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貴族令嬢、未来へ繋ぐ新たな命を産む

そうして無事に結婚した俺たちは、領地のはずれに小さな家を建てた。


本来であれば、オリヴィアは良家と結婚し、より一族を繁栄させていくのが常であったろう。


だが、俺と結婚したことによってそれはできなくなった。


レスター卿は「後継は親族に任せから大丈夫」と言ってくれたものの、やはり今でも少し申し訳なく思う。


だが、子供が生まれる頃になると、そんな悩みなどどこかへ飛んでしまうほど忙しくなった。


俺は相変わらずネジ工場で朝から晩まで働いていたが、オリヴィアの陣痛がいつ来るのかを考えると不安でたまらない。


その頃はいつもそわそわしていた。


「ジョウチン」


「あ?」


「またネジ飛んでるよ」


「あ、わり……」


「また子供のこと考えてたのかい?」


ボブはそう言ってネジを拾ってくれた。


「いや……そんなんじゃねぇ」


「隠さなくたって良いんだよ。そりゃ、もうすぐ子供が生まれるってわかってたら、そりゃそわそわするさ」


「あんたは子供は2人だっけか」


「うん。10歳と5歳の男の子。可愛い奴らさ」


「……そっか」


俺は小さくつぶやくと作業台に向き直る。


「不安そうだね?」


「いや……。うん。俺なんかに親が務まるのか……ってな。そりゃ、子供は楽しみだけど……」


すると後ろから太い腕が俺の首にかかった。


「ガハハハ!まぁ女グセの最悪だったボブだって今じゃ良いパパになっちまってるんだ!心配すんじゃねェよ!」


ジョージはグイグイと俺を締め上げる。


「おいおい人聞きが悪いよ所長!」


ボブは顔の前で手を振る。


「8股しといてよく言うぜ!この工場に全員集合して修羅場になったのは今でも忘れねェ!」


「もう10年も前の話じゃないか!」


「あん時ァ、大人しい顔してとんだ『バッドガイ』だと思ったぜ」


「その後、所長が『バッドボブ』とかあだ名付けたから浸透しちゃって大変だったんだよ!」


「バッドボブ、って響きが面白ェからよォ!ガハハハハ!」


「途中から「それはバッドボブじゃねェ!」とか、「ロックじゃねェ」みたいな使い方しちゃってさ!」


「「お前の生き方はバッドボブじゃねぇ!」とか言いながらよく若いチンピラぶん殴ってたよなァ!」


「最後は『バッドボブ』って言いたいだけになってたよ……」


「なんだそりゃ……」


俺は苦笑いして昔話で盛り上がる2人を見ていた。


「だからさ、ジョウチン。不安なのはわかるけど、なるようになるよ!俺だって7人と別れるの大変だったけど、今は幸せだよ!」


「そんなもんか……」


「そうだぜ!そんな子供ができたくらいでビビってる奴はバッドボブじゃねェよな」


「またハマらなくていいから!!」


そう言って皆で笑い合った。






そしてその1週間後、


「あぎゃあ!あぎゃあ!」


「オリヴィア、お疲れ。ありがとう」


「うん……。可愛い」


元気な男の子が産声を上げた。





その子の名は、2人の恩人の名前を一部取って『ルシアン』と名付けた。

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