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面倒な奴 再び

「少しいいですか?」


 後ろから声をかけられた。


 はて、知り合いにそんな風に声をかけてくる人はいないんだけど?とか考えながら振り向くと、そこにはショートカットの少女が立っていた。


 え~と?


「あなたに謝罪と感謝を伝えようと思ったので声をかけさせてもらいました。」


「その前にちょっと待って?会った事ある?」


 何言ってんだこいつ、みたいな顔された。


「昨日会いましたが?あなたの頭は飾りですか?」


「おお?結構言うじゃん。それに昨日会ったって言われてもねえ。昨日は半日近く寝てたから知らないよ。」


「…はぁ、ではこれで思い出せますか?…おい!よそ者!僕と組め!」


ああ!


「あの時のめちゃくちゃ弱かったやつか!思い出したよ。でもあの時とは口調も態度も違うけど?」


「あれは父に強要されていたので。女では軽く見られてしまうから男として振る舞えとね。それとめちゃくちゃは余計です。弱いのは認めますが、同年代のここにいる子はみんな私よりも弱いですよ。あなたの幼馴染は例外ですが。」


「まあ、剣を振ってる期間と量が全然違うからね。ヒカリとシズクにもここにいるやつらは勝てないんじゃないかな?」


「そうでしょうね。でも私は魔法には自信があるんですよ。あなたには剣で勝てなくても魔法では勝てますよ。」


「え~?どうかなぁ?」


「まあ、みてなさい。」


 少女が的の前に立つ。


「ファイヤーガン!」


 すると、火球よりは大きさが小さいが速さが段違いの魔法が的にぶつかって、…あ、当たったところが焦げたし、的は割れた。……、ん?割れた?


「どうですか?あなたに魔法で的を壊せますか?」


「いやいや、確かにすごいけど。壊して大丈夫だったの?」


「え?」


 ポカンとした顔をしている少女に声をかける人が一人。


「…アリスさん?魔法に自信があるのは結構ですが、加減を考えましょうね?」


 怖い笑顔を顔に浮かべた先生がそこに立っていた。


「は、はいっ!申し訳ありませんでした!」


「次から気を付けてくださいね?まあ今回は、壊さないように言っておかなかった私にも非はあるので、注意だけにとどめますが。次からは弁償ですからね。」


「はいっ!気を付けます!」


「よろしい。ではこの的で魔法の練習してくださいね。言っておきますが、これは予備なのでもう他にはありませんので。」


「「はい。」」


 先生が他の子供の所に魔法を教えに行ってしまった。


「はあ、まったく。加減を知らないお子様はこれだから。」


「なっ!?あなただって私の剣を切り飛ばしたじゃないですか!あれはお咎めなしなんですか?!」


「まあ、あの剣刃が潰れてなかったからね。少し怒られたけど刃が潰れてない剣が何本か混じってたほうが問題だったし。剣の実習が昨日で終わりだったのもそのせいだよ。」


「…その件に関しては申し訳ないと思っています。」


「まあ、気にしないでとは言わないけどね。まあじゃあ、魔法の練習を今度こそしようかな。」


「どうぞ。」




「ファイヤーボール!」


 こぶし大の火の玉が的にぶつかった。ぶつかったが、…特に焦げたりはしなかった。


「ウォーターボール!」


 火球と同じくらいの大きさの水の玉ができたが、的まで届かなかった。


「ウインドボール!」


 先生と同じくらいの大きさの竜巻ができたが、的から外れて消えてしまった。


 ふう、火球は火力不足で、水球は持続力不足、風球はコントロール力不足か。……、課題は山積みだな。

 これから魔法の練習も始めていかなきゃいけないか。


「少しだけ、ヒントをあげましょうか?」


 え~と、確か名前はアリスだったか。


「アリス、だっけ?どうしてヒントをくれるのさ?せっかく僕に勝ててる魔法もすぐに当てなくなっちゃうぞ?」


「だからさっき、感謝しているといったでしょう?そのお礼といった感じです。それと多少教えた程度で埋まる差ではないので気にする必要はありません。」


「お礼をされるようなことしたっけ?」


「はい。父が捕まったおかげで兄とも姉とも再会できました。特に姉は死んだと父から聞かされていたので、もう一度会えるとは思っていなかったんです。だから、父の逮捕に間接的のきっかけになったあなたには感謝しているんです。」


「え?恨んだりしないの?」


「そんなことしませんよ。父のせいで最近まで男として生きなければいけなかったので、とても大変だったんです。それに、兄とも姉ともほとんどしゃべれませんでしたし、父は姉に私を殺すように命令したりもしたので。」


「そうなんだ。じゃあ、教えてもらおうかな。」


「いいですよ。まず魔法はイメージとつながっていると考えてください。なので先生の魔法を再現するような感じで、魔法を撃ってみてください。」


 えっと、先生の魔法は人の頭よりも少し大きいくらいの大きさだったな。


「ファイヤーボール!」


おっ!先生と同じくらいの大きさの魔法が打てた!的にもしっかり当たったぞ!


「どうよ?」


「いいんじゃないですか?」


 よし、今度は水球を撃ってみよう。


「ウォーターボール!」


 ……、?あれ?魔法が撃てない?……ウっ!なんか気持ち悪い。


「はあ、先生が魔法を撃つときは魔力切れに気を付けるようにいっていたじゃないですか。」

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