便器に吐き出されたタンカス野郎
「むちゃむちゃ」
「くちゃくちゃ」
「ゲップゥゥゥ」
「ぺ、ぺぺ…ン!」
「ぺぺン!ぐっちゃぐっちゃ」
そうして、俺とカイは非常階段から食堂のある3階へ降りた。
「う、うわ~……」
「冷静になって改めて見ると……こりゃあ……」
そこに広がるのは100人くらいの信者が横並びになって一心不乱にウニを食う光景だった。
中には、通風のあまり、泣き叫びながらも口にウニを詰め込む奴までいる。
「ギャァアアア!!ぺぺーン!!くっちゃくっちゃ!」
「いや、倫理的にダメだろこれは」
「イカれてやがる」
あまりのヤバさに少し引いてしまったが、俺は当初の目的を思い出して帰りたい気持ちを必死に封じ込めた。
「じゃあ、探すかな」
「ああ。じゃあ、そいつらの特徴は?」
「…………」
「…………」
「顔?」
「は?」
「いや、子供の顔に似てるとか」
「そんなんで探せるか!」
そんなやり取りをしていると、隅っこのテーブルの影から俺を呼ぶ声があった。
「……サタン!……サタン、こっちこっち!」
見ると、カトリーナとポーポー公爵がテーブルの下からちょっとだけ顔を出して手招きしていた。
「なにやってんのあいつ……」
俺とカイは信者に怪しまれないように、中腰でカトリーナの前までゆっくりと歩いていった。
「カトリーナ。お前も来てたのか」
「うん。サタンは多分4階行くかと思ってね。変態だから」
「いや、どういう判断基準なんだよ」
「何も書いてない階でエロいことしてんだろうが」
「するわけねーだろ!」
「………ってか、……え!!?そ、そいつここの司祭じゃないの!?」
「え?あ、そういやそうだった。いや、こいつは大丈夫なんだ」
「な、何が大丈夫なんだよ!」
俺はかいつまんでカイのことを話していった。
説明が面倒なので現実世界(前世)のことは黙っておく。
「ま、まあ。じゃあ洗脳されてたけど、とりあえずまともになったチンピラってことね?」
「チンピラは余計だガキンチョ。ぶっ●すぞ、この野郎」
「な、可愛い奴だろ」
「どこがだよ!!」
とりあえずカトリーナにも紹介できた。
「そういやカトリーナ。マリア夫妻とローエングリンの親父なんだけど、なんか特徴とか聞いてた?」
俺は探す上でのヒントについてカトリーナに問いかける。
「ん?ああ。一応聞いてるよ。ってかそれを知らずにどうやって探そうとしてたんだよ。頭パープリンなのか?」
「ほんとだぜ。便器に吐き出されたタンカス野郎に過ぎないよな」
「うん。タンカス野郎であり、下痢便野郎でもあるよね。……チンピラ、話わかるじゃん」
「お前もな」
「いや、意気投合してんじゃねーよ。なんだタンカス野郎であり下痢便野郎って」
俺は思わずツッコんだが、カトリーナとジョウチンが仲良くしてるのが新鮮で少し面白かった。
「まずマリアさんの特徴だけど、キレイなロングの金髪。そして、173cmの長身だ」
「それはすぐにわかりそうだな」
俺はぐるっと見回したが、食堂にそれらしき人の姿は見つからなかった。
「うーん、いないな。じゃあ夫は?名前なんつったっけ?」
「ケントさんね。ケントさんは、身長170cmで中肉中背。いつも、『カジュアルだけど少しキレイめなファッション』をしてるって」
「いや、世の中に一番多い特徴!そんなんで探せるか!」
周りを見ると、それらしき男は30人くらいいた。
「しょうがないだろ。ガリレオさんがそれしか言ってなかったんだから」
「旦那に興味無さすぎだろ……じゃあローエングリンの親父は?」
「あ!それは特徴あるよ!『白鳥の形』に髪の毛剃ってるんだって!」
「いや、大丈夫かその親父!」
俺はツッコみながら辺りを見回す。
そして、ちょっと特徴的なファッションをしたおじさんを発見したので、少しだけ近寄っていく。
「サタン…!気をつけてね…!」
カトリーナが小声で応援してくれる。
ーーーそろり。そろり。
そして、信者に気づかれずにその男の付近まで近づき、背後から頭を覗き込んだ。
(い、いた!いた!)
俺はカトリーナとジョウチンにジェスチャーで発見の合図を送った。




