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2 わたし、ご立腹なのです。
「また、没取されたぁ〜〜!わたしはただ漫画をよんでただけなのに〜〜!」
帰り道、佐々木は悔しげに教師陣に聞かれたら再び説教されそうな言葉を口にする。いや、叫ぶ。
そして説教されてもなお反省はしていない様子であった。彼女と膝を付き合わせて説教した教師は泣いてもいい。
すれ違う人が驚いて彼女を振り返るがその中の何人かが「あ、いつもの子かぁ」と納得した顔をする。
どうも彼女の奇行はいつものことだとこの近辺では認識されているようだ。
それもどうかと思うが。
ブーブーと頬を膨らませブンブンと片手を苛立ちのまま振り回しながら帰宅する佐々木は叱られてブーたれている小学生の悪ガキそのもだ。おかしい、一応年頃に分類されるはずの少女なのに残念臭が酷すぎだ。
そんな風に帰宅する佐々木の耳に鈍い音が聞こえてきた。佐々木の足が止まる。
「おんや?」
気になって周囲を見渡すと薄暗い裏路地から再び嫌な音が響いて佐々木は目を丸くした。