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第二話

「ま、間に合ったぁ」

予鈴のベルが鳴り響く校舎の1-B組の教室に入り、歌はため息をもらす。

「君はもう少し運動をして体力をつけるべきだな」

飄々と言ってのけるのは外ならぬユウだ。

そっちは息ひとつ乱れてない。一緒に走ってきたのに・・・。このひょろ長い体のどこにそんな体力が・・・。

え?幽霊のくせに疲れたりするのかって?

それが、ユウの証言によると『幽霊』というカテゴリーに入っているだけで基本は人間と同じなんだそうだ。

体力や身体能力などは生前と一緒らしいから歌は死ぬ前に身体能力を上げといた方が良いとよく言われる。

ちなみに歌の守護霊の名前は、もうわかっているだろうがユウだ。本名を教る必要性はないからと、生前呼ばれていたあだ名しか教えてくれなかった。

髪はサラサラの白っぽいクリーム色。瞳の色は綺麗なスカイブルーだ。しかも顔が整っていてカッコイイというのが少しむかつく。

そして意外なことに生前は守護霊の研究者チームの一人だったらしい。

今ですら人数が6人しかいないエリートだらけのトップチームだ。

頭が良いのは必須なのはわかるが、なぜ運動神経まで良いのかわからない。

研究者だからだろうか、いつもカッターシャツに白衣という格好をしている。

死因は、何度聞いても教えてくれなかった。

いつも歌と同じくらいの歳、つまり16歳の姿になっているのでホントかどうかはわからないが、亡くなったのは23歳の誕生日の二日後だったらしい。

本来の歳の身長は178。と言ってもいつもの16の姿でも175であまり変わらない。体重は教えてくれなかったが、ひょろ長いことから大体想像が出来る。ちなみに歌は160cmだ。

「・・・歌。早く席につけ。ドアの前で突っ立ってたら通行の邪魔になる。ただえさえ君は大くて邪魔になりやすいんだから」

「失礼ね!」

ユウが真面目な顔で言ったそれは、普通女の子に言う台詞ではない。こいつにはデリカシーというものは備わっていないのだろうか。

大体私は体重も横幅も標準以下で痩せている方よ!

イライラと席についた歌の所に同じクラスの友達、神崎 詩音がやって来た。

この子は誕生日が先なため、守護霊はまだいない。

のほほんとした雰囲気の子で笑うととてもかわいらしい。

「おはよう歌、ユウさん」

いつものようにニコッと笑いかけてくれた。

なんだかこの笑顔を見ていると、イライラしている自分がバカらしくなってくる。

「おはよう詩音」

「おはようございます。神崎さん」

歌の後に続いて、笑顔と共に礼儀正しくユウが挨拶をする。

お得意の猫かぶりだ。

歌に対してと、他多数の人に対しての接し方がまるで違う。

そのため、末恐ろしいほど学校での評判は上々だ。

そりゃあ、見た目も話し方も頭も運動神経も完璧、その上、元科学者で少し年上のお兄さんという感じなものだから女子の間ではファンクラブまで出来ているらしいし、そのくせ気取ってなく謙虚に振る舞い男子に対しても平等に接したお陰で、信頼もあつかったりする。

1週間。たった1週間で学校の皆の信頼を得たということに、驚きを通り越して称賛したい気分になってくる。

すぐにクラスの人に囲まれて楽しそうに談笑しているユウを見て、歌はため息をついたのだった。


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