二.始まる連続殺人事件
日が経ち、招待されていたパーティの日がやって来た。
以前教えられていた場所に行き、インターフォンを押すと以前会った南とは違う男の人が出てきた。
それにしても大きな家だなと思う。都内から少し離れた、長野の山奥にこんなとこがあるなんて。でもやっぱり冬だから寒い。
家の前には、手入れされた広大な芝生が広がり、庭の隅にはプールがあり、水面が太陽の光に反射し、キラキラと光っている。
「ようこそいらっしゃいました。こちらで働いております、小林誠です。本田様と今井様でお間違えないですか?」
庭の景色に認めていると不意に話しかけてきた。シャツに皺はなく、四角のメガネをかけた彼こそを真面目、と呼ぶんだろう。
「はい。本日は招待していただきありがとうございます。今井と本田です。」
隣で美空が私の代わりに答えた。私は代わりに少しだけ会釈した。
「こちらこそお越しいただき、誠にありがとうございます。それではご案内します。こちらへどうぞ。」
はい、と私たちは言い小林の後を着いて行った。長い廊下を通り、大きな部屋に案内された。
「こちらでパーティをします。奥にいらっしゃるのが麻夏様で、その隣にいるのが先日お尋ねさせていただいた南です。左側の席に座られているのが、中学校からのお友達で松岡莉奈様と佐藤蛍斗様です。他に村田様の会社のお知り合いの方達がもうすぐいらっしゃる予定です。お2人様は右側の席におつきください。」
「分かった。ありがとう。」
そう言って私は周りを見渡した。
扉から向かって正面に机が一つあり、そこに村田が座っている。左側には机が2つあり、一つには中学生からの友達が座っていて、片方はまだ空いていた。多分、そこに会社の知り合いが座るんだろう。右側には一つだけ席があるからそこが私たちの席なんだろう。
とりあえず私たちは顔を見合わせ、村田に挨拶することにした。村田は隣にいる南と笑いながら会話をしていた。ちょっと邪魔するのも悪いなと思ったけれど、美空の背中を押し出した。
「こんにちは。招待させていただいていた今井と本田です。本日は招待していただきありがとうございます。」
そう美空が言い、私たちは頭を少しだけ下げた。
「あ、本田さんと、今井さん!来て下さったんですね、ほんとにありがとうございます。」
目をキラキラ輝かせ、嬉しそうにそう言った。
「こちらこそ、招待してくれてありがとう。」
私はそう言った後、聞きたかったことを聞くことにした。
「それで殺されるかも知らないってどう言うことなの?」
私は小さい声で聞いた。さっきまで笑顔だった表情が元に戻った。
「それについては後で話す予定です。一旦席に着いて、楽しんでて下さい。」
「そう。分かった。じゃあ。」
そう言って私たちは村田と南から離れ、他の席の人たちにも挨拶することにした。
後ろを見ると、いつの間にかさっきまで来ていなかった2人が来ており、全員が集合していた。とりあえず松岡と佐藤に挨拶することにした。
「こんにちは、今井と本田です。」
美空は2人に話しかけた。
「こんにちは、俺が佐藤で、こっちが松岡です。」
奥側に座っていた男性がそう言った。次は私が話す番。
「2人は中学校からの友達って聞いたんだけどそうなの?」
「はい、私と麻夏は中学校に入って、一番最初に仲が良くなったんです。」
今度は松岡が答えた。明るくハキハキと話す彼女こそが村田と仲良く出来るんだろう。
「俺は元々麻夏と付き合ってたんです。中学校の3年間。ずっと同じ卓球部でね、でも中学校を卒業する時に、もう別れよって。」
「なのに、なんで今日来たの?」
「なんか松岡から聞いて、暇だから行こうかなって。」
はあー、と私は首を傾げた。別れた元カノの誕生日パーティーにくるとかちょっと、いやだいぶ変わってる。話し方も少し変わってる彼と村田は確かに釣り合わないのかもしれない。
「ちょっと聞いてくださいよ。」
なに?、なんですか?、と美空と声がかぶる。
「この佐藤って男はすんごく気持ち悪いんです。15回も告白してるんです、麻夏に。」
えっ、衝撃で絶句した。
「もーほんと気持ち悪いですよね。どうして私こんな男連れて来ちゃったんだろう。」
松岡はため息をつきながら、頭の髪の毛をかき回していた。
少し離れて、次は村田と同じ会社で働いている2人のところに行くことにした。




