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四.地獄の事情聴取

 事情聴取というのは人間の本性が現れやすい。だから事情聴取は地獄。


 佐藤と私は別室に移動した。

 佐藤はドンっとソファに勢いよく座った。よく見ると涙目だった。

「で、今から何するんだ?」

 悲しそうな、イライラしてるような、雰囲気でそう言われた

「あんたからちょっとだけ話を聞くだけ。落ち着いて話してくれたら大丈夫だから。」

「はいよ。」

 やっぱり少しだけイライラしていそう。大好きな元カノが亡くなったばかりなのにこんなことされてるからだろう。

「ごめんなさいね。じゃあまず、目覚めたのはいつ?」

「時間は分からないけど、松岡に起こされた。」

「その時に誰が起きてた?」

「隣の席の2人と、スタッフの男の方だった気がする。」

「なるほどね。もしかして私が一番最後だった?」

「多分な。」

 何にも考えずにぐうぐうと寝ていたんだなと思うと恥ずかしい。

「そう。じゃあ次、どうして元カレのあなたがココに来てるの?」

「松岡に誘われたからだよ。特に予定もなかったからな。」

「元カレなのに?」

 笑いそうな気持ちを抑えて、私はそう聞いた。

「あぁ。」

 特に嘘をついたような雰囲気ではなかった。

「そう、分かった。じゃあもう大丈夫だから、次に松岡を呼んでくれる?」

 分かった、そう言って佐藤は出て行った。


「失礼します。」

 そう言って松岡は静かに入ってきた。

「じゃあそこ座って。」

 静かに頷き、ソファに座った。

「じゃあ早速始めるね。まず、麻夏に恨みはある?」

「無いと言えば嘘になりますけど…。」

 少しだけ思い詰めたような顔でそう言った。

「実は中学校に入学した時、いじめられてたんです。麻夏とは家も近くて幼馴染で、中学校に上がってからも仲良くしてたんです。でも少しして、いわゆる一軍女子の嫌われ者2人が私たちと同じグループになりました。2人は麻夏が好きみたいで、私が邪魔らしかったみたいで、いじめられました。麻夏は見て見ぬふりをしてました。2年間。私は友達を見て見ぬふりするやつなんて最低だと思います。本当に…。」

 確かに、いじめは学校の最大の問題だと思う。せめて誰かに相談できれば…。

「それは、酷いと思う。もうこれ以上は掘らないから。とりあえず大丈夫。話してくれてありがとう。戻って。」

 悲しそうに松岡は部屋を去った。

 確かに動機はあるかもしれないけど、少し経ち過ぎた気がする。


 手帳に2人の証言をざっとまとめた後、部屋を出て山内を呼んだ。

「じゃあ早速始める。」

 はい、といい頷いた。

「まず、麻夏のこと嫌い?」

「はい。」

 さっきまでは悲しそうな表情していたのに、いつのまにか憎悪の顔になっていた。何かある。

「どうして?」

「それは…、嫌がらせをされてたらからです。」

「嫌がらせ?」

「自分で言うのもなんですが、仕事はできます。結構友人関係も良いんです。だから嫉妬されて、机の物を捨てられたり、ゴミを置いたり、鞄を汚されたり。小学生みたいないじめですよね。机の上に置いていた、シャーペンだって祖父の形見ですし、鞄も10万円ほどする高い物なんです。」

「なにそれ、最低ね。あの人。」

「ええ、その通りですよ。なのに悠馬君はあんな女と付き合って。」

 人が亡くなっていると言うのに、ずいぶん怒っている。

「悠馬君?って先輩じゃないの?最初は、藤原先輩って言ってたのに。」

「あっ、いや。間違えただけですよ。そんなこと良いですから。」

 そう、そう返して私は山内を外に戻した。


 その後にまた銃音が聞こえた。

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