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第5話:相談してみよう

ぼー……


目の前には行きかう人人人。

眺めているだけでも多種多様な人を見ることができる。

でもたくさんの人を見ていても僕には人がいっぱいだとありきたりな感想しか浮かんでこない、そんな自分のスカスカな脳にちょっぴりがっかりする。

きっと自分の頭は中間テストのせいでオーバーヒートしているのだ、きっとそうに違いない。

それに、今日の目的は人間観察ではなく中学の頃の友人と待ち合わせだからうまいことがいえなくても全然問題ない。



うん、理論武装は完璧だ。



と、どうやら待ち合わせの相手が来たみたいだ。


「ごめ〜ん、待ったぁ?」


「いや、別に? 悪いね急に呼び出して。とりあえず腰を落ち着けたいからどこか入りたいけど、えーと、そこの喫茶店でいい?」


「え、あ、うん……」


? なんで鳩が豆鉄砲を食らったときのような表情をしているんだろう?


「よし決まり、呼び出した手前おごるけどあまり高いものは勘弁してよ?」


「わ、わかった……」


そして、手ごろな喫茶店で注文を終えた僕らは向かい合って座っていた。


「コーヒーとかよく飲めるよなぁ。僕コーヒーって苦くて全く飲めないし、無理して飲むと腹が痛くなるんだよね」


「まあ、これが病みつきになるの……ねえ、ひとつ聞いていい?」


「なに?」


「私の格好を見て、何か言うことはないの?」


「……そういえば、お前男なのになんで女の格好してるの?」


「遅い……つっこみが致命的に遅すぎる……」


僕の中学時代からの友人、須藤信也(男)はがっくりとうなだれてしまった。

僕は何かまずいことを言ったのだろうか?


やはりあれか、コーヒーが飲めないことは彼の中ではNGだったのだろうか?


「須藤……何も言うな、わかってるって」


「わ、渡瀬……」


「ミルクと砂糖を入れれば何とかコーヒーも飲めるから、いやしかし、須藤がそんなにコーヒー党だったとは……」


「ちっがーーーーーーーうっ!」


怒鳴られた。


「むう……違うのか」


「なんで聞かないの! 私中学の卒業式までこんな格好してなかったでしょう!? もっとこう……なにかあるでしょ!」


「んー……」


まあ、確かにちょっとはびっくりしたけど…。


「須藤は須藤だろ?」


僕は須藤に会いに来て須藤と会った、それのどこにおかしいところがあるんだろうか?

簡潔にしすぎて疑問をひねり出す方が難しそうだ。


「……………………ぷ、くくく」


「?」


「あっはっは! そうだったそうだった! 渡瀬ってこういうやつだったね! すっかり忘れてたよ!」


「む、友達がいのないやつだな、会わなくなって半年もたたないうちに友人の人柄を忘れるなんて」


テストを無事突破できて気分がいいからおごろうって気になってたのに、もう須藤にゃおごってやらん。


「ごめんごめん、ちゃんと相談には乗るからさ」


そう、今回須藤を呼び出した理由のひとつは相談を持ちかけるためなのだ。

別にそれなら電話でもよかったのだが久しぶりに顔を見たいというもうひとつの理由により電話は却下された。


しかし……ずいぶん変わったもんだ。

薄くしている化粧のせいか一見して男とは思えないだろうなあ。

元々女顔だし体つきも細かったが……これが高校デビューというやつなのだろうか?

高校デビューすると性別まで変わってしまうらしい、恐るべし高校デビュー!


「それで? なんなの相談したいことって?」


とと、そうだったそうだった。

一番初めの目的を果たすとしよう。


「ああ、それは……」



続きます


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