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秘密

「あら、朝から元気ねぇ。」


 院長先生が食堂に入ってきた。


「「「「おはようございます。」」」」


「はい、おはよう。」


 子供たちがご飯を食べる丸机をふきながら、話しかけてくる。


「ああ、そっちの机は拭いといてね。」


 4人で食堂に5つある丸机のうちの4つを拭いていく。


「レオ、右目は見えてる?」


「いや、見えてないよ。よく気づいたね。」


「当然でしょう。そう、子供たちにそれを言うの?」


 どうしようかな、できれば言いたくないけど、言うべきなのかな。でも子供たちにはちょっと刺激が強すぎるかな。じゃあ、


「アントン達と僕達を除いて年齢が一番上のトワ達にだけ話すつもりだよ。多分アントン達は気づいてるけど。」


「うん、それが妥当ね。冒険者に登録できるまでに教えておいてね。あと、今日の授業の後4人で院長室に来てね。渡すものがあるから。」


「分かった。」




 朝食の時間になり、子供たちが食堂に入ってくる。やはり、朝だからか子供たちはまだ若干眠そうだ。

その中にトワの姿を見つけた。そして、こちらに近づいてきて耳元で


「…後で何があったか聞かせてもらうからね。」


と、ボソっと呟かれた。


 まったく、勘がいいのが多いな。明らかにジークさんがいなくなったのに僕が関係していることに気づいている。ジークさん達はこっそりいなくなったと、他の子供たちは思っているはずなのに。事実、ジークさん達はいつも夜にこっそり旅に行ってしまう。

 そういえば、アカサ商会はどうなったんだろう。ジークさん達が潰すと言っていたけど、でも殺しとかはするはずがないからどうなったか情報を集めとかないと。




 朝食後、トワに問い詰められた。


「で、昨日何があったの?ジークさん達がいなくなった理由を含めて教えて。」


「あ~、うん。簡単に言うと、僕が殺されかけてそのことにジークさん達が怒ってその相手の元締めを潰したんだけど、その元締めがかなりこの街で影響力を持っていたって感じかな。」


「それってアカサ商会?」


「よく知ってるね。」


「昨日不祥事が外に流出して大変なことになってるって聞いたから。なんでも領主様に収める税を少なく申告してたり、それに気づいた長男を監禁したり、兄を殺されたくなければ言うことを聞けって長女を脅したりしたとか。で、殺されかけたってことだけど大丈夫なの?」


「右目が見えなくなったって感じだね。」


「えっ!!?それって治らないの!?」


「治らないって。マロンさんでもできないって言ってたし。でも片目はしっかり見えてるから大丈夫だよ。それにこれから、片目なしでも戦えるように訓練すればいいってジークさんも言ってたから。」


「そう、なのね。このことはシャロたちに伝えてもいい?」


「うん、最年長組にだけ教えてあげて。それ以外の子供達には言っちゃダメだよ。」


「分かった。ほかに何か私が聞いておくこととか私に聞きたいことはある?」


「どうして気づいたか教えてもらってもいい?」


「ジークさん達がいなくなったのとこの街で一番大きい商会が潰れたのが同じタイミングだったからよ。昨日の昼2時ごろに、領主様の所の兵士がアカサ商会長を脱税の疑いがあるとかで引っ張っていったんだけど、それまでがひどかったのよ。商会の前で街の人たちが大騒ぎしてて、冒険者たちに緊急依頼が出されてたんだって。でも、ジークさん達はそこにいなかったらしいし。ジークさん達は多分そんな感じのことは事前に把握して対応するはずだからね。」


「まあ、そうだろうね。」


「…、もしそのことで責任感じてるなら、その必要はないわよ。ジークさん達は多分何もなくてもあと何日かしたら出発する予定だったはずだから。」


「そう、かなぁ。」


「だってマロンさんが荷物をまとめて収納魔法でしまってたのは一昨日の夜のことだから。」


「そうなんだ。

 ……、そろそろ授業の時間だから行ってくるよ。」


「はい、行ってらっしゃい。」






「今日は魔法の授業です。水・火・風属性の初級魔法のうちのどれかを打てるようになるのが目標ですね。とはいえ、魔力に限界があるので気持ち悪くなったら休んでくださいね。じゃあ、お手本を見せましょう」


 魔法に憧れがあるのか周りの子供達は目を輝かせている。


「ウォーターボール。」


 人の頭よりも少し大きいぐらいの水の玉が20メートルほど先の的に当たった。


「ファイヤーボール。」


 水球と同じぐらいの大きさの火の玉が同じ的に当たった。


「ウインドボール。」


 小さい竜巻のようなものが先ほどの的に当たった。


「といった感じです。大きければ威力も射程も上がりますが魔力の消費も激しいので気を付けましょう。では早速やってみてください。」


「ファイヤーボールっ!」「ファイヤーボール!」「ウォーターボールっ!」「ウォーターボールっ!」「ウインドボールっ!」「ウインドボールっ!」


 はあ、みんなあまりできてないなぁ。でもシズクやヒカリはすごいな。


「ファイヤーボール!」


 シズクのはなった火球が直接的に当たって、焦がした。


「ウインドボール。」


 ヒカリのはなった風球が的に直撃して思いっきり揺らした。


 アントンは……、うん、すでに魔力切れで伸びてるね。まあ、アントンは剣を盾の使い方を集中して訓練してたみたいだからしょうがないか。じゃあ、僕も魔法の練習するか。


そう思った時、


「少しいいですか?」


後ろから声をかけられた。


最後声をかけてきたのはいったい誰でしょう?(棒)

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