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第30話:譲らない

もぐもぐ


もぐもぐ


夜遅く、僕らは小腹が空いたので夜食用に買っておいた菓子パンを食べていた。


「ん〜、やっぱりメロンパンおいしい〜、これが一番だよ。久しぶりに食べるからなおさらおいしい!」


詩遠はメロンパンを頬張ってとてもご満悦のご様子。

普段は僕特製の弁当があるから菓子パン買いに購買に走ったりしないもんね。

ちなみにこの菓子パンたちは先ほど僕がひとっ走りコンビニまで買いに行って来ました。

いくら詩遠が強いとはいえ女の子に夜道を歩かせるわけには行かないもんね。


おいしいおいしい言いながらもうふたつめのメロンパンに手をつけている。

きっとマンガ風に描写したら詩遠の背景にハートマークが乱舞してるんだろうなぁ。


しかし、いつもは詩遠の行動や言動をしょうがないなあで許している僕にも譲れないものがある。


「詩遠、昔から何度も言うようだけど菓子パンの一番は絶対ジャムパンだって」


言いながら僕は手に持ったジャムパンをひと齧りする。

ああ……おいしい〜……。


僕の言葉に反応して詩遠がむっとした顔をする。

……するのだがリスのように膨らんだ頬のせいで睨まれてもまったく効果がない、むしろかわいい。


「むー! むむむむっむむ、むむむむむー」


「口の中のものを食べきってから話したら?」


「む」


しばらくもごもごと口を動かす詩遠。

ごくんと元メロンパンを飲み込んでから詩遠は再び口を開いた。


「それはこっちの台詞だよ、メロンパンは最強。だから一番はメロンパンに決まってるの」


「なにおう! ジャムパンは一口食べればパンのふんわりとした食感と共にとろっとした甘酸っぱい風味が口の中に広がってゆき、しかも食べていくとパンとジャムの比率が変わってゆくからほんのりイチゴ味からどろりと濃厚なストロベリー味まで最後まで目が放せない、いや舌が放せないんだよ!」


「何言ってるの! メロンパンは外側のかりっかりなクッキー部分に舌鼓を打ち、中のふわふわボリュームに圧倒され、カリカリだけ先に味わって良し、ふわふわを先に平らげるも良し、同時に食べてそのハーモニーを堪能してなお良しの逸品なんだよ!」


「むむむ……!」


「ぐぬぬ……!」


睨みあう僕と詩遠。

お互い片手に菓子パンを持っているのが格好つかないけど。


「……」


「……」


「…………食べよっか」


「…………うん。誠一、ジャムパンちょっと頂戴」


「いいよ、代わりにメロンパン分けてね」


今回もお互いに譲らずに引き分け。


菓子パンは仲良く分け合って完食しました。

食の評価の表現って難しいです。


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