教えあおう その3
ーー体の中に水槽があるってイメージしてみて。ーー
体の中に水槽、ねえ?ほかのイメージの仕方だとだめかもしれないから、それをイメージできるようにならないとな。う~ん、じゃあ頑張ってみるか。
………………………、………………………、………………………。
う~ん、体の中心に水槽があるとイメージすれば、ジークさんが言ってたことと繋げられそうかな?魔力循環の時、ジークさんが体の中心から広げるイメージだって言ってたし。
……、あっ、これシズクに言い忘れたかもしれない。
「シズクー。魔力循環の説明の時に体の中心から広げるイメージって話したっけ?」
「うん?してないんじゃない?」
「ごめん、説明忘れてた。まあイメージの仕方なんだけど、体の中心に魔力があるってイメージして、それをさっき言ってた管を通して体の隅々まで広げる感じだって、ジークさんは言ってた。」
「そうなんだ。体の中心から広げるイメージね。……、それならレナさんが教えてくれたことと組み合わせればいいんじゃない?」
「そう!僕もさっきそれ思ったんだ。だからシズクもそれで魔力循環やってみてよ。」
「分かったよ。」
体の中心に魔力を集めてそれを水槽に入れるイメージでやってみよう。魔力を広げる魔力循環とは真逆で、体の隅々から中心に魔力を集める。………、よし、集まってきた。これを液体に見立てて、水槽の中に入れる、と。…、よし、できてきたな。この状態を維持していればできるようになるはずだ、多分…。
……、あれ?魔力が少しずつ増えてきた?……、昼使った分が回復してるのか。じゃあ魔力が全部回復すれば、体の中心に魔力が全部集まるな。魔力が全部回復するまでこの状態を維持してみよう。
………、お?もう増えなくなった。っていうことは、これで、全部集まったってことか。
「ッ!?」
突然体が少し持ち上がるような奇妙な感覚がした。それと同時に何かが自然と頭の中に浮かび上がってきた。これは、……
「星、なのかな?」
魔力に意識を向けると確かに何かの球体がイメージできる。少し、魔力を使ってみるか。
「風球。」
空に向かって風球を撃ってみた。すると、その球体が八分の一くらい欠けた。魔力を使うとこの球体が欠けていって、使い切ったら何もなくなるって感じかな。まあ、今日の目標は達成できたな。
「シズク~。できるようになった?」
「うん。5秒くらいで全身に魔力を広げられるようになったよ。レオは?」
「僕も魔力の総量の把握はできるようになったよ。」
「すごいじゃん。私が魔力把握できるようになるまで2,3日かかったんだけどな。」
少し拗ねた感じでシズクがからかってくる。
「まあまあ。僕も魔力循環できるようになるまで、ジークさんの手助けがなかったらそれくらいかかってたと思うし。」
「そうなんだ。それで、レオはどんな感じのイメージなの?」
「多分、星だと思うんだけど、なんかの球体だよ。魔力を使ったら少し欠けたから、その球体の大きさとかで魔力の残量を把握する感じだと思う。」
「そっか。アントンはどんな感じだと思う?」
「う~ん、大きさで魔力の量を把握するのが間違いないとすると、何かの大きさってことになるよね。僕が星で、シズクが空、ヒカリが月だからそれ関連で言ったら太陽とか宇宙とかかなぁ?」
「私と同じね。私は二人とも空とか月に関係があるものだと思ってたから。」
「まあ、幼馴染だもんね。そこらへんが似通っててもおかしくないよね。」
「そうそう。じゃあ、ヒカリたちと合流して部屋に戻りましょうか。」
「アントン~、ヒカリ~、そろそろ帰るよ。」
裏庭はそこまで広くないのですぐに二人は見つかった。
「おう。」
「分かりました。」
二人と合流して、今日の練習の成果を話し合った。
「アントンは魔力把握できるようになった?」
「あと少しでできそうな感じがするんだが、まだできないな。レオはどうなんだ?」
「できるようになったよ。今度練習に付き合おうか?」
「頼む。」
「シズク、魔力循環と身体強化できるようになりましたか?」
「どっちも多少はできるようになった感じがするけど、レオとアントンに比べるとまだまだって感じかな。」
「私も同じ感じです。明日は一緒にやってみませんか?」
「うん。いいよ~。」
今のうちに、今朝トワにした話を二人にもしておくべきか…。
「そうだ、ヒカリとシズクに聞いておこうと思ったんだけど、……僕の右目が見えなくなったって言ったっけ?」
「…やっぱりそうなんだ。少し歩き方が普段と違ったからおかしいと思ってたけど。」
「もちろん気づいていましたが、それはもう治らないのでしょうか?」
「うん、マロンさんが今の段階で治すことができる方法はないって言ってた。」
「腕とか足なら欠けても治せるといってたマロンさんでも、ですか…。」
「まあ、気にしなくてもいいんじゃない?私たちは幼馴染だし、そうじゃなくてもパーティー組んで互いの欠けてるところを助け合って埋めればいいんだし。」
「そうですね。そもそもパーティーとはそういうものです。」
あれ、思った以上にあっさり受け入れられたな。でも、
「いいの?僕とパーティーを組んだら、結構な迷惑がかかると思うんだけど。」
「それは、いまさらじゃない?」
「片目が見えないのが恥ずかしいなら、私たちも眼帯を付けてそろえましょうか?」
そうか、おばさんはみんながこう言ってくれることを分かってたから、僕を試したのか。そうじゃないと、パーティー内で立場が対等じゃなくなってしまう。足手まといの僕とそれをたすけるアントン達になってしまう。
「な?俺が言った通りだろう?」
「…そう、だね。ありがとう。」
「気にすんなって。」
「そうですね。それでも気になるなら、強くなって私たちを守ってくださいね。」
「そうだね。アントンはどちらかというと、重戦士寄りだから、直接魔物を倒すのはレオの役割になりそうだもんね。」
「そうだな。それと、そろそろ戻らないと夕飯の時間に遅れるぞ。」
投稿遅れてすいません。
コロナワクチン1回目の接種が終わりました。副作用はそこまででしたが、体温が37度ちょっとまで出ましたね。読者様もお気をつけてくださいね。
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