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同窓会?

 かくして、リーザの精霊の座をかけて給さんと勝負することになったんだけれど、問題はどこでやるか。やっぱり湖の周りを何周かするのかな。

[それじゃいくよ]

 給さんは置いてあったほうきの上に乗り、浮かび上がる。

「えっ? どこに」

「トレーニングセンターだよ。もしかして、いったことないのかい? わたしゃ、前の召喚士に連れられて、何度か行ったことがあるんだけどね」

「へぇ。そんなところがあるんだ」

 リーザとの練習はいつもここでしていたから、知らなかった。ま、僕としては個人レッスンの方がお好みだけれどね。

 ともあれ、僕は給さんの後についていく様にして、空に舞った。さっき、鰹節を買いに行ったときとは逆の方向。ピングリーブ市の市街に向かっている。って、思いっきり町の上を飛んでいるけど、大丈夫なのかな。

「エルハが空を飛んで何が悪いんだい。警察だって、ゆっくり飛んでりゃ、文句も言わないよ」

 と、給さん談。それでいいのか?

 そんなこんなで、てててとゆっくり飛んで行くと、やや開けたところに、巨大な白いドーム状の建物が見えてきた。

「ここ?」

 僕の問いに、給さんは無言でうなずいた。

 やっぱりここが目的地らしい。エルハの登録をした所に似ているけど、こっちの方が断然最新っぽい。

 入り口の前でほうきから降りる。そこには精霊や召喚士と思われる人が結構行き来していた。

 給さんが慣れた感じで、入り口をくぐる。その堂々とした様子がちょっと癪に障ったので、僕も常連さんのように振舞いつつ後に続いたら――入り口横にある受付の人に呼び止められてしまった。

「あのー。すみません。初めての方は、ここで登録を済ませてください」

「あ、はい」

 精霊固有の魔力が入り口に登録されているみたいで、登録していない僕はあっさりとばれてしまったみたいだ。ううっ。別に悪いわけでもないんだけど、何となく劣等感。

 受付の人に話を聞くと、簡単に会員登録できるというので、指示にしたがって手続きをする。施設使用料は、エルハローネに出場している精霊なら、なんと無料。もっとも、そういう福利厚生があるから、エルハ登録するだけでも、毎月結構なお金がかかるのかな。

 ともあれ、無事登録を終えた僕は、先に行った給さんを追いかけて、館内に入る。

 おおっ。

 白を基調とした明るい館内には何人もの精霊がいた。例に漏れず若い女性が多いので、目移りしちゃう。むふふ。……じゃなくて、給さんを探さないと!

 広い館内には、どうやって使うかは分からないけど、なんか最新っぽいトレーニング機械が並んでいる。精霊たちも様々。知り合いとお喋りしてたり、一人で真剣に練習してたり。

 ええと給さんは……あっ、いた。

 と思ったら、誰かと話をしているみたいだった。レース場と違って、精霊の服装は結構ばらばらなんだけれど、その人は特に目立つ、日本の着物のようなものを着ていた。

「給さん、お久しぶりです」

「ああ、元気だったかい」

 知り合いかな? 給さんって実は有名人――じゃなくて有名猫? ま、猫娘だから、目立つしね。

「給さーん」

 僕が近づいてゆくと、給さんと話していた人がこっちに気付いて、ぺこりと頭を下げた。

「こんにちは」

「あっ、どうも」

 礼儀正しい子だなぁ。年は僕と同じくらい。着物姿が目立っているけど、長い黒髪もきれい。

 あれ? この子、どこかで見たような……

 ぽくぽくぽく……考え中。――あっ、思い出した! 新人戦のとき、一着になった子だ。

 最後のコーナーで曲がるときに抜かれて「ごめんなさい」って謝られたんだっけ。懐かしいなぁ。レース後は悔しくて泣いちゃったけど、今となってはいい思い出。

 彼女は僕に懐かしげに見られ、瞳をぱちくりしている。

 この子にとって僕は、レースに参加していた精霊の一人というだけで、きっと覚えていないんだろうなぁ。むしろ僕を覚えているとしたら……

「げっ、あのときのおばん……っ」

 お約束通り出てきたのは、僕と競い合った生意気な小娘だ。

「ふっ。久しぶり」

 向こうが驚いているようなので、僕は努めて冷静に装ってやった。

「……あっ、もしかして新人戦で先頭を飛んでいた方……?」

 僕たちのやり取りを見て、着物の子も僕のことを思い出したようだ。よく考えれば、彼女にとっても初めてのレースだったんだもんね。印象深いのは当たり前。

 かくて、同窓会モードに突入。

 まずは改めてそれぞれ自己紹介。ショートの小娘の方がナジカ。着物の子はぬんらと名乗った。どちらも本名ではなく登録名だそう。僕、白村時久が、トキヒサってなっているのと同じかな。

「二人って、知り合いだったの?」

「まあな。この辺のトレーニングセンターなんてここしかねーから、自然とな」

「はい。何度か一緒に練習させてもらってます。ナジカさん速いですから、いい練習になるんですよ」

「ぬーが言うと、皮肉だよな」

「あっ、やっぱりぬんらの方が強いんだ」

「うるせー」

 などなどと。

 給さんは一人(じゃなくて一匹?)蚊帳の外のはずなのに、平然としている。むぅ。大人だ。そして当初の目的を思い出す。

「って、そうだった。今日は給さんと勝負に来たんだっけ」

「え? 勝負ですか?」

 僕は、ぬんらたちに、給さんのことを伝える。

 すると彼女は、ちらりと奥に目をやって言った。

「それでしたら私たちと一緒にしませんか。ちょうど次を予約しているんですよ」

 数あるトレーニング施設の中でも、やっぱり普通に飛んで練習できる、レース場が一番人気があるため、予約していないと使えないみたい。予約も殺到するから、待ち時間も結構かかるとか。

「あぁ、悪いねぇ」

 給さんったら、あっさり誘いに乗っちゃった。少しは遠慮というものがあってもいいと思うのに。ま僕もレースしたいけれど。

「あっ、でも四人でどうやって決着をつけるの?」

「そんなの、チーム戦にすればいいんだよ」

 給さんがにやりと笑った。



 借りられたのはBコース。どういう仕組みか、上から下へ吹きぬけになっており、床はなく、入り口からスタート地点まで、ほうきに乗って移動する。

 コースは、スタート地点からまっすぐ斜め45度くらいの光線の傾斜を登りつつ、向こう側までゆき、光線に沿って左回りにUターンする。そしてスタート地点を斜め左下に見つつ直進しつづけ、白い壁に向かう。

 壁にはそこには直径二メートルほどの穴があいていて、そこへと入る。

 中は、検定試験のときと同じように、右へ左へとトンネル状になっているみたい。で、それを抜けると、スタート地点の真後ろにあいているもう一つの穴から出る。あとはまっすぐ直進してスタート地点に戻る。これで一周だ。

 今回は給さんの提案で、二組に分かれてそれぞれ二周、計四周して順位を競う。交代の仕方はチームごと自由。一周ごと替ってもいいし、二周づつにしてタッチの回数を減らすもの良し。

 けどまぁ問題なのはそのチーム分けで。

「……はぁ」

「何、人の顔見てため息ついてるんだよ」

 僕の横には、やな予感が的中して、ナジカがいた。

 で、その彼女もやっぱりな目で、僕を見つめている。

 少し離れたところで、同じチームになったぬんらと給さんが、談笑している。いい雰囲気だよー。

 てな感じのチーム分けになったんだけど。


 Aチーム

  給   8戦2勝 2着1回 Bランク

  ぬんら 2戦2勝      Cランク


 Bチーム

  トキヒサ  3戦1勝 2着1回 Cランク

  ナジカ   5戦1勝      Dランク


 ――って、あきらかに不公平じゃん。ランクからして違うし、勝利の数なんて半分だし。

「てゆーか、ナジカって、まだDランクだったんだ」

「うるせー。あたいだって、新人戦では2着になってるんだよ」

 ナジカが言うけど、Eランクのレースじゃ、2着でも昇格できないから、負けと同じ。へへん。

 とまあこんな感じの二人ですが、

「……あの、ハンデとか、いります?」

「いらないっ!(×2)」

 こんなところでは息ぴったりなのでした。


 かくてこのチーム分けで、リレー方式のレースが行うことになった。



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