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1 わたし、隠れてないんです。

ペラ。


「ちっ!」


ぺらぺら。


「ほうっ!うぁ、まさか」


驚きの展開に先が気になってページを捲る手も速くなる。


え、嘘、仲間を逃すために……ど、どうなっちゃうの〜〜!


「………ちっ!」


佐々木が漫画にのめり込み、小さく呟く度に隣の席の強面が彼女の方を横目で確認し、鋭く舌打ちする。


不機嫌丸出しな校内きっての不良の舌打ちは大きくはないのに何故だかその場にいる全員の耳に届き、冷や汗をかかせていた。


「にゃ!ま、まさか隊長が……そ、そんな!」


ただひとり、漫画に夢中なオタクだけはまるで気にせず鼻息も荒く読み進めている。


どうやら精神がかなり図太いか鈍いらしい。


新学期の初クラスに登校してくるなり分厚い週刊漫画を読み始めている段階で精神は強い。


更に言えば隣に不機嫌を極めている強面不良がいても全然お構いなしに自分の萌えに悶えているあたり一般人とは呼べないだろう。


「もうお前黙れ。頼むから!」という周囲の懇願の視線さえ華麗にスルー。我が道を往く自由人気質をも感じさせる。


だが、自由人が自由にしていると隣の強面不良が今にも暴れだしそうだ。新学期早々にうちのクラスから職員室に呼び出し案件が!と周囲は恐々していたが。


「おい、コラァ!佐々木テメェ!あれ程学校に漫画を持って来んなと説教したのに何しれっと読んでんだぁ!放課後、職員室に来い!ってか漫画は没取だ!」


「にゃぁぁ〜〜!先生!後生だから没取は〜〜!今週は一年休載してた名作が奇跡の復活する号なんです!神回なんです!バイブルを奪わないでぇぇ!」


どうやら前年度に色々やらかしていた模様のオタクは担任に速攻首根っこつかまれ説教、漫画を没取されそうになったが全力で追い縋ったため放課後を待たずして職員室に放り込まれ生活指導の主任にみっちり説教をされた。


教師から見れば何もしていない不良よりやらかしまくって反省の色のないオタクの方が要注意人物のようであった。

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