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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

断片

掲載日:2026/02/22

-------時間が流れて行った。

20:00頃、正確な時間は分からなかった、でも、もはや時間は、少女にとってそこまで重要じゃなかった。


やがて、彼女は体をベンチから立たせた。ふらつく。ずっと座ってるから、座ってたから...。


これはただの立ちくらみ。


そのせいにして、目を閉じた。

目の前にある、春の桃色をまだ実らせてないだろう、木々の海に向かって数歩だけ。


ふらついたから、そう信じさせて足を動かした。


3歩目から、つま先は、踏み込む場所を失って、沈んだ。


たった数秒だけ。...数えるのすら億劫な数秒だけど。

少女は空を飛べたし、翼を授かった。



怖くなかった、かと言って満たされもしなかった、最後に目を開ける、そうしようとしたけど、その前に




「ぐしゃっ」.....って鳴ったから。




開けれなかった。



これから冷めていくだろう体と同じように、彼女は冷えた思考で思った。


呆気ないな、なんて。


ガンガン鳴る頭に響く激しい耳鳴りのさざ波の中に溺れて、意識の浮遊感に身を委ねながら、空を見上げる。


視界が赤かったけど、もう、いいや。


一瞬だけ見えた景色。


沢山の色彩のレイヤーが重なってたみたいだった、歪んだ自分と真っ赤なドロドロ。

夢みたいだった、嬉しさではなくて、単純な光景として。


....ぃ...。


綺麗。そう呟こうとした、だけど、やっと開かれた口からは、音だけしか出せなかった、言葉ではなく、音だけ。


何が綺麗だったのかは、誰にも、少女にも分からない。




やがて、少女はそのまま痛みに勝てるはずだった。


しかし。


神様は本当にいい事をしてくれた。

暗闇じゃなくて、白い天井を見させてくれたんだから。

本当に感謝しかない。


だから少女は、その報いに答えるように、天井の蛍光灯を見つめた。


そして、黒くなったありがとうを呟いた。

精一杯の思いを込めて。


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