第一章 守護する者 第一話
魔法の国ショウシノコウのスズナリ町。
ここは、国唯一の幽霊と共存する町。
ここでは必ず5つの事をまず覚えなくてはいけない。
●大人の歳とされている16歳になると一人一体の幽霊を守護霊としてそばにおくこと。
●守護霊となる幽霊は16の誕生日の日に現れる。
●守護霊になる霊は高等霊、人に触れたり憑いた人を守るため、攻撃や防御の魔法が使える。
●この幽霊たちはこの町で亡くなった市民で、選ばれた幽霊だけが守護霊として人に憑ける。
●守護霊の役目は憑いている人を守ることであり、守護する人間が亡くなりしだい霊界に帰る事が出来る。
これが私、東雲 歌が小さい頃から教えられてきた、守護霊の話。
その話をしてくれたおばあちゃんにも両親にも町の大人にも、話の通り幽霊が憑いていた。
大抵の場合、守護霊に憑くのは同性同士の霊だが、ようは波長が合うか合わないかなので少数ながらに異性の守護霊が憑くことがある。
つまり何が言いたいかっていうと、一週間前の私の誕生日に来たのは異性の、男の霊だったということだ。
「歌。起きて。早くしないと学校に遅れる」
無愛想な声に歌は目を覚ました。
目の前は、呆れた顔で椅子に座っている自分の守護霊がいる。
朝起こすのは普通親の仕事なのだろうが、あいにく歌の両親は11歳の時に不運な事故で亡くなってしまった。
これは、一人一人に守護霊が憑くこの町ではすごく珍しい亡くなりかただと当時は大いに騒がれたものだ。
ベッドからはい出た歌は目を擦りながら時計を見る。
8時1分。
「・・・・」
一瞬、時間が止まった。
「あああああああああ!!!!???」
時間の動き出した歌の発した大声に、守護霊は耳に指を入れ、うるいとアピールしている。
「遅刻するじゃないっ!!ユウ!なんでもっと早く起こしてくれなかったのよ!!」
「起こしたよ、失礼な。しかも7時からずっとだ。それでも起きなかったのは君の責任だ」
八つ当たり気味の歌の問い掛けにユウからグチグチと返事が返ってくる。忙しい、という名目で極力ユウの正論を聞かないようにして歌は急いで身支度を整えた。
「・・・朝飯どうするんだよ。ちゃんと食わないと体に毒だぞ」
「そんな時間ないわよ!ほら、早く行くわよ!」
「・・・相変わらず短気だな。もう少し糖分を摂取するべきだ」
うんうん、と一人頷くユウをほって歌は玄関を飛び出した。
『ユウ』というキャラが書きたいがためにこの小説を書いてしまった。
この後どう転ぶか、僕にもわかりません
どうか温かい目で見てやってください。