2層攻略開始! そして……。
特剣天に行ってマサムネにいろいろ聞いてきた。
まず、神域について。
――教えられることはない。自分で何回も使って試してみろ、でないと使いこなせない。
使いこなせないと意味がないからダメだとさ。
まあそれは僕もそう思うからいいんだけどね。
実際使ってみよう、って思って使えたことないし。
アシュタロトとの時も無意識に口が動いて発動させられたって感じだし。
今度のボス戦ではちゃんと自分の意志で使えるか試してみないと。
次に、ヒナについて。
――知るか。弟子同士の喧嘩に私を巻き込むな。
要は直接聞きに行けと。
でも一つ問題がある。
ヒナがここに来ないと聞けないんだよね。
なのに、あれ以来一回も来てないってマサムネも言ってたし。
どうしようか。
謝りたかったのに、会うこともできないなんて。
最後に、ダンジョン病の症状が今の僕に似通っているんじゃないかってことについて。
――ああ、似ているだろうな。ダンジョン病が何かは知らんが何となく想像はつく。
ダンジョンはもともと※※※※※※※ために作られているからな。
最後何を言っているのかはわからなかったけど、でも肯定していた。
前もこんなことがあったな。確かまだ教えられないってやつかな。
その対抗策は
――ない。できるだけ早くダンジョンを攻略しきることだな。
今のお前らなら、もしくは全部のダンジョンを攻略する必要はないかもしれん。
つまり、もうどうしようもないからさっさとダンジョン攻略しきれってことだね。
その方がわかりやすくて助かる。けど、タイムリミットも忘れちゃいけない。
攻略急ごうか。
幸い層が高くなるにつれて狭くなっていっているみたいだし、何とかなりそうかな。
上手くいけば、1日で1層攻略とかもできそうだし。
そして、翌朝。
アントンが若干眠そうにしてたけど、特剣天に連れていかれたのかな?
ならアントンも剣聖技いつか使えるようになるかな。
装備を整えて、魔法陣に向かう。
すると1層の時とは違って、たくさんの冒険者が激励に来てくれた。
「頑張れよ!」
「死ぬなよ!」
「1層みたいにボスを倒す必要はないんだからねー!」
「危なくなったらすぐにボス部屋から出るんだぞー!」
おお、すごいな。
多分今いる冒険者のほとんどが集まってるんじゃないか?
それに対して僕達は戸惑いながらも、大きく手を振って答えた。
次の瞬間、魔法陣が起動して僕達に視界が白に塗りつぶされた。
そして目を開けると、そこには1層と大して変わらない光景が広がっていた。
「始まったね。」
1層はただ広いだけで何も面白いことがなかったけどどうかな。
「そうだな。だが、もう1層の時みたいなことにはならないんだろう?
ボス戦の後にアシュタロトだったか、みたいなのはもう出てこないって聞いたが。」
「私たちも聞きました。
前いたセイメイという人に昨日教えてもらいました。」
「そうだったね。でもセイメイって何か怪しいっていうか、信用できないんだよね。
今度レオも呼ばれると思うけど気を付けてね。」
「そうなんだ。気を付けるよ。」
アシュタロトと戦っているときは普通そうだったんだけどな。
でも、シズクがこんな風に言うってことは信用しない方がよさそうか。
「さあ、出発するぞ。
話は歩きながらでもできるからな。」
「「「おー!」」」
「ついたな。ボス部屋。」
「そうだね。1層と比べるとあっという間だったね。」
「まだ1日経っていないんじゃないですか?」
「まだ昼ご飯食べてすぐじゃない?お腹まだ空いてないんだけど。」
あっという間にボス部屋の前についた。
正直特に感想がなかったというか、手ごたえがなかったというか。
だって、景色はダンジョンの中じゃ全然変わらないし。
出てくる魔物も弱すぎるし。
ゴブリンの進化種って言っても、まあやっぱり元がゴブリンだからかな、大して強くなかった。
打ってくる魔法も発動は遅すぎるし、威力は低いしでもう何とも言えない感じになった。
あ、でも唯一よかったのは『魔境生成』っていうスキルを試せたことかな。
これは魔力を最初に結構使うけど、それからは魔力放射と魔力感知を常に魔力を使わずに使えるっていう感じのスキルだった。
イメージ的には、体から最初に魔力を外に出してそれが僕を中心に回っているって感じ。
だから最初に魔力は結構使うけど、それからは全然使わなかった。
実際、エクスカリバーの能力で全回復まで行ってるし。
これのおかげで、魔力の残量とか意識する必要なく感知が使えるから、余計に楽だった。
「どうする?もう今日中にボス部屋に挑むか?」
「僕は全然疲れてないから、今から行ってもいいんだけど。」
「私も大丈夫だよ。」
「私も大丈夫です。魔力とか全然使ってないので。」
みんな大丈夫そう。そりゃそうだよね。
Cランク以上しか入れないダンジョンなのに、オークよりも弱い魔物しかいないんだもん。
拍子抜けどころじゃないよね。
「じゃあ、行ってみるか。
もしやばそうだったら、すぐ戻るぞ。」
そうアントンが言って、ボス部屋のドアを大きく開けた。
その最奥には、大きな狼が座っていた。
5000PV突破です。
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