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魔王と一緒にお茶しばく

間隔が開いてしまい、申し訳ありません。

拙いですが、よろしくお願い致します!

「まぁ、茶でもどうだ」


 と、魔王は僕の前にお茶の入ったティーカップを出してきた。

 場所は魔王が使っている一室。

 そんなに広くない部屋のど真ん中に高級応接セット一式が置かれている。

 そこに向かい合って座ってるわけだが、このサイズ。

 いわゆるキングサイズって奴か。


 これ、邪魔だろ。


「魔王、僕は今授業……」


 僕は「授業がある」と言おうとしたが、魔王はそれを手の平を見せて制した。


「皆まで言うな、エル・レクターよ。分かっている。お前もまた、ライトマンに引き抜かれたのだろう」


 何かを悟ったかのような表情で魔王はカップを自らの口元まで運んでいった。


 えぇ、されましたよ。されましたとも、ヘッドハンティング。

 それがどうした?


「して、お前の専門はなんだ?」


 ん? 専門?


「あらゆる魔法に長けているお前のことだ。五つの属性を、人間の分際で習得した者など、余はお前以外ではしらんからな。

 しかし、闇は余の専門であるからな。さすれば、光か?」


 うーむと顎に指を添わして考え込んでいるようだが、魔王よ。

 思いっきり勘違いしてるじゃないか。


「魔王。ちょっと誤解してるようだけど」

「皆まで言うな! 分かっておる! いくらライトマンの頼みであるからとは言え、待遇面は少し考えどころであるからな」


 いや、分かってねぇよ。つーか、人の話をちゃんと聞けよ。

 この能無し魔王が。


「だから魔王。僕の話を……」

「あー、かと言ってすぐに待遇改善を申し出るのは時期を見てからのほうが良い。余も五十年ほど勤めているが、まだ上申してはおらぬのだ」

「え? 五十年?」

「そうだ、五十年、闇の魔法を教えておる」

「どうして魔王であるお前がそんなことを?」

「全てはお前のせいなのだぞ、エル・レクター。お前とその仲間たち(勇者一行)が余の野望を打ち砕いてから、余の元を去る者は後を絶たなかった。残された妻と十人の子を養っていくには、魔王の役員報酬だけでは足りなくなったのだ」


 ま、魔王って役員報酬で生活してたのか!?

 こりゃ驚いた……


「であるからして、仕方なく仕事を探そうと思っていた時に、ライトマンからこの学院の話が来たというわけだ」


 何故だ、魔王の話を聞いていて、後光に照らされながら、愛想笑いを浮かべて手を揉み揉みしているライトマンの姿が脳裏に浮かんで来た。


 ライトマン、お主も悪よのう……


「まぁ、気楽にやれば良い。この学院の生徒は物覚えの悪さと、実家の自慢だけは国内トップクラスだ。暇潰しにはちょうど良いぞ」

「あぁ、まぁ。その」

「何かあればいつでもここに来れば良い。話くらいは聞こう」


 そう言って魔王はテーブルの上に何かの包みを出した。

 魔王は慣れた手つきでそれを解くと、中からは四角い小箱が……


「腹が減ってはなんとやら。ランチタイムだ」


 あぁ、それ。

 弁当だったのか……


「マリアンヌ。いつも苦労を掛けるなぁ」


 この場に居ない女性の名前を口にすると、魔王はいそいそとランチタイムに……


 あぁ、なんだかギャップがありすぎるぞ……


 時代が変わったんだな……


 僕も昼食を摂るとしよう……



 弁当をがっつく魔王を一瞥すると、僕はそっとこの部屋を出た。

 廊下に出た瞬間、


「マリアンヌ〜! 今日も弁当がデリシャスであるぞ、マイワイフーー!」


 あぁ、マリアンヌって奥さんの名前だったのか……

 魔王、幸せにな……


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