炎上系の再生数稼ぎは許さない
俺は少女に案内され、プニプニパンパン港に行く途中の休憩所にいた。
「こんなとこあるんだな。一息つきたかったから助かるわ」
「そうでしょ?ま、水も食料も無くてイスと机しか無いけどさ。座れるだけマシだよね」
「ってか、そういやなんでお前男のフリしてたんだよ?」
俺はイスに腰掛けながら問いかけた。
「ま、まぁ。仕事柄、女だと思われると舐められるし……。男だと思わせた方が色々話が早いんだよ。そんなことより!!」
そう言うと少女は「じゃーん!!」と言いながら、上着のポケットからチョコレートを出した。
「おっ!チョコじゃん!」
久しぶりに嗅ぐカカオと砂糖の甘い香りにテンションが上がる。
現実にいた時は、チョコレートは毎日嗜んでいた。
好きなブランデー"CAMUS"を飲みながら、72%以上の高カカオチョコを齧る幸せ。
程よい苦味と甘味がブランデーの刺激にピッタリ。
さらに高カカオのチョコレートはポリフェノールもたっぷりでアンチエイジングにも良いらしい。
(老化は美容の大敵だからね)
「死なないし、老けないけどさ!それに超デブったけどさ!!」
いきなり1人で喋り出した俺をポカンと見つめる少女だったが、気を取り直して、俺にチョコを放り投げた。
「食べなよ!おいしいよ!」
自分も包装紙を剥くと、パクッと口に入れて、「んんん~~❤️」と幸せそうな顔をした。
「じゃあ遠慮なく」
俺も大好物の匂いに逆らえず、パクッと口に入れた。
「う、うまい……!」
いつも食べていたチョコよりも甘いが、異世界に来て色々ひもじい話を聞いていたからか、この普通のチョコが高級品に思えて、おいしさ100倍だった。
あまりのうまさに目は「ニヤ~」と波目になり、笑顔もとろける。
お礼を言おうと少女を見ると、何かフクロウのようなものをこちらに向けてきていた。
「うん?」
俺はとろける笑顔のまま、少女に問いかけた。
「よっし。撮れたわ」
「あ?」
「あんたが盗品のチョコ食ってるところの動画」
「な、なんだと?」
とろける笑顔は消え去り、俺は苦々しい顔で、チョコの中のナッツをガリっと噛み砕いた。
「この動画をプーチュープに上げて再生数稼ぐわ。まぁ、大炎上は間違いないし、帝国警察も動くでしょ。お前、終わったな」
「それをよこせ!!」
さっきのフクロウがこの世界でのカメラなのだろうか。
慌ててフクロウを奪い取ろうとするも、少女は魔法のような能力で風を起こすと、その風に乗ってフクロウは飛んでいった。
「あ……」
膝から崩れ落ちる俺。
「あたしを舐めてるからこうなるんさ。プーチュープで炎上しやがれ!はーっはっはっはー!」
頭上から少女の高笑いが聞こえる。
「……って逃すわけねーだろーが!!クソフクロウ、待てやコラァ!」
俺は怒りのまま漆黒の翼を背中に生やすと、大空へ舞い上がった。




