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夢を見る

この話から、本編です。

よろしくお願いします。

 ……またこの夢か。何度見ても慣れないな。

生まれてからずっと住んでいた村が焼け落ちる光景は夢とは思えないほどリアルだ。


「なんで、なんで村が燃えているの?」


「いや、よく見ろ。魔物が村の中に居やがる。」


「つまり、魔物が村を焼いたと?」


「多分な。」


「なにをそんなのんきなことを言ってるのさ。早く助けに行かないと!」

駆けだそうとする僕の服を慌ててつかみながら、


「バカっ!俺たちじゃあの魔物には勝てないだろうが。行っても殺されるだけだ。」


と静かに怒鳴った。


「で、でもっ」


「でもじゃねぇ。俺たちがするべきことはこのことを隣の村に伝えて対応策を練ってもらうことだ。」


 そんなことはわかってる。でも、まだ生き残ってる人がいるかもしれない。


「いいか、俺たちが助けに行けばもしかしたら、何人か助けることができるかもしれない。でもその確率はめちゃくちゃ低い。そして俺たちがここで死んでしまうとどうなるか考えてみろ。」


「……隣の村にも情報がいかないから襲われるかもしれない。」


「そうだ。だから生き残った俺たちは情報を隣の村に運ばなければいけない。わかったか?」


「……うん」


「よし、行くぞ」


 そうして僕達4人は生まれ故郷を捨てた。







「………きなさい。レオ起きなさい。起きろ~!」


「……何ですか。なんで起こすんですか。」


 あくびを噛み殺しながらそう答える。


「今は、授業の時間です。なんで寝てるんですか?」


「……眠いから?」


「眠いから?、ではありません。はい授業を再開しますよ。」


「そんなことよりも早く依頼を……。」


「だ、か、ら、依頼を受けるために必要な基礎教養の授業を今しているんです。この冒険者学校を卒業できないと依頼は受けられないですからね。」


「まじかぁ。」


 なんでも世界は今いるバンケア大陸という大陸と、北にある小さな島でできているらしい。僕達が住んでいるこの街はバンケア大陸の西側で一番大きい街でウェスタ―という名前だ。そしてバンケア大陸の中央にある聖都には大きな宮殿があり、そこには王族といわれる人たちが住んでいる。王族の仕事は宮殿の守護?らしい。何を守っているのかは教えてくれなかった。

 次に僕達冒険者の仕事。最初のうちは街中の雑用とかがメインになってくるが、次第に商人の馬車の護衛など大きな仕事になり、最終目標は大陸の東西南北の果てにあるダンジョンの攻略だ。なんでもダンジョンをすべて攻略した証を手に入れれば、この世界を作った神様に会えるらしい。

 ここら辺は神話にもあるらしい。聞いてなかったからわからないけどね!


「……次に、冒険者に渡されるカード、通称冒険者カードについて説明をしようと思いましたが、続きはまた明日ということで。今日の授業はここまでです。気を付けて帰ってください。さようなら。」


「「「「「さようなら!」」」」」


「レオ、また授業中に寝ていましたね。起きていると約束したはずですが。」


「っ!ってなんだ、ヒカリかぁ。悪い悪い、最近あまり夜寝れなくてさ。」


「……オーバーワークなんですよ。授業の後、街中の雑用で走り回るだけでなく、夜遅くまで木剣を振っているんですから。」


「……なんだ気づいていたんだ。でも、とめないでくれよ。これは強くなるためには必要なことなんだ。」


「わかっています。あなたがそこまでして強くなろうとする理由も私たち3人はわかっています。ですが、それならば私たちに相談してください。私たちは幼馴染でしょう?」


「わかった。」


 僕の答えを聞いたヒカリは微笑むと


「二人は先に雑用探しに行っていますよ。追いかけましょう。」


「うん。」


 お使いやら庭掃除といった雑用を終えた後、街の孤児院に帰ってきた。

すると、


「おかえりなさい。今からちょうどごはんの時間です。手を洗ったら食堂に来てくださいね。」


と院長が声をかけてくれた。


「ただいま~。わかったよ、院長先生。」


 この院長先生は生まれ故郷を失った僕達にとっての恩人だ。普通、その街の生まれでないと孤児院に入ることはできないので、僕達はこの街に来てすぐ路頭に迷ってしまった。そんな時、声をかけてくれたのがこの院長先生だったのだ。


 食堂につくと、自分たちよりも小さい子供たちが席について待っていた。


 そして、


「「「「おっそーい!!」」」」


と言われてしまった。


「ごめんごめん。ちょっと雑用が長引いちゃってさ。」


そう言って、ヒカリたちのいるテーブルに向かう。

すると、


「遅刻には罰が必要だと思わないかね、アントン君」


「ああ、その通りだな、シズクさん。」


芝居がかった口調で、幼馴染の二人がからかってくる。


「というわけで、号令は任せたよ、レオ!」


「どういうわけかよくわからないけど、まあ号令ならいいか。」


はあ、とため息をつきながら、子供たちの前に立ち、


「じゃあ、ちゃんと噛んでから食べてね。いただきます。」


「「「「「いただきます!」」」」」



 夕飯を食べ終わり、子供たちが風呂に入っている間、僕は一人で皿洗いをさせられていた。なんでも、「遅刻した罰が号令だけとは言ってないよね」とシズクに言われてしまい、仕方がなく普段は4人で分担するのを一人でやっていた。洗い終わったとき院長先生がやってきて、


「お疲れ様、今日も大変だったでしょう。」


と声をかけてくれた。


「いやいや、当然のことをしているだけだよ。」


「そう?でも、からだを壊したらいけません。気を付けてくださいね。」


「了解~」



 風呂に入る前に、いつも通り裏庭で木剣を振っていると、


「よお、頑張ってるな。」


とアントンが声をかけてきた。


「あれ?風呂に入ったんじゃないの?」


「入ろうと思ったんだけどな、ここに来るお前をたまたま見つけてな。」


「そっかー。シズクも気づいたかな?」


すると、やれやれ、と首を振りながら


「子供たちもみんな気づいてるよ。俺でも気づいたぐらいなんだ、シズクももちろん気づいてるさ。」


「そっかー、秘密の訓練のつもりだったんだけどなぁ。」


「孤児院の中で、秘密は作れないだろう。そんなことより、俺も一緒していいか?」


「いいよ、ただ木剣を振ってるだけだし。でもアントンも明日授業で寝ちゃうよ?」


「俺は体力だけは自信があるから大丈夫だ。お前はつけれすぎる前には止めとけよ。明日から結構重要なことを授業で話しそうだしな。」


「うん、わかったよ。」



 その日、普段よりかなり早い時間に眠りについた。

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