杖の緑色
父さんの独り言を聴いた。自然とおらの兄弟に目がいく。
「守る、か…」
おらは強くなる、そう決意するとまた小さくお腹がなる。
「まずは腹ごしらえだな」
お腹を擦りながら外に出ると辺りは暗くなっていた、木々が風に揺られその風にのって香ばしい匂いが鼻に届く良い匂いがする方を向くと11人程の緑色が焼けたビックベアを囲みながら美味しそうに食べている。焼けたビックベア犯人はあいつだ涎が出るのをおさえ近づくと緑色が立ち上がる、足元を見ると杖があるので杖の緑色だろう。その緑色は近寄っておらを指差し微笑みながらこう言う。
「今回の襲撃の英雄のお出ましじゃな」
そういうと周りの緑色から歓声が上がる。自然と笑顔になってペコペコしていると。
「少し聞きたいこともお互いあろうどうじゃ食うか?」
「い、頂きます」
「そんなに固くならんでええ、わしは村長じゃが御主はまだ子供じゃろほっほ」
そう言って肉を包んだ葉を渡してくる。うん、美味しい(自称)神様のためにも沢山食べよう。
「そんなに腹が減っておったか、御主の倒した魔物じゃたーんと食べい」
「?」
「何じゃ覚えておらぬのか?まあいい座りなされ」
自分の横をポンポン叩きながらそう進めてくる。
「いきなりじゃが、御主は何者なのじゃ?」
「皆と同じだと思います…多分」
「うーむ、自分でも分からぬか」
「おそらく御主稀少種だとわしは考えておる」
「稀少種?」
「ごく稀に現れる通常より特異な物をもつ存在のことじゃ」
「おらがそれなんですか?」
「おそらくな、詳しいことはある場所じゃないと分からぬ」
「ある場所?」
「ああ、我らの楽園、≪ダンジョン≫じゃ」
「≪ダンジョン≫…ゴクリッ」
≪ダンジョン≫その言葉を聞くとなんとなく分かる 行かなくてはいけない と何故?と聞かれると答えられないだろう。
だが感じる 強くなれる と…
「まあ、無理じゃろうがな」
「な、何で!」
「………人間じゃ」
また出てきた人間、きっとおらの前世でもある存在。
「ほとんどの≪ダンジョン≫は人間がおるのじゃそしてわしらを殺す、特に危険なのは冒険者と呼ばれる人間じゃ」
「その冒険者って強いの?」
「ああそれも物凄く数が多いのじゃ」
「…」
「まあよいそれより御主も聞きたいことがあるのではないか?」
そう聞かれる。だが行きたい行きたい行かなくちゃいけないじゃあどうするか?そんなこと簡単だ強くなればいい誰でも殺せる様に冒険者でも魔物でもそして皆を守れる様に。
「おじさん!おらに魔法を教えて!」
「…≪ダンジョン≫に行くのか?」
いつもの口調じゃない威圧、殺気を感じる。だがおらの気持ちは変わらない、震える体を押さえつけ絞り出す。
「≪ダンジョン≫には行く…でもそれだけじゃない、おらは皆守るんだ!」
「わしは厳しいぞ?」
「それでも!」
そこまで言うと行きなり笑いだす。笑顔だ新しいおもちゃを見つけたような悪戯な笑み。
「何がおかしい!」
「いやはやすまんのぉ、年寄りは楽しみが少ないんじゃ」
「…」
「そんなに怖い顔をするな弟子にならしてやる」
「本当!?」
「但し一度でも弱音を吐けば破門じゃ」
「うん!」
こうして始まる修行の日々、それを水色のアイツに見られてるとも知らずに…
信じられるか…コイツまだ生後2日たってないんだぜ…
熊肉パーティーしてるよね?(; ・`д・´)