番外編:お隣のシンデレラ
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(注)この話は本編とはまったく関係ありません。
昔々、あるところにシンデレラ=誠一というそれはそれは美しい男の子がおりました。
「ちょ、ちょっと待って! 何で僕がシンデレラなのさ!? 詩遠じゃなくて!?」
何ででしょうね、とにかくいたんです。
「えー……、まあいいけど」
誠一は両親からそれはそれは大事にされて過ごしていました。
しかし、その幸せは長くは続きませんでした。
誠一の母親が病でこの世を去り、その数年後に父親は新しい母親を娶ります。
この継母は性格が破綻しており、美しい容姿の誠一をひどく妬みます。
誠一が今まで持っていた多くのものを奪い取り、屋根裏部屋に押し込めて朝から晩まで働かせます。
それだけではありません、継母の連れて来た義理の姉も大層いじわるで一緒になって誠一をいじめ……。
「ちょっとお母さん! 誠一にひどいことしないでよ! ああ、誠一も可哀想に、こんなに手が荒れて……」
一緒になって……。
「詩遠義姉さん心配しすぎだよ、僕なら大丈夫だからさ」
一緒に……。
「もう、誠一は自分に無頓着すぎるのよ。まったく、危なっかしいったらないわよ」
一緒……、ゴホン。姉=詩遠はいじわるではなかったので誠一と詩遠はとても仲良くなりました。
ある時、王子様の結婚相手を決めるための舞踏会が開かれることになりました。
継母はこれ幸いと、詩遠を舞踏会に連れて行こうとします。
「詩遠、これはチャンスよ。舞踏会に行きましょう」
「イヤ。私は王子という人にまったく、ぜんぜん、ひとっかけらも興味がありませんから」
詩遠のきっぱりとした拒絶に、継母はそれ以上何も言えませんでした。
そして舞踏会の夜、舞踏会とはまったく関わりのない誠一の元へ魔女がやってきました。
「どうも、魔女の須藤です」
「はあ、魔女さんですか。これはこれはご丁寧に、シンデレラの誠一です」
「ねえ、舞踏会に行ってみる気はない?君なら王子様のハートをゲットできると思うのよ」
「いや、僕は男ですし」
「私にかかればどんな男だって可愛い女の子に大変身よ♪」
「断固拒否させてください」
「ええー……」
誠一が土下座までして拒否したことで、魔女はしぶしぶ帰っていきました。
魔女が帰った後、詩遠が誠一の部屋を訪れました。
「誠一〜、入るね」
「あ、詩遠。いらっしゃい」
「聞いてよ誠一、お母さんが舞踏会に行けってうるさくって……」
「行きたくないの? おいしいもの食べられるのに」
「そういう理由で行くのもどうかと……」
二人には、きらびやかな舞踏会も魔女も必要なかったのです。
なぜなら、二人は今でもう十分に満たされているのだから……。
「とりあえず義理の姉弟でも結婚できるように法律を改定しないと……」
「詩遠、何か言った?」
「ううん、何にも〜」
〜END?〜
配役間違えたかなあ……
これからもお隣の詩遠さんをよろしくお願いします。