作戦会議
~説明中~
「近くに冒険者が来てる!?それは本当か!?」
師匠がそう言うと場がざわざわとしだす。
「このスライムが教えてくれたから間違いないよ!」
皆が「?」という顔をしてるが一人が怒気を孕んだ声を上げる、父さんだ。
「何処だ、何処にいる」
肩を掴み揺すられる、肩に父さんの怒りが伝わってくる。
「い、痛いよ、落ち着いて!」
「冒険者が来てるんだろ!?これが落ち着いてられるか!」
スライムがピギュと鳴きやっと頭から降りるとて触手のような手を森に向け念話で『こっち!』と教えてくれる。
「あっちに居るらしいよ」
と逃げる様にスライムを捕まえて頭に乗せる。
ひんやりして気持ちがいいから乗っけた訳では無い。
違います。そんな目で見ないで下さい。
「そうか…」
と父さんが置いていた盾を持ち静かな怒りを沸きだたせ歩き出す。
「待て」
「「俺達も行く」」
スッと立ち上り師匠とお兄ちゃん二人が父さんを止める。
「おらも行く!」
皆から駄目だと言われるが、
「スライムが居なきゃ冒険者のちゃんとした位置が分からないでしょ?」
と言うと皆が黙る。
「よかろう、だが貴様は援護だけだ、いいな?」
「よっし!分かりました師匠!」
「そう言えばまだ帰ってきてやってなかったな!」
あっれぇ?スッゴくいやーな予感が…
そうだ!今スライム頭の上にはスライム君が!『た、助けて!』と念話で送ると『ニヤァ…』あっ…駄目だ…
「待った!これから戦うでしょ?こんな無駄な事に使う場「氷の刃!」待って待って待って待っtいいやぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「うむ!スッキリじゃ!よく帰って来てくれたな!青いのも歓迎するぞ!」
「ピギュ!」
なんでスライムと師匠が仲良くなってるんだ…
転げ悶えるおらと後ろ一時の平和な時間を過ごすのであった。
~作戦会議~
決まった事は3つ。
1、冒険者が来る方向に罠を張り迎え討つ、スライムから冒険者と村の距離はかなりあるが村に一直線で向かって来ているらしいので落とし穴、毒草目潰し、吊り上げ罠を中心に攪乱しそこを父さん達が攻撃する。
2、おらは罠を設置、冒険者の距離をしろと父さんに言われた師匠が「わしらが負けた場合の伝令役で連れていくのはどうじゃ?」っという言葉で伝令役となった。それに師匠から「この中でわしらを除けば一番強いのは確かじゃしの?」と御墨付きが皆の後を押した。
3、師匠達が負けた場合戦闘できない者を逃がす。
そうと決まれば作戦開始、会議中も父さんは「おう。おう。」とから返事を返すだけ…冒険者、父さんの前の村。
おらは…おらがやる事に集中しよう。
作戦会議が終わるとお兄ちゃんのお母さんに呼ばれた。
聞くとお母さんは村の罠を作っているらしく作り方と設置方法を教えてくれた。
やり方を一通り覚えた所でスライムが思い付いた!とでも言うようにピ!と鳴き落とし穴に近付くと謎の水を触手の先から流しだす、穴を除くと水がニュルニュルと動き出すあれは…スライム?
そんなことが出来たのか!
それを使えば…何を想像したのかスライムに伝わったらしく『やれやれ』とスライムからもおらに伝わる。
べ、別にスライムに囲まれてひんやりするとか考えて無いから!全然無いから!
スライムにスライム2号(落とし穴のスライム)の事を聞くと『お楽しみ』とした返ってこないので諦めて罠の設置を再開する。
スライムは落とし穴に同じ様にスライムを落としていく悪い事はしないだろうし任せる事にした。
よし準備は完了した冒険者が来るのを待つだけだ、少し震える身体を安心させる様にスライムで遊んでいると…『来た』
「来たみたい」
立ち上り動き出す。
村の皆は分かっているだろう。
勝ち目の無い戦いだと。
しかし進む。
兄弟の為。
家族の為。
親の為。
村の為。
友の為。
因縁の為。
意地だって強がりだって勝機が無くたって、守りたい、断ち切りたい全ての為に5人と一匹は歩む。
「よし、行くぞ」