二十歳を迎えた貴女へ
貴女は、いつか言っていた。
「私は大人にならない」
何故、と問うと、事も無げに話す。
「あんな下らない生き物になんてなりたくない。そもそも、大人になるまで生きてるかどうかも分からないんだし」
思えば奇妙な子供だったのだろう。それでも貴女は、本気で、そう思っていた。
幼さの残る貴女にそんなことを考えさせる程に、この世界で生きている大人ははおかしいのかもしれない。あるいは、貴女が世界からずれてしまっているのか。
貴女は子供から思春期の少女になる。様々な人と出会い、幾度も期待と諦めの狭間で揺れた。喜びと悲しみを知った。得るものがあった分、失い、二度と手に入らないものがあった。
そして今。大人になった貴女は、以前では考えられないような表情を浮かべて語るのだ。
「確かに大人は汚い。でも、それを忘れずにいれば、きっと私は、子供の頃思い描くことのできなかった未来を生きていけるんだ」
と。
貴女の笑顔は、この先忘れることができないくらい、とても綺麗だった。
ということで二十歳になりました! 初めてのお酒を飲みながらの投稿でしたー。