怒涛の1週間
ギルマスからお叱りをしっかり受けてからギルドを出ると、もう夕方だった。
ちなみにお叱りを受けたのは僕だけだ。アントンは僕の剣だけ持っていった。
ということで、丸腰でお怒りのギルマスと対峙することになった。
「まじかー、もうこんな時間か。
これから、庭掃除とかするって考えると結構大変だな。
まあ、やるって決めたんだしちゃんと行かないとね。」
「おばちゃーん、来たよ。」
ゴソゴソ…。
「はいはい、おそかったね。
じゃあ今日も庭掃除を頼むよ。」
「うん、もちろん。」
今日は時間がなかったから、眼帯をつけないでさっと終わらせた。
本当にかかる時間が減っていてびっくりした。
身体強化も使ってないのに、10分くらいで終わった。
「おばちゃーん終わったよ。」
中に呼びかけると、またゴソゴソという音がしておばちゃんが夕日がさす庭に出てきた。
「はいはい、お疲れ様。
はい、これ今日のお小遣いね。」
「ありがとう。」
「あと、明日からは来なくてもいいよ。」
「えっ?」
「忙しくなるんだろう?
レオがこんなに来るのが遅くなるのは初めてだったからね。」
「でも……。」
「気にする必要はないよ。
庭掃除くらい自分でできるからね。
レオは自分のことに集中しなさい。暇があったらいつでも来てくれてもかまわないけどね。」
「……わかった。おばちゃんには何回も助けられた。
ありがとう。」
「だから、気にしない。」
「最後におばちゃんの名前を教えてもらってもいい?
これまでおばちゃんとしか読んでなかったし。」
「そうだったねぇ。まあ、いいよ。
私の名前はカミラだよ。」
「カミラさん…。
改めてこれまでありがとう。」
「まったく、気を付けていきなさい。
レオには大切な幼馴染がいるんだろう?絶対に誰かを悲しませてはいけないよ。」
「それ、誰かにも言われた気がするよ。」
「そうかい。いい知り合いがいるんだね。
さあ、そろそろ暗くなるからおかえり。」
「うん。またいつか来るよ。」
思えばおばちゃん、ーーカミラさんとの付き合いも長かったな。
この街に来て院長先生に拾ってもらってからすぐに出会ったし。
庭掃除を通した体の使い方だけじゃなく、お使いとかでお金の使い方とかもおしえてもらった。
院長先生と同じくらい恩人だな。
だから、そんな人が住んでいるこの街を魔物から守り抜かなければ。
「おう。遅かったな、レオ。」
「ごめん。急いだんだけどギルマスのお話が長くて。」
「領主様にため口で話したとなったら、そうなるでしょうね。
気を付けてくださいよ。」
「そういえば、明日からどうするの?
私たちはこの1週間休みをもらってるんだけど。」
「俺ももらってきた。」
「僕もだね。
じゃあ、1日中魔物討伐してレベルを少しでも上げておこうか。」
「その前にアカサ商会に行ってポーションっていうやつを買うぞ。
使ってみてその効果を確かめないといけないしな。」
「そうですね。回復する魔力量によっては私も攻撃に参加できるかもしれませんし。
回復魔法や支援魔法で使った魔力の残りになってしまいそうですが。」
「私は高威力の魔法がたくさん撃てるようになればいいな。
できれば心身統合はあまり使いたくないし。」
「じゃあ、明日はポーションを買ったら残りは魔物討伐に行くぞ。
だから、今日は魔力切れの修行が終わったらすぐに寝ろよ。」
明らかに僕に向けていってるよね。でも剣は返してよ?
翌日、アカサ商会に行くとポーションがたくさん売っていた。ちなみに、その前に剣は返してもらえたよ。
HP、MP,SPそれぞれのポーションが3種類ずつあったのでとりあえず鑑定で見てみた。
すると、一つ目がロウポーションというもので、効果はそれぞれが50回復するというものだった。
もう一つがポーションというもので、効果はそれぞれが100回復する。
最後の一つがハイポーションというもので、効果はそれぞれが300も回復する。
もちろんハイポーションは効果だけではなく値段も高く、銀貨5枚だった。
ポーションは銀貨1枚、ロウポーションは銅貨5枚だった。
とりあえず、ハイポーション以外を1本ずつ買っていった。
西側の門から街を出て魔物討伐をした。
やっぱりオークの姿はほとんど見えなかった。倒せたのは2、3体くらいかな。
それでも、1日中魔物狩りをしていたからかレベルもいくつか上がった。
ポーションは味がないただの水みたいな感じがした。
ただ大量に飲むのはちょっと無理そう。
その翌日、ポーションの効果は分かったから買わないで街の外に出た。
グレイ・ウルフとグレイ・ラビットが大量にいた。
どうしたんだろ?
まあ、大量に倒せたからいいかな。
レベルも上がったし。でもこんなに魔物肉があっても食べきれないからギルドに売ろうかな。
そう思ってギルドに行ったら、アナさんにつかまった。
なんでも防具をもっとそろえろと。
確かに言われてみれば剣以外は普段着だし。
武具屋を教えてもらった。
またその翌日、教えてもらった武具屋に行くとおっさんが話しかけてきた。
なんでもここはアントンが雑用で行っていた鍛冶屋から武器を仕入れているらしい。
そこで僕は胸当てを買った。
ヒカリやシズクもしたようなものを買っていたけどアントンだけ結構がっちりしたのを買っていた。
まあ、僕やヒカリやシズクは素早さを殺すようなものはつけられないからね。
その反面、アントンは素早さよりも防御力を取っているからね。
結局、午前中かかってしまった。
午後は魔物討伐をしたけど、魔物の種類は昨日とほとんど変わらなかった。
でもレベルが1上がった。
それまたその翌日、一日中魔物討伐していた。
今度は毛の色が黒い準魔王種と呼ばれる魔物がたくさんいた。
明らかに以上だけど、他にも冒険者がちらほら見えるからギルドに伝えに行く必要はなさそうかな。
準魔王種を倒したら経験値がたくさんもらえてその日だけでレベルがいくつか上がった。
ただ、グレイ・ウルフの準魔王種は回避力が半端なかった。
これからは気を付けておくべきだな。
結局冒険者ギルドには言ったよ。アントンに言われたからね。
異常なほど準魔王種がいたことを報告した。
そうしたらギルマスが現れて、明日朝来るように言われた。
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