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第13話:相談してみよう その2

「と、いうわけなんだよ」


「なるほど、それで新しいお礼方法を考えるために知恵を貸して欲しい、という事なんだね」


「そうそう」


放課後、僕は須藤を前回の喫茶店に呼び出して『第2回詩遠にお礼をしよう会議』を開催していた。……もうちょっとネーミング何とかできないかな、お礼参りしたいように聞こえるよねこれ。


「そうだねぇ……、例えば何かプレゼントしてみたら?」


「プレゼントかぁ、いいかも」


「朝倉さんの趣味嗜好は知ってるわけだから、喜びそうなものに心当たりとかない?」


「そうだなあ……」


詩遠が喜びそうなものかあ。

んー……そういえば詩遠が何か欲しがってたりするのってあまり見かけないな、基本的に物欲が薄いんだろうね。

でもプレゼント贈る側としてはもうちょっと人並みの物欲をもって欲しいところ……、とと、脱線してきてる、いかんいかん。

詩遠が欲しいもの欲しいもの、………あ。


「そういえば、食べたいものがあるって言ってた」


「お、じゃあそれをご馳走してあげたらいいんじゃない? で、何を食べたいって言ってたの?」


「バケツパフェ」


「……ジャンボパフェじゃなくて?」


「バケツで間違いない」



しばらく前に詩遠と町を歩いていたとき、ショーウインドウに飾ってある通常サイズのパフェを見てこう言った。


『あー、一度でいいからバケツいっぱいのパフェを心ゆくまで食べてみたいな〜』



「と、言うわけなんだ」


「えっと、大きなサイズのパフェじゃダメなの?」


「いや、出来る限り希望がかなうようにしてあげたいんだが」


「相変わらず変なところで頑固だよねえ。しかし、大きめのパフェならいくつか知ってるけど、流石にバケツサイズとなるとちょっと見かけたことないわ」


「ううむ……、流石に妥協するしかないかな?」


僕らがバケツパフェをあきらめかけたその時、第3者の声が割って入った。


「ちょっとよろしいですか?」


僕と須藤が声の方を向くと、僕らが座っているテーブルの傍にこの店の制服を着たナイスミドルなおじさんがにっこりと微笑んだ。


「あ、店長」


須藤が声を上げた。


「知り合い?」


「あ、言ってなかったっけ。私この店でバイトしてるんだ。たまにだけどね」


へー、そうだったんだ。たまに近く通るけど知らなかった。……職場でも男の格好じゃなくて女の格好してるんだろうか?


「私はこの店の店長を勤める石田と申します。失礼ですが話が聞こえてしまい、お役に立てるかと思いまして」


「どういうことですか?」


「実は私の店でチャレンジメニューとして新しくパフェを置こうと思うのですが、もしよろしければ試食役をやってみませんか?」


「店長、そんな計画立ててたんですか……」


「いいんですか? 僕部外者ですけど」


「ええ、実は甘いものを大量に食べれる人がいなくて、誰に試食役を頼もうか迷っていたところなんですよ」


それでなんでバケツパフェを作ろうと思ったのか問いただしてみたいが、まあ置いておこう。

これって、もしかして渡りに船ってやつではないだろうか? ううん、棚からぼた餅? まあなんでもいいか。


「それじゃあ、お世話になります」


「こちらこそ、試食よろしくお願いしますね」


自然と手を差し出されたので、僕も自然と店長さんの手を握り返した。

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