しにこちらを見ていた。


「…………」


「ま、とりあえずそのエーギル大司教が黒だったら、ペペンとかいう神の銅像でお尻ペンペンしてきてやるから」


「……ふん」


ガリレオは鼻で笑うと、少し満足気な背中で寝室に消えていった。

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