物語史上初めて死亡フラグを回避できたザコ
「さて、ビチ蜘蛛。なんで俺らを襲ってきたか教えてもらおうか」
ビチ蜘蛛こと、スパイダーマンこと、蜘蛛男が先ほど目を覚ましたので、尋問していた。
動けないように手足はジョウチンが縛っている。
「ビ、ビチ蜘蛛ってなんだお!?おでには『キンタ』っておっ母が付けてくれた名前があるだお!!」
「下ネタかよ」
「し、下ネタじゃないお!いつも兄ちゃんたちは『キンタ負けるな!』とか、『キンタ守って!』とか、良い名前だからみんな『キンタ』って呼んでくれるんだお!」
「『キンタ負けるな!キンタまけるな!金玉蹴るな!』だな」
「ああ。『キンタ守って!キンタまもって!金玉持って!』だよな。なんで金玉持たないといけねぇんだよ」
「ビチ蜘蛛、やっぱ下ネタだよ」
「ググケケ……。バカにしやがって……!」
「バカにしてんのはお前の兄ちゃんだろ。いいからなんで俺らを襲ったのか言いなよ」
「い、言うわけないお……!言ったらエーギル様に怒られてしまうんだお……!」
「エーギルに怒られるって言っちゃってんじゃねぇかよ」
「ひっ……!お、おではそんなこと言ってないお……!」
「ふん。まぁいいや。……で?俺らを捕まえられたらどうするつもりだったの?」
「そ、そんなの知らないお……。ぜ、全部エーギル様が決めるんだお……」
「なんだそれ。じゃあお前は何も知らずに俺たちにケンカ売ってきてたわけか」
「そ、そうだお……」
「その割にはあたしのこと執拗にぐるぐる巻きにしてくれたよなぁ~!?そのうんこ臭ェ口から吐くゲロ糸でよぉ~!!?」
「いや、口悪過ぎだろ!」
ジョウチンがツッコんだところで、何か嫌な気配がした。
「この後の相場ってさ。確実に決まってるよね」
「いわゆるお約束ってやつだよね」
「死亡フラグってやつか」
俺たちは顔を見合わせる。
「じゃあ、あと一息、核心に迫ることを聞けばそれがトリガーになるんじゃない?」
カトリーナが笑顔で言った。
どうやらキンタへの恨みは根深いようだ。
「そうだな。じゃあキンタ。最後に聞く。俺たちの仲間であるメイジーとクロエの行方を知らないか?」
「し、知ら……」
「キンタ。お前はよく頑張ってるぜ。不条理なエーギルの命令もしっかり命張ってやってる。そんな漢気のある野郎は珍しいと、俺は思うぜ」
ジョウチンが適当なことを言う。
「お、お前ら……。うっ……うっ。おでも頑張ってるんだぉ……。わかったお……。お前らになら、話しても良いお……」
俺は真紅の瞳を発動した。
「あの女2人は、エーギ……」
ガギィィィィィィイイイン!!!
ーーーその瞬間、キンタのこめかみ目がけて巨大な黒槍が飛んできた。
俺は真紅の瞳で槍の動きを観察し、金太にブッ刺さる直前に先端を横から蹴ってへし折った。
「う、うわぁぁぁあああ!!!」
あまりに瞬速のため、何が起こったかわからず、キンタは思わず目を閉じて絶叫する。
「蹴れたけど、なんか普通の感覚じゃないな。魔法の槍だったのかな」
俺は着地しながら槍が飛んできた方を見る。
「ってか、このパターンで死ななかったの、あらゆる物語の中でキンタが初めてじゃない?」
カトリーナが感心していると、俺の視線の先に異空間が現れ、禍々しいオーラが溢れ出す。
その中から現れたのは、黒髪の長髪で、女性のようなキレイな顔つきをした長身の男だった。




