風のダンジョン 1層 その1
パチっ。
よし。今日はよく寝られたな。結局昨日の夜はこれまでの確認をしただけだったし。
剣の振り方と剣聖技の使い方と使う時について、かな。
だからそこまでハードじゃなかった。楽ではなかったけどね。
ちなみにアントンはもう起きていた。……早すぎな。
「よし、準備終わったな。テント片づけるぞ。」
テントの外に出ると、もうヒカリとシズクはテントを畳んで待っていた。
それをアイテム袋にしまって、朝ごはんを酒場で食べた。
昨日の夜も来たんだけど、結局誰とも話さなかったな。他の冒険者同士は話してるんだけど。
まあいいか。
軽めのサンドイッチを食べたんだけど、おいしかったから昼ご飯用に追加で20個ほど買っといた。
……買いすぎたかな。まあアイテム袋に入ったから問題ないよね。
「いいか、死なないことを第一に考えるぞ。道は昨日把握できたが、危険だと思ったらそこからずれてても回避するからな。」
「「「了解!」」」
「よし、じゃあ行くか。」
4人でそろって魔法陣の上に乗ると、魔法陣が光り始めた。
それがだんだん強くなっていって、目を開けていられないほどにまで強くなった。
思わず目をつぶると、少しづつ光が弱まってきた。
恐る恐る目を開けると、目の前には石の壁が、周りにはアントン達がいた。
上も横も下も、どこを見ても石でできた壁が広がっていた。
「……ここがダンジョン?」
「ああ、昨日の地図には風のダンジョンって書いてあったな。
で、ここがその1層だ。
一応最初の方は地図を写してきたが、……とりあえず進んでみるか。」
「そうですね。魔物にも気をつけないといけませんからね。レオとシズクは。」
「そうだったね。任せてよ。私とレオでみんな倒してあげるから。ね、レオ?」
「うん、そっちは任せてよ。魔力放射で消費する魔力量も減ったし、魔力感知でわかる範囲が広がったから最初から両方とも使っていくよ。レベルも上がって魔力量も増えたし多分魔力的には大丈夫だよ。」
「よし、ならいいな。行くぞ。今日中に突破するのは難しいだろうが半分までは絶対行くぞ。」
「「「了解!」」」
そして、僕達はめちゃくちゃ広いダンジョンの中を歩き始めた。
アントンとヒカリは曲がり角の曲がる順番をメモしてきたみたいで、すいすい進んでいく。
でも紙にびっしりと方向が書いてあって、しかもその紙を結構な枚数持ってたからどれくらいの曲がり角があるのかは想像もつかない。
多分1000を超えてるだろうな。
で、肝心の魔物なんだけど。
最初の方は全然魔物は見つからないし、気配もしなかった。
どういうことだろ?
でも20回ぐらい曲がったときに、こっちに近づいてきている魔物の気配を感じた。
「ちょっとまって。そこ曲がったところに魔物がいるから倒してくるね。」
「ああ、任せた。」
多分この感じはスライムってやつなのかな?
曲がり角の先を覗いてみると、そこには緑色っぽい粘液状の魔物がズルズル動いていた。
でも中が透けていて、そこに小石みたいなものが浮かんでいた。
多分あれが核だね。
じゃあ、ささっと近づいて……ふっ、っと。
何かを斬る少しの手ごたえがしたと思ったら、スライムが何かを残して消えていった。
拾ってみるとそれはなにか小瓶のようなもので、中に緑色の何かが入っていた。
鑑定してみると
名称 スライム粘液・風
所有者 レオ
種類 強化素材
耐久値 10
攻撃力 0
効果 この粘液を武器に塗り込むと、一定時間攻撃に風属性が乗るようになる。
また、風属性の攻撃の威力がほんの少し上がる。
なるほど、武器そのものに塗り込むのか。……なんかいやだな。
「どうだった。倒せたか?」
アントン達も追いついてきたみたいだ。
「うん、倒せたけど。こんなものを落としたんだよね。鑑定で見たらアイテム袋にしまっといて。」
「ああ、……なるほどな。これは使うことがあっても確かに今じゃないな。
これなら、わざわざ止まる必要はなさそうか?」
「そうだね、これくらいだったら僕とシズクだったら大丈夫だと思うよ。」
「よし、わかった。なら普通に進んでいくぞ。」
それからスライムはもちろんコボルドやゴブリンとも何回か戦ったけど、たいていが一撃だったな。
まあ、僕達からしたらいい練習相手になったんだけど。
僕は普通にヒナに教えてもらったやつの練習そしてたけど、多分シズクもこれまでとは少し違う魔法の打ち方をしてるからなんか試してたんだろうな。
魔法撃った後もなんか首傾げてることが多かったし。
そんな感じで体感で半日近く歩いたところで休憩した。なぜかっていうとお腹が空いたから。
でも、アントンが持っている紙からすると半分はもちろん四分の一にすら届いてないだろうな。
まあ、まだオークみたいなのにもゴブリンの群れにも遭遇してないし。
ボス戦までにレベルもいくつか挙げられるといいな。




