魔法と王子と婚約と
今、私は絶望的な状況に陥っている。なぜそうなってしまったのか、話は数日前に遡る。
「さすがお嬢様、もう魔法が作れるようになったのですね!」
「あ、ありがとうございます。」
私は、数年前に水魔法を発現し、現在その特訓に励んでいる。貴族は皆、一つは自分だけの魔法を作らなければならないので、大変だ。•••まぁ、今作っているのは氷魔法なんだけど。どうやら私は、水に関わる魔法なら、なんでも作れるらしい。チートかよ。
「ティアナ、特訓中にすまない!婚約の申し出が来た!」
「また⁈お父様、丁重にお断りして下さい!」
私が高魔力だとどこから聞き付けたのか、婚約の申し出が頻繁に来るようになってしまった。正直言って面倒くさい。
「それが、今回は第一王子、レイク•クライル様からなんだ!」
「はぁ⁈」
待て待て待て!「ラブプリ」に第一王子の元婚約者のモブなんているわけ•••いた!悪役令嬢に権力でその地位を取られるも、最終的に「あの方のほうがふさわしいわ!」となり取り巻きになる黒いシルエット。その名も「取り巻き1」!エンディングでは悪役令嬢と共に死刑か国外追放となる•••。というかそれ私!まさに私!うぅ、ここで破滅の選択をする訳にはいかない!ここは•••!
「絶っっっっ対に断って下さい!お父様!」
「よし、わかった!」
数日後。
「ティアナ大変だ!また王子から婚約の申し出が来たぞ!しかも今度は、国王様のご命令だ!」
「はあぁ⁈と、とにかく一度会ってみましょう。そしてできたら•••断りましょう。」
と、言うわけで。ただいまレイクとご対面中です。
「なぜ断る?エスクエール家よ。私と婚約し、結婚すれば、晴れて王妃になれるのだぞ?」
「恐れながら。私と王子では身分が合いません。それに、私よりも王子にお似合いの方がいると思います。」
これは事実。私は顔が平凡だし、男爵家だし。
「それなら心配するな。身分を公爵に上げてやろう。」
「ほ、本当ですか⁈それでしたら•••!」
うおぉぉい!爵位に釣られるなぁ!
「婚約、成立だな。」
•••ティアナ、12歳。第一王子と婚約することになりました•••。一生恨むぞ、お父様。
ティアナ頑張れ。((((;゜Д゜)))))))