一.始まりは探偵事務所から
“あなたが今これを読んでいるということは私は死んでいるのでしょう。私を殺したであろう犯人はあの人です。その人の秘密を隠しました。それを探して犯人を見つけてください。どうかよろしくお願いします。”
そう私は書き残す。
私はもうすぐ殺される。多分。もし私が殺されたら、必ずあの探偵と助手がその犯人を見つけ出してくれる。
一.始まりは探偵事務所から
探偵事務所の中は、古びた机と革張りのソファがあり、壁には時代遅れの時計が静かに時を刻み、書棚には事件ファイルと推理小説が無造作に並んでいる。
窓から差し込む午後の日差しが、埃混じりの空気を淡く照らしていた。
そんな事務所の隅で、私はソファでうつ伏せになって寝てたらしい。インターフォンの音で目が覚めた。
「はーい、こちら本田探偵事務所です。」
助手の今井美空が代わりに受けてくれる。
「急にお訪ねしちゃってごめんなさい。南凪沙というものです。」
「少々お待ちくださいー」
「あっ、わかりましたー」
インターフォンの相手との会話が終わると美空はこっちを見た。
「瞳さん、依頼ですよ。早く起きてください。」
「はーい。」
私は体を起こし、伸びをした。今日はどんな事件が待っているのだろう。
準備ができ、美空に合図を出した。
美空がゆっくりとドアを開けると、背が高いが華奢で黒髪をまとめた女性がいた。私は逆に背が小さめで目は大きい方だ。
「こんにちは。」
「初めまして、急にお尋ねしてしまい申し訳ございません。」
「いえ、そんなことありません。とりあえず中に入って下さい。」
すいません、と言いながら南凪沙は中に入ってきた。
美空は私の前に彼女を案内する。
「あなたが探偵の本田さんですね。こんにちは。」
「ええ、探偵の本田です。で今日は何か?」
美空が小声で『先生、敬語』と言う。まあ気にしない。
「私、村田麻夏さんという方の元で働いている南凪沙と申します。実は、今週の日曜日に主の村田麻夏様の誕生日パーティを催します。よければお越しいただければと思いまして。」
「私でよければーどうして急に?そので何か事件でも起きるの?」
「分かりません。でも麻夏様が『私はもう殺されるから』、そう言ってたんです。理由は何度尋ねても教えてもらえなかったんですが。」
美空と顔を見合わせた。少し嫌な匂いがする。
「そう、分かった。じゃあ行くわね。」
「ありがとうございます。時刻と場所と電話番号はこちらに書いております。何かあればご連絡ください。」
そういい、南さんは白い封筒を渡した。
「分かった。」
「それではまた。では失礼いたします。」といい、南凪沙は探偵事務所を出ていった。
なんだか嫌の予感がする。
この作品は以前に書いた作品を大幅に見直したものです。登場人物のセリフやストーリーの流れを改善し、より読みやすくなったと思います。
次回の投稿では、さらに面白くなるように工夫を凝らしていきますので、どうぞお楽しみに!




