ダンジョンから出て
ボス部屋の入り口とは反対側にある出口からでると、そこには小ぶりな魔法陣とその隣に大きめの木箱が置いてあった。
「なにこれ?」
なんでこんなところに箱なんてあるんだ?
「おかしいな。情報部屋にも魔法陣があるとしか書いてなかったんだが。」
「そうですね。私も聞いたことありません。」
ありゃ、二人とも知らないのか……。まあシズクも知らないよね。
ポカーンと口を開けてる。
僕もだけど、まったく情報収集してなかったし。
こういう時どうするんだろ?
「……開けるか?どう考えても怪しいが。」
アントンが3人に問いかけてくる。
いやー、確かに怪しいけどさ。誰がここに置いたのか、とかどうして情報部屋にそんな情報がなかったのか、とか。
でも、鑑定した結果
名称 宝箱
所有者 なし
種類 魔道具
耐久値 ∞
攻撃力 0
効果 中に見た目以上にたくさんのものを収容できる。
また、中に入っている限り外の時間とは切り離される。
一度でも開けられたら、耐久値が0になる。
って出てきたんだよね。
だとしたら、中身が腐ってるとかはないわけだし、開けてみてもいいんじゃないかとか思うんだけど。
もし、敵が入っていてもセイメイに治してもらった今なら倒せるし。
「……開けてみよう。でももしもの時のためにいつでも逃げられる準備をしておこうか。」
ということで、開けることにした。
でも、逃げられる準備として、シズクが魔法陣の前に立って、右手でヒカリの左手を掴み。
ヒカリは左手でアントンの右手を掴み、アントンは左手で僕の右手を掴んだ。
まずそうだったらシズクが魔法陣に乗って起動させる。そうすればみんなダンジョンから出られるよね。
って感じ。……まあなんか恥ずかしいけど、誰も見てないからいいよね。
宝箱の前に立ち、恐る恐るそれに手を伸ばしていく。
そして、―――勢いよく開けた!
そこには、剣と杖があった。
「大丈夫そうだよ。」
そう3人に声をかけて宝箱に入っていたそれらを取り出す。少しの光とともに宝箱が消滅していった。
剣は僕が持っているものよりも少しだけ細く、でも重さはしっかりとしている。
鞘から剣を出すと、刃は黒く、重厚感を醸し出していた。
杖はよくわからない。ヒカリたちに渡してみようか。
「……凄いな、この剣。俺でもこれがかなりの業物だとわかるぞ。」
「そうだね……。」
うーん。こんな剣だとなんか星剣マサムネみたいに名前がありそうだけどな。
……鑑定してみるか。これまで武器に鑑定したことなかったけど。
名称 エクスカリバー
装備者 なし
種類 聖剣
耐久値 10000/10000
攻撃力 300
効果 装備者のHPとMPとSPを少しづつ回復させていく。
また、魔力消費量を減らす。
おお、聖剣だって。
なんか星剣と似てるけど、多分別物だろう。効果が星剣の方がえげつなかったし。
いや、普通攻撃力上昇とか効果とかある方がおかしいんだけどね。
今持ってるカミラさんにもらった剣も別にそんな効果とかはないし。
うーん。これを僕とアントンのどちらが持つべきだろう。
僕も使ってみたいけど。
でも、これはアントンが持つべきかな。アントンの方が一撃の威力が大きいし。
そう思ってエクスカリバーをアントンに手渡そうとしたとき、その手を押しとどめながら
「……これは、お前が使え。」
と、アントンが言ってきた。
「でも、アントンが持ってた方がよさそうだけど。
攻撃力が300も上がるみたいだから、一撃が一番重いアントンが持つべきじゃない?
それにHPもMPもSPも自動で回復するみたいだし。」
「それならなおさらだ。
俺よりも攻撃の手数が多いし、魔法も使えるしな。
索敵の時も魔力使ってたんだろ?
だったら少しでも回復できるならお前が持つべきだ。」
……確かに一理ある。魔力感知とかにもっと魔力を使えればより正確に感知ができる。
「……分かった。なら僕がこれを使うよ。」
カミラさんからもらった剣をアイテム袋にしまってからエクスカリバーを腰に装備した。
……そういえば、そろそろ魔力感知とか魔力放射とかレベルMAXになってそうだな。
少し見てみようかな。
名前 レオ
種族 人
ランク B
LV 53
HP 986/986
MP 739/739
SP 867/867
攻撃力 1216
魔法力 860
物防力 565
魔防力 544
回避力 867
(スキル『片手剣 LV7』『両手剣 LVMAX』『火属性魔法 LV8』『水属性魔法 LV1』『風属性魔法 LV6』『神聖魔法 LVMAX』『身体強化魔法 LVMAX』『武器強化魔法 LVMAX』『感覚強化魔法 LV2』『魔力制御 LVMAX』『魔力把握 LVMAX』『魔境生成 LV1』『鑑定 レベルMAX』『裁定 LVMAX』『身体苦痛耐性 LV8』『精神苦痛耐性 LV3』)
称号(『勇者』『剣の道を切り開くもの』『魔の道を切り開くもの』『覚醒の兆』)
……うん?何だこれ?
魔法陣に乗って起動させるとすさまじい光が魔法陣から放たれた。
次の瞬間、最初の大きな魔法陣の所に戻ってきた。
「おお、帰ってきたぞ!」
「久しぶりじゃねえか、新人が帰ってくるなんてよ。」
「ほんとね。7パーティーぶりとかだったかしら。」
「ようやく仲間が増えたんだね!このダンジョンを攻略するための!」
なんだなんだなんだ?