第27話:レター
『この手紙……俺に?』
『うん……、そこに私の気持ちが書いてあるから読んで欲しいの』
「べたべただなぁ……」
そう思いつつも、私は買ってきた少女マンガを読みふけっていた。
そういえば中学生の頃に誠一宛のラブレター書いたっけ。
結局書いただけで渡さなかったんだよね。
あれ、書いた後どうしたっけ?
確か……読まないマンガに挟んでそのまま放置してたはず。
思い出すと急に気になるもので、私はラブレターを探すことにした。
ごそごそ
「おっかしいな〜、どこにやったっけ?」
本棚を漁ってもなかなか見当たらない。
ここにしまっておいたと思ったんだけどなあ。
確かシリーズもののマンガを大量に並べてたと思うんだけどその部分だけ無くなってる。
どこにやったんだろう?
――――ん? そういえば昨日誠一が部屋を訪ねてきて……、
(回想)
『ねえ詩遠、ちょっといい?』
『どうしたの誠一?』
『読みたいマンガがあるんだけど、借りていってもいい?』
『いいよ、マンガなら本棚に入ってるから勝手に持っていっちゃって。なんならここで読んでいっても……』
『ありがと〜、うわ結構量あるなあ。じゃね詩遠』
『あ、ちょっと誠一!?』
(回想終了)
あのときかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
まずいまずいまずすぎる!
どうせ渡さないからってすっごく恥ずかしいこと書いていた気がする!
なんで早く捨ててしまわなかったんだろう!?
早く取り戻さなくっちゃ!
私は慌てて誠一の部屋に向かった。
「なんだろこれ? 『誠一へ、私はこのあふれる想いを抑えきれずこうして手紙に書き綴りました……』」
「誠一、邪魔するねってええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
誠一は既に私のラブレターを発見して、あろうことか開封して中身を読み始めていた。
「読むなああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「え、詩おへぶはぁ!」
私の神速の蹴りがこちらに気がついた誠一の意識を刈り取った。
ごろごろ転がって床に沈む誠一……ちょっとやりすぎちゃったかな?
それよりも、と私は誠一が落っことしたラブレターを拾い上げた。
どんなこと書いてたっけ?
……
…………
これは、無理! 人にはお見せできません! 恥ずかしすぎるよ中学生の私!
私はその場でラブレターをびりびりに引き裂いた。




