2層攻略に向けて
マサムネとの試合が終わった後、すぐに特剣天から戻ってきた。
結局マサムネに聞きたいことがたくさんあったのに何も聞けなかった。
明日にでももう一回行ってみて、そこで聞いてみるか。
感情の制御の仕方とか、神域についてとか、……ヒナの言っていたことについてとか。
今度ヒナに会ったときにちゃんと謝ろう。
ヒナは何も間違った事言ってなかったわけだし。
一応パーティーの中では一番レベルも高いのに、真っ先に諦めちゃだめだよね。
それに初めて見る魔物と戦う時は、最初にしっかり動きを見てから隙を探しているし。
考えれば考えるほどヒナの言ってることは間違っていない。
……そういえば、アシュタロトが最後になんか言ってたな。
確かその星の剣神に魔法神とか。
この口ぶりと先の戦いを見るに、マサムネとセイメイは神なのかな?
それに、創造神のことを創造神のやつ、とか言ってたし。
……でも、これは聞く必要はないかな。
マサムネが神であったとしても、これから態度とか変えるの面倒くさいし。
……呼ぶ予定の一人ってアントンのことかな?
翌日、情報部屋に再び向かって情報を集めた。
あ、ちなみに僕達全員Bランクに上がってた。だからパーティー名を決める必要があるらしい。
これは以前とは違って、強制らしい。
ボサボサ頭のシルフィードさんが昨日言っていた。
前にもイースターの冒険者ギルドでも言われたけど、保留にしてたんだよね。
だって、何をパティ―名にしたらいいかさっぱりわからないんだもん。
ジークさん達はなんていうパーティー名だったっけ?
よく剣聖のパーティーとかって聞くけど、そのパーティー名とかってあんまり聞かないな。
いや、今は情報収集をしなくちゃ。
でもダンジョン内は1層よりも少し小さいくらいで、迷路みたいな道も変わりはなかった。
つまり、こっちはよくわからないからアントン達に丸投げしちゃえって感じ。
それより、重要なのはそこに出てくる魔物の方だよ。
1層に出てくる魔物はめちゃくちゃ弱かったけど、2層はどんな感じかな?
……、…………、うん。
戦ってみないとよくわからないけど、何とかなりそうかな。
ゴブリンの進化種のホブゴブリン、ゴブリンメイジ、ゴブリンアーチャーが新しく出てくるみたい。
でこれらが集団でダンジョン内を闊歩しているんだと。
それ以外は特に1層と変わりないみたい。
……びみょー。
情報を集め終わって、酒場でごはんを食べていた。
……やっぱり使われているのは基本的に魔物が残していったものなんだな。
集めた情報を共有していると、
「なあ、ちょっといいか?」
後ろから声をかけられた。
振り返ると、そこには1層に行く前に情報部屋の遭遇した男達が立っていた。
「なんですか?」
アントンが答える。いつも通りだね。
「俺たちもお前達のパーティーにいれてくれないか?
昨日1層の攻略が終わったって聞いたから、2層の攻略を一緒にやりたくてな。」
え?
アントンが困惑したように僕の顔を見てくる。
いやこっち見るな。いいはずがないじゃんか。
なんで僕達のパーティーに追加で誰か入れなくちゃいけないんだよ。
必要ないだろ。しかも6人も。
連携とかも全然取れないんだからいいことないでしょ。
大きく首を振って拒絶の意志を伝えると、
「いえ、俺たちは4人で十分なので。」
と断ってくれた。
やっぱり、アントンが一番体も大きいから圧が違うよね。
僕がやっても、きっとこううまくいかないだろうし。
「なんでだよ。人員が増えればそれだけ余裕が生まれるじゃねぇか。」
「そうだ。1層はたまたまうまくいったのかもしれねぇが、2層じゃそううまくいかねぇぞ。」
後ろに立ってい男達も声を上げ始めた。
それにそのうちの一人は死んでも自己責任だ、とかいってた輩じゃん。
信用できないね。
「だから、俺たちは4人で十分だって言ってます。
なにを思っても自由ですが、俺たちが誰かと組むことはありません。」
そう、よく言った。
アリスとかならまだいいけど、出会ってすぐのやつに背中を任せられるはずがないでしょ。
「おい、リーダー。なんでこんなガキどものパーティーに入ろうとしてるんだ?」
「逆に俺たちのパーティーに入れてやる、って方が正しいんじゃないか?」
「そうだよ、普通実力が下の方が入れてくれっていうもんでしょ。」
……こいつらは何いってんだ?
節穴にもほどがあるでしょ。
どこをどう考えたらお前達の方が上になるんだ?
感じる魔力量もそこまで多くないだろ。
歩き方からしても剣をそこまで扱える感じじゃない。
え、昨日の男と同じじゃない?
「お前ら何言ってんだ。俺達の方が弱いからパーティーに入れてくれって頼みに来てたんだぞ。」
リーダー格のこの男は割と普通の考えができるみたいだね。
「はあ?何言ってんだ?頭でも打ったか?」
「当然のことを言っただけだ。俺たちはこの4人よりも弱い。」
「あー、はいはい。そんな弱腰がリーダーじゃ士気にもかかわるしな。
……死んでくれ。」
「は?」
ブシャッ!
リーダー格の男から血が噴き出して、僕達に降りかかった。