怪しいのは友達
「ねー、ホントにやるの?」
「うん。だってあいつら、気になるじゃん」
「でもさー、やっぱヤバいって」
「なに? もしかして怖いのー?」
「はぁ!? そんなわけないじゃん! 参加すればいいんでしょ!? ほら、早くやろーよ!」
「ほら、座って」
「それじゃー始めるよ?」
夕暮れの赤い光が差し込み、窓枠をくっきりと形作る放課後の教室で、一つの机を囲んで顔を突き合わせた四人の女子高生がなにやら思案していた。
上から順番に“はい、いいえ、鳥居、男、女、五十音順のひらがな”が書き込まれた画用紙が机の上に鎮座していた。
女子たちは近くの椅子を雑に引き寄せ、机に周りを囲んで乱暴に腰を下ろした。
神妙な顔つきの女子がスカートのポケットから十円玉を取り出し、鳥居の上に乗せた。その瞬間、少女たちは一斉に口を閉ざし、窓の外から部活に励む生徒たちの掛け声がやけに大きく響いた。
放課後教室の一角に集まり妙な緊張感を漂わせている四人を偶然に目撃した二人組の男子生徒が首を傾げて通り過ぎていった。
互いに顔を見合わせこわばった体から力を抜くと、四人でタイミングを合わせて儀式を始める。
「コックリさんコックリさん、おいでください」
人差し指が四本乗った十円玉がひとりでに動いた。
息を呑んだのは果たして誰だったのだろうか。
僅かに体を震わせた一人? もしくは四人全員か? それとも……。
最上兄に誘われて甘味を食べに出かけた衛はちょこちょこ付いてくる気配に頭を抱えた。
「ね、ねぇマモルクン。後ろの子はマモルクンの知り合いかい?」
「い、一応……友達」
尾行が尾行になっておらず、がっつりと顔を出して電柱から様子を窺う小柄な不審者に最上兄は引きつった笑みを浮かべた。
黒いキャスケット帽に艶やかなアメリカンショートヘア、白いブラウスに青いミニスカートとロングブーツという出で立ちで、ストーカーよろしく衛を追いかけるトーコに、奇異の視線が集まっていることに肝心の本人が気づいておらず、輪にかけて衛の頭を痛めていた。頭痛が痛い、という表現がぴったりだ。
これ以上続くなら通報されるのではないかと不安になった衛は身を隠す障害物がない場所を狙って勢い良く振り返った。
ひゅぁあ! と奇妙な声を上げたトーコは慌ててキャスケット帽を深く被り、挙動不審なりに通行人に紛れ込もうと踵を返すが時既に遅く、持ち前の身体能力でトーコに追いつくと華奢な肩をがっちりと掴んだ。
薄いブラウス越しにほのかな人肌の暖かさに触れて赤面するも頭を振って持ち直し、凍りついたトーコの体を回転させる。だが足の裏まで凍りついたらしいトーコは一切動かなかった。
「んくっ……」
ぐっと力を入れる。
「んうぅぅっ」
力を緩めて様子を見る。トーコの体から力が抜けた瞬間を狙って、今度は両肩を掴み一気に力を入れて回転させた。
「んっ!? あ、あ、あの……知りません! アタシは貴方のこと知りません! そりゃもう全然、全っ然知りませんよ!? え、あれ?」
せめてもの抵抗とばかりに顔を俯かせて帽子のつばを掴んで思い切り下げた。だが何も言われず起こらないどころか肩から手が離れたことを感じたトーコが恐る恐る顔を上げると、目の前に衛はおらず、先程から衛と一緒にいた金髪の少年ががっくりと項垂れた衛の肩を叩いて慰めていた。
「え? あの……え?」
おろおろわたわたきょろきょろと困惑しっぱなしのトーコを放置して、二人はちょっとだけ友情を深めた。
さて次章です。
かなり進んできて作者も感慨深いです。
PVが4000、ユニークが2000を越えていました。凄くうれしいですね。
これからも精進していきたいと思います。
……投稿日わすれるのなんとかなんないかなぁ。
今日も忘れてました。すいません……




