戦闘中のライブ配信でチャンネル登録者が1000人増える
しかし、俺が近づいた瞬間、ギガントクラブはキラキラ輝き、そして体全体が霧散して消えてしまった。
「え!?な、なんで!?」
カニはいなくなり、その代わりに野球ボールくらいのクリスタルのような"結晶"が落ちていた。
「何これ!?いらな!!」
俺はあまりの事態に動揺し、三半規管は正常に作動しなくなる。
「俺のカニしゃぶは!!?」
「魔物は食べられないんだよ!だからさっき教えてあげようと思ったのに!」
カトリーナが後ろからこづいてくる。
「そんな!!カニ道●になんて説明すれば良いんだよ!!」
「知らないよ!それにしても……」
カトリーナはちょっとウルウルした瞳で俺を見た。
「ちょっとカッコよかったぞ!この野郎!」
「ふん……」
"カニしゃぶを食べる口"になってしまっている怒りをどこにぶつけていいのかわからないまま、俺は鼻で笑った。
「皆さーーん!な・ん・と!!サタン氏がギガントクラブ狩りを達成しました!!!」
カトリーナが叫ぶと、ポーポー公爵の目がコメントの嵐になる。
『サタンやば強ぇ!!』
『意外とカッコいい!』
『ギガントモンスターの討伐とか初めて見ました!!すごい!!』
『合成乙』
『カトちゃんねる、チャンネル登録確定!!』
皆一様に盛り上がっているようだった。
「サタン!ヤバい!登録者が一気に1000人増えた!!」
「はいはい」
そんなことより俺は晩飯のメニューをどうするかで頭がいっぱいだった。
そうしてギガントクラブを討伐した俺たちは、ギルドから報酬を得るべく、プニプニパンパン港へ戻っていた。
しかし先ほど海賊船長デューとやらかしたケンカの一件があるため、街に入る前に丘の上で安全確認を行う。
「おい、カトリーナ。バッドボブ海賊団の奴らいないよな……?」
俺は双眼鏡で街を偵察するカトリーナの後ろに隠れて確認する。
「うん。船も無いし、一味もいなくなってるみたいだよ」
俺は「はぁ~」と息を吐いて安堵した。
「あ、さっき大破させちゃったあの店は?」
「えっと……」
カトリーナがフルーツジュースの露天を探す。
「あっ!なんかすごい豪華なお店になってるよ!!」
「なんだと!?」
俺はカトリーナから双眼鏡を奪うと、露天を見る。
すると、キラキラした装飾が施され、トロピカルなフルーツがいくつも置いてある豪華なお店に変貌していた。
「もしかして、さっきの船長が用意したのかな……」
カトリーナが呟く。
「マジかよ……」
もしそうだとするなら、あの海賊団は普通の悪党とは一線を画す存在だ。
一般市民からの支持が厚い集団だとしたら、下手に対立するのは余計に得策ではない。
俺はまたもや「はぁ~」とため息をついた。
「とりあえずパブに行ってみよう。今夜のお前は英雄なんだ!」
カトリーナに促されるまま俺は歩き出した。




