この国は正義だ。
「ここは、戦いで守られている国です」
国一番の大きな駅で、軍隊長は言いました。
傍らには緊張した面持ちの、若い軍人さんが立っていました。
「そして彼は!」
軍隊長は誇らしげに、軍人さんを手で指し示します。
「本日より、我が国の利益のために、憎き敵国と戦って参ります!」
「一人でも多く、敵軍を倒す所存です!」
軍人さんの敬礼に、周りから歓声がわきました。
それに笑顔で応え、軍人さんは列車に乗り込みます。
そして、二度と帰ってくることはありませんでした。
「ここは、戦争を嫌う国です」
国一番の大きな駅で、役人は言いました。
傍らには緊張した面持ちの、若い防衛隊員さんが立っていました。
「ですが彼は!」
役人は誇らしげに、隊員さんを手で指し示します。
「本日より、我が国を守るために、汚い手を使う他国と戦って参ります!」
「我が国の領土を侵す他国から、我が国を守る所存です!」
隊員さんの敬礼に、周りから歓声がわきました。
それに笑顔で応え、隊員さんは列車に乗り込みます。
そして、二度と帰ってくることはありませんでした。
「ここは、平和を愛する国です」
国一番の大きな駅で、祭司が言いました。
傍らには緊張した面持ちの、若い信徒さんが立っていました。
「ですから彼は!」
祭司は誇らしげに、信徒さんを手で指し示します。
「本日より、我が国の素晴らしさを伝えるために、愚かな国に制裁を下します!」
「戦争を止めようとしない国を、この手で導く所存です!」
信徒さんの敬礼に、周りから歓声がわきました。
それに笑顔で応え、信徒さんは列車に乗り込みます。
そして、二度と帰ってくることはありませんでした。