ジカクとジバク
「それでさ…あー!!」
「どうした?」
私が突然叫んだので翔太も吃驚したらしい。
「雅と約束してたんだ…」
雅とは私の幼馴染である。
そして私達並木高校2年B組の担任である。
更に翔太にとっては顧問でもある。
「何時にどこ?」
「櫻井公園に7時…」
「あと10分か…送るよ」
「ホント!?助かる!」
「着替えて来いよ」
「うん」
ミニスカの私にこの様な事を言うのは自転車で飛ばすという意味だろう。
上に着ていたのもジャージで外に行くのだから着替えるべきだろう。
私は上に着ていたジャージとヒートテックを脱いだ。
もう春だと言うのに寒い。
「ちょっ!おまっ!何脱いでんだよ!?」
「すぐ終わるし。」
「そういう問題じゃないだろ」
と、大きいため息をついた。
「ほら終わった」
また翔太が肺にある空気をすべて吐き出す勢いでため息をついた。
「俺が写真撮ってたらどうするの?」
真面目な顔で聞かれ少し言葉に詰まった。
こういう顔の時の翔太は苦手だ。
妙に怖い。全てを見透かしているようで。
「そんなことしないでしょ…」
少し声が震えた。
それを無視しないのが翔太だ。
「うん。俺はね。お・れ・は。けど俺みたいな良い子どれだけいると思ってんの?」
「…ごめんなさい」
俯きがちに言うと優しく微笑んで頭を撫でてくれた。
「うん。解ればいいよ。じゃあ下で待ってるから。早くしないと間に合わないよ」
そう言われて時計を見るとヤバイ。あと8分しかない。
私はスカートを脱ぎ散らかしジーパンに履きかえた。