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人と神様の国取り合戦  作者: きりきりきりたんぽ
ダンジョン攻略
104/125

VSアシュタロト その1

 オルタンジェル?それに堕天使ってなんだ?

ただ、さっきとは比べ物にならないほどの脅威が目の前にいることは確かだ。


「さて、自己紹介もしてやったところで死んでもらおうか。

この星の神に気づかれる前に準備を終えねばならんからな。」


 白と黒の両翼を広げながら、そんなことをのたまうアシュタロト。


 そして次の瞬間、広げられた両翼から羽が大量に飛んできた。

そのスピードこそはゆっくりだったものの、いかんせん数が多すぎる。

まるで天井そのものが降ってくるようだった。

 でもね、


「嵐属性魔法 ハリケーン!」

「剣聖技 夢幻一閃・乱!」


その程度であればどうとでもなるんだよね。

 シズクの作り出した嵐に巻き込まれた羽はどこか離れたところに突き刺さり、それに巻き込まれなかった羽は僕が斬り落とした。


「で?どうやったら死ぬのさ?」


 少しでも気を抜けば湧き上がってくる恐怖を押し殺しながら、そう問いかける。

当のアシュタロトは空に浮かびながら何かをこねてる。


「うん?なんだ、まだ生きてるのか。

少し手を抜きすぎたようだな。ならこれでどうだ?


 暗黒魔法 ダークレイン。」


 アシュタロトが指をはじくと、突然ボス部屋の天井が黒色に染まりそこから黒い液体のようなものが降ってきた。


「水属性魔法 ウォーター・プリズン!」


 今度はヒカリが魔法を放った。

すると僕達の周囲から水が立ち上り、それは僕達の頭上で傘のように広がった。

黒い液体はその上をすべるようにして僕達の周囲に流れていき、床に触れると同時にジュー、という音とともに煙を立てた。

 これは、……溶けてるのか?

すぐに黒い液体は天井から流れなくなったが、僕達の周囲の地面はボコボコになっていた。


「ほう、これもしのぐか。普通の魔法では防げないはずなんだがな。


 ……いや、お前らからなぜか神力を感じるな。お前ら、というよりもその光の玉からか?

どういうことだ?なぜお前たちのような人間から神力を?

これは今のうちに摘んでおくべきか。いづれ脅威になりかねないしな。


 暗黒魔法 暗黒神の慈愛(ダーク・ブレッシング)

 暗黒魔法 暗黒神の嘲笑(マジック・キャンセル)。」


 アシュタロトが恐ろしい勢いで魔法を行使してくる。

しかも多分かなり高位の魔法を。

二つの大きな黒い魔法陣が展開されて、すぐに消える。

それと同時に体がいきなり重くなるのを感じた。


 この感じは……ヒカリの支援魔法だけじゃなくて、身体強化も解けてる!?

それだけじゃない、それ以上にステータスが下がってる!?

しかも身体強化を発動させることができない!?

どうなってるんだ!?

シズクもさっきまで準備していた魔法が不発になってみたいで慌てている。

光の玉も消えかかっているし。


 アシュタロトはゆっくりと地面に降り立つと、


「これで止めだな。

 暗黒魔法 暗黒神の抱擁(ダーク・エンブレイス)。」


そう一つの魔法を発動させた。

 すると、ボス部屋の地面全体に黒い魔法陣が広がっていき、地面が闇に包まれた。

そしてアシュタロトは軽く手を払った。

その瞬間、僕達一人一人の目の前で闇が固まって大きなこぶしを形作り、殴ってきた。


ゴンッ!!


 魔法による強化がなくなっていた僕達はなすすべもなく吹き飛ばされた。

しかも、先ほどまで闇だったとは思えないほど硬かった。多分アントンの装備よりも固い。


ガハッ!


 当たる直前で少し後ろに飛んだから、衝撃を逃がすことができた。

アントン達は?

いや、今はそんな暇はない。何とか着地しないと。

そう思って着地点を見ると、……背筋が凍り付いた。

 着地点の少し前で、再び闇が固まってこぶしを形作っていたのだ。


 ヤバッ!今度は空中だからよけきれない!


バキッ!


 こぶしが当たった左腕と左側の胸の骨が砕ける音を聞いた。

あまりの生々しい衝撃に、それはまるで他人事のように思えた。

飛ばされている間に僕は同じように飛ばされているアントン達を見つけた。

 まずい。一番HPが多いアントンでさえあと2回もあの攻撃を食らったらなくなってしまう。

ヒカリとシズクに限っては見えただけでも、体中に大怪我を負っている。

せめて魔法が使えたら話は違ったんだと思うけど。

次の食らったら死んじゃうかもしれない。


 ……また、僕は約束を破ってしまうのか?

さっき、守るって決めたばっかりの約束を?

いや、そんなのダメだ。

アントンが、ヒカリが、シズクが、僕のことを信じてくれたんだ。

 ……だから、今度は僕がその信頼にこたえる番だ。


 だったら、たとえ、腕が折れても、


「やってやる!ゴホッ!


はああっ!剣聖技 夢幻一閃・乱!」


 何とかまだ折れてない右腕で握っていた剣が、僕達が落ちるところ一帯の闇を切り裂いた。

ドスン、と鈍い音がして3人が地面に衝突する。

急がないと、あと少ししたら攻撃がなくてもヒカリとシズクが死んじゃう。

 すっと、目を閉じて詠唱を始める。


「それは、誰もが夢想す、る幻想の剣。ゴホッ、万物を斬り、万物を、斬らぬ最古の、星剣。

ここに、来たれ、創造魔法 星剣マサムネ!」


 すると僕の足元に虹色に輝く魔法陣が出来上がった。

前回とは違う、アシュタロトも作り出していた規模の魔法陣だ。

そしてその中心に僕の神域を作り出してくれていた、消えかかっている光の玉が入り込んでいった。

そして一際強い光を放つと魔法陣が中心に収束されていき、一振りの剣を作り出した。


 その柄を握ると、僕の体に力が流れ込んできた。

ブラッディ・ベアの時とはまた一線を画するほどの力が。

体の傷もみるみるうちに治っていく。

これなら、行ける。


「これで、この力で今度こそ皆との約束を守るんだ。


神域生成 神々の運命(ラグナロク)。」


 ボス部屋の床を満たしていた闇が晴れて、見えないはずの夕暮れ時の赤い空が現れた。

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