2月14日(|皆本仁《みなもと・じん》の場合)
「じーんくん、チョコもらったぁ?」
ウゼェ。
「ねぇねぇ、チョコもらったぁ?」
くっそウゼェ。
「俺ねぇ、なんとチョコもらっちゃったんだよ! 下駄箱の中に入ってたのよ!」
目の前にピンクの包装紙で包まれた箱を突き出される。
「……まだ開けてねぇのかよ」
「いやだってなんかもったいないじゃん! うちに帰ってから開けるんだ」
そう言ってニヤニヤと笑う幼馴染の兵藤聡史。
「あぁ、そうかいそうかい」
相手にしてられず、窓の外を見る。
「でっさ~、仁君はチョコもらったのかな? もらったのかなかな?」
心底ウゼェ。
「だぁーもうウッセーな! もらってねーよ悪いか!?」
あまりのウザさに思った以上の大声が出た。
その声にクラス中から集まる視線。
「……皆本、義理だけどチョコいる?」
哀れんだのか、近くに座ってた鳥宮が小さな一口チョコを差し出してくる。
「……いらね。でもありがとな。気、使わなくていいから」
流石に恥ずかしく、顔を背けながら伝える。
そんな俺の肩に手をポンと置き
「貰っとけばいいじゃん、どうせ本命なんてないんだし。俺と違って……ププッ」
言いながら聡史が笑う。
とりあえず殴っといた。
少し強めに。
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