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ブラッド・ゾーン  作者: 清木 珈琲
3/3

始まり③

あの後、俺はとりあえず安静と言う事で、2日あのベットの上で過ごした。

その間に色々と、この世界のことを教えてもらえた。


意識を失う寸前の「大丈夫だ」の声はやはり郷田さんだった。

駆けつけた時には、俺の体はギリギリの状態だったらしく、慌てて万医先生に見せに行ってくれたらしい。



そして驚く事に、俺が噛まれたのはS級の吸血鬼で、眷属を作ろうとしたが失敗し、能力だけ受け継がれたらしかった。

あり得ない事だが、異世界だから納得するしかない。

眷属を作るには殺す必要があり、普通は一瞬でも噛まれたら死に至る事もある毒牙らしいが、俺は何故か死ななかった。

吸血鬼の能力とは要するに、傷の治りが早く、血を吸えば身体能力が上がり、羽も生えるらしい。

まあ、残念ながら傷の治り以外は、牙がないのでできないみたいだ。


あと、異世界から来た事と吸血鬼の能力の事は誰にも言わない方が良いと念を押された。

この2つのどちらか知られれば、人体実験されかねないと言う事だった。

幸い助けに来てくれた時は郷田さん1人で、他の騎士には詳しい話しはしていなかったらしい。

今知っているのは、俺を含め郷田さん万医先生の3人。今はこの2人を信用するしかない。




この世界には、人間、吸血鬼、妖精、獣人、巨人の5種族が存在し、それぞれ領土があり、能力も違うらしい。

また、500年前にあった大きな戦争以来、他種族間の交友はなく、いわゆる鎖国状態が続いているみたいだ。

俺が襲われたように、能力の高い者が侵入して殺害や誘拐をしてくる事もあるらしいが、遭遇するのは稀だそうだ。その為、人間の領土内に居れば、命の危機は殆どないらしい。

それを聞いて少なからず安心した。


騎士拠点から出ると、建物や服装を見ると日本の面影がなく、改めて異世界と言う事を実感した。

言葉は通じるのに、変な感じだ。電気もないし、ガスもない。元の世界に比べると不便そうだ。

娯楽は、酒屋や闘技場、あと大人の店もあるらしい。まだ俺には早いが……


他にも、この世界の通貨や職種、原則などを聞いたが、詳しい事はまた後で話そう。

何せ今から郷田さんが、稽古をつけてくれると言うので、2人で稽古する場所に向かってる最中なのだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「着いたぞ。ここなら人もあまり来ないし、稽古をするならもってこいの場所だ」


今いるのは、騎士拠点がある街から6時間程歩いた山頂で、確かに人が来そうな場所ではない。

標高もなかなか高いと思われ、草木は少なく岩だらけで、呼吸もしずらい。ここに来るだけでとても疲れた。


「そう言えば、この大きな荷物には何が入っているんですか?」


出発する時に大きなリュックを渡され、「それを背負って行くから。中身は着いてから教える」と言われ、言う通りここまでからって来た。郷田さんは背の丈程大きなリュックを背負っていたが、全然余裕のようだった。


「ああそうだな。開けていいぞ」


そう言われ開けて見ると、中には薄く大きい布と食べ物が入っていた。


「何ですか?この大きな布」

「それは布団だ。ここで入学するまでの1ヶ月、稽古をつけてやるからな!」

「え!ここに泊まり込みですか?それにしては食べ物が少ないと思いますが……」

「食べ物は少し降れば猪や鹿がいる。それに山の幸もな!今日は疲れただろうから持って来たのを食うぞ」


郷田さんはサプライズ成功と言う顔をしてこちらを見ている。

ここで1ヶ月……生きているか心配だ。まあ、早く帰る為にも頑張るしかないか。


「そう言えば郷田さんは騎士なんですよね?俺に付き合ってくれるのは嬉しいんですけど……大丈夫何ですか?」

「仕事か?それは大丈夫だ。何せ俺は騎士の中の騎士。上位騎士だからな!S級の敵が現れない限り大丈夫だ」


上位騎士?そう言えば前も自慢げに言っていたような。騎士と何が違うんだろうか……


「上位騎士はな、北区、東区、南区、西区に1人ずついる。そして俺が北区の上位騎士ってわけだ。すごいだろ?」



確かに言ってる事が本当なら凄い。

でも聞いてもないのに話し始め、ドヤ顔している人に言われてもなぁ……

まぁ本当なんだろうけど。出発する時も騎士みたいな人達から敬いの目で見られてたし ……


「そうですね。すごいです」


俺はわざと棒読みで言う。


「おい!信じてないな?明日覚悟しとけよ?」


そうふざけまじりに言われた。

郷田さんは気さくで面白い人だ。


その後、今日は雑談だけし、持って来た果物やパンを食べ、明日に備え就寝した。

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