俺の彼女は謎が多い
俺の彼女はちょっと不思議なんだ。あんまり紹介すると俺みたいな平々凡々なやつからは離れて行ってしまわないかと不安にもなるが。え?どこにも行かないって?そりゃ嬉しいけど…あはは。ん、こらキスはやめてよ。
因みにいつウチに入ってきたの?
まぁいいか。じゃあ俺の彼女について書いていくとしよう。
書き始めは何がいいかな。やっぱり、これかな?
俺の彼女は謎が多い。
分かっていることといえば、そうだな。
彼女は写真が嫌いだ。絶対に撮らせてくれない。そのくせゲーセンに行くとプリクラのコーナーをじっと見たりする。
彼女は読書が好きだ。いつも俺の隣に座ると横から俺の読んでる本を眺めている。
ん?これは読書好きと言えるのか?ま、まぁいい。
彼女は無口だ。あんまり喋らない。あ、だからと言って根暗だとか無表情だとかそういうんじゃなくて、寧ろ彼女は感情豊かでいつもにこにこしていて、怒るときは頬をハムスターみたいに膨らませて、悲しい時は無音で泣きじゃくって、そんな感じだ。
彼女は大体制服を着てる。休日も。そりゃ校則には休日の外出時も制服を着なさいと書かれてはいるが、守ってるやつなんて彼女くらいしか見た事ない。真面目だなぁと思う。
彼女は森、そして山好きだ。プールや海なんかは誘ってもあまり興味を示さない。きっと泳げないんだろう。気にしてる姿を思い浮かべたらちょっと可愛い。きっと今の俺はすごいだらしない顔をしているだろう。間違いないな。
そして最後になるが、これはどうしても必ず書いておきたい事だ。
彼女は超絶美人で可愛くてもう本当に俺には勿体無いくらいに綺麗で優しくて(以下割愛。
そして彼女の謎。
朝起きたら彼女は毎日、俺の顔を覗き込んでいる。
同棲してるわけでも鍵を渡しているわけでもないのに。
ちょっと怖い。いい加減、鍵作って渡した方が精神衛生上よろしいような気もするけど、持ってるからいらないなんて言われたらと思うとゾッとするから保留。
朝食は自分で作る。彼女はいつも食べてきたと言うから自分の分だけだ。
そうして一緒に登校する。2人とも高校生だ。学年は違うから授業が被ることはない。だが授業が終わって、ふと振り返ると彼女が居たりする。ちゃんと授業受けているのだろうかと少し心配になる。あぁ、因みに彼女は先輩だ。
彼女はいつも俺の家まで一緒に下校する。いつも送って行くよと言うのだけれど、彼女は大丈夫だよの一点張り。結局いつも俺は玄関でお見送り。
そして極め付けは、俺は彼女と初めて会った時のことを全く覚えていない。いや、これは俺の方の問題だとは思うんだが、全く記憶にないんだ。これは女の子にはあんまり好ましく思われないとは思うのだが、全然思い出せない。
気づいたら恋人だった。
こう、「幼馴染だったけど次第に惹かれていってチューなんかしちゃったりしてそれで済し崩し的に、言わば出来婚みたいな感じで恋人関係になっちゃった」
とかそんな比喩表現なんかじゃなく、文字通り。ある日突然、起きたら彼女のそれはそれはとても愛らしい顔が眼前にあり、俺はそれにさして驚きもせずにただ当たり前のことだと受け入れていた。今にして思えば明らかにおかしい。というか最初の頃より最近の方が驚く事が多いんだが。
あと、これは特別言うほどの事じゃないとは思うんだけど、友人には書いておけと強く勧められたので書いておくことにする。
彼女はちょっと、透けてる。
あれ、君の可愛さについて沢山沢山それはもう原稿用紙何百枚分も書いておいたはずなのに触りの部分だけで割愛されてる。
もしかして消したの?なに、照れてるの?ああもうかわいいなぁ。
えーと、最後に。
この物語は、は、はぁ、ふぁ、ふぃっくしゅん!
あぁ、鼻が…