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36話:塔が語らぬなら、風が語る

塔は語らなかった。

だから、民が語り始めた――そんな回です。


第36話では、王都を包む“沈黙の危機”と、フィンの“語られないままの行動”を中心に描きました。

名も階級もない彼が、人々の前で剣を掲げるということ。

その背に誰が立ち、誰が言葉を添えるのか。

その“語られ始める瞬間”に注目して読んでいただけたら嬉しいです。

塔の封印扉が閉ざされる音は、風よりも静かだった。

 銀の印章を受け取ったフィン・グリムリーフは、それを手の中で転がしながら、足を止めていた。


 記録庁からの正式な通達。

 ――「語りの初期適正調査および記録分類会議への臨席要請」


 要するに、“お前の語りは、国家が記録として認める価値があるかどうか、審査してやる”ということだった。


 


 「……くだらねぇな」


 


 思わずこぼれた言葉は、誰に向けたものでもなかった。

 塔は、まだ信じていない。

 語りとは、誰かに認められて初めて価値を得るものではない。

 語った者と、聞いた者がいて、心に何かが残った――それだけで十分なはずだ。


 だが、その「記録」を独占する塔の都合が、いままさに、王都を蝕んでいた。


 


 フィンは、通りを歩く兵士の顔に、街を駆ける子どもたちの表情に、それを感じ取っていた。

 人々の不安が、街の色を鈍く濁らせている。

 王都の南側――門の先には、もはや安全など残っていないというのに。


 


 第三防衛線が突破されたのは、一昨日のことだった。

 昨日には南方の町が焼かれ、今日になって、ようやく塔の一角から軍議が開かれた。


 だが、王都防衛軍は未だ動かず。

 塔の判断待ち、命令待ち。

 誰もが“正式な記録”を恐れ、勝手な行動を控えている。


 語られる前に、死ぬ者が出るというのに。


 


 フィンは歩き続ける。

 門を目指してではない。塔を振り返ることもない。

 ただ、空の匂いを嗅ぎ、地の揺らぎに耳を澄ませていた。


 風が西から吹いている。

 その風に、灰の匂いが混じっている。

 ……南方の村が、本当に燃やされたのだ。


 


 門が見える場所まで来ると、ざわつきが一層強くなっていた。

 避難民の列。馬車に積まれた荷物。門番に詰め寄る民。


「塔からまだ命令が出ていないのです」

「ですがもう、すぐそこまで来てるんですよ!」

「娘が……! うちの娘がまだ向こうに――!」


 怒声と悲鳴と、諦めたような沈黙。

 そのすべてを浴びながら、フィンは人混みの端に立った。


 


「……まだ間に合う」


 彼は、空を見た。

 青さは失われ、厚い雲が低く垂れている。

 戦火の前の、沈黙の空だった。


「命令が出ないなら、俺が出す。

 誰かが語るのを待ってる暇はねぇんだよ」


 


 南門の広場には、武器屋がひとつある。

 傭兵崩れや退役兵が集まり、武具の整備をしていた場所だ。


 そこへ向かう途中、フィンは剣を抜いた。

 腰のホルダーに収められたままの、黒鋼の剣。


 その音は、喧騒の中でも妙に響いた。


 


 フィン・グリムリーフは、門の前に立つ。

 全員の視線が彼に向くわけではない。

 誰も知らない名。王族でも、将軍でもない。

 だが彼の背に、何かがあった。


 それは、“語り”よりも深く、

 “記録”よりも強く、

 “命”と並ぶだけの何か。


 


「俺の名はフィン・グリムリーフ。

 この王都を、放ってはおけない」


 その声が通る。喧騒が、わずかに静まる。


「兵じゃなくていい。騎士じゃなくていい。

 守りたいものがある奴は、来てくれ。

 俺はこの門を、守る」


 


 そう言って、フィンは南門の階段を上った。


 剣を手に、背を見せず、風に向かって立つ。


 


 それが――王都の剣として、

 最初に“誰かの命”のために掲げられた、ただひとつの剣だった。

剣を掲げたフィンの声は、南門広場のざわめきの中に吸い込まれていった。


 一瞬、誰も動かなかった。

 兵士も、市民も、門番すらも――目を向けたまま、足を止めたまま。


 その沈黙の中、最初に足音を響かせたのは、ひとつの影だった。


 


 「ようやく剣を抜いたかと思ったら……また唐突だな」


 


 その声は低く、耳元に届くような静けさをまとっていた。

 フィンの背後に立ったのは、黒衣の女――ノーラだった。


 長いマントの裾から、二本の刃が覗いている。

 彼女の腰にある双刀は、かつて王都の地下で一夜にして七人を無力化したという“影の剣”。


 その姿を知る者は少ない。だが、見た者は忘れない。


 


 「……王都を守るのは語りじゃなかったの?」


 ノーラは横目でフィンを見る。

 冗談のような、探るような声音だった。


 


 「語るには、生きてないといけないからな」


 


 フィンの答えに、ノーラは目を細めた。


 「……そう。なら、私も付き合う。

 あなたが“記録されない語り”を背負ってくれたあの時、私はもうとっくに――命を預けてたから」


 


 カチ、と静かな音を立てて、双刀が鞘から抜かれた。

 ノーラは門の右端へ歩き、すっと影のように構える。


 


 そして、次の声は、空気を割った。


 


 「ちょっとー! それ、ズルいんだけど!」


 


 ばさり、と風を切って駆け込んできたのは、金髪の少女――リナだった。


 鎧も装飾もない軽装の剣士。だがその身のこなしには、鍛え抜かれた者だけが持つ“軸”があった。


 


 「勝手に抜刀して、勝手に志願兵とか、何それ!?」


 「来ると思った」


 フィンが呟くように言うと、リナは得意げに鼻を鳴らす。


 「ったりまえでしょ。

 あんたが目立つことし出したら、私がいないわけないじゃん!」


 


 彼女は腰の剣を引き抜き、くるりと半回転させて肩に担ぐ。


 「王都を守る? よし、じゃあやろう。

 記録庁が命令出さないなら、勝手にやる。正義ってそういうもんでしょ!」


 


 リナはフィンの隣に立ち、視線を民衆に向けた。


 


 「ねぇ! あんたらも、家族とか、大事な人とか、いるでしょ!?

 守りたいなら、剣を取ってよ!

 命令なんて待ってたら、死ぬだけだよ!!」


 


 彼女の叫びに、群衆が揺れた。


 


 「……あれ……あの人……」


 「記憶の龍、呼んだって噂の……」


 「“静けさを連れてきた小さな戦場王”……だろ?」


 「本当にいたんだな……」


 


 囁きが波紋のように広がる。

 王都の民たちが、語りの中でしか知らなかった存在を、今、目の前に見ている。


 フィン・グリムリーフ。

 塔の名簿にも、貴族の書簡にもない、だが確かに“記憶に刻まれ始めた男”。


 


 やがて、一人の青年が剣を手に前へ出た。

 錆びついた古剣を持った、倉庫番の青年だった。


 「……俺、戦えるかわかんねぇけど……

 けど、逃げるのは……なんか違うって思った」


 


 次いで、年配の女性が、背負っていた弓を握り締める。


 「昔取った杵柄よ。……もう一度くらい、引けるわよね」


 


 そして、ついに――五人目が現れた瞬間。

 広場全体が、音を立てるように動いた。


 恐れが、少しだけ“自分にもできるかも”という期待に変わっていく。

 そしてその期待は、“共鳴”へと姿を変えた。


 


 「第一陣、確認。志願兵、小隊化開始」


 ノーラが冷静にカウントを取り始める。


 


 リナが叫ぶ。


 「名乗って! 剣の名前でも、あだ名でも、何でもいい!

 記録されてなくても、私たちは、今ここにいるって証明しようよ!」


 


 その言葉に、剣を構えた民たちが次々と名を上げた。


 


 “記録されていない戦場”が、今ここで、静かに始まっていた。

王都南門、城壁の内側にある軍詰所。

 冷えた石造りの空間には、何本もの長槍が無造作に立てかけられ、机の上には命令を待つ軍令文様式の羊皮紙が山積みになっていた。


 扉は閉じられ、外の喧騒が薄くこもっている。

 けれど兵たちは皆、耳でわかっていた。


 ――門の外では、何かが動き出している。


 


 「……まだ来てないのか」


 中隊長が静かに呟いた。

 すでに三度、同じ言葉を繰り返している。


 


 詰所の中央には、円卓を囲むように小隊長たちと副官たちが集まっていた。

 緊張と沈黙。

 手を組む者、唇を噛む者、額を押さえる者。

 そのどれもが、戦場を知らぬ者ではない。

 だが、彼らの目は皆、塔の方角を向いていた。


 


 「本庁からの命令が……下りないのは、何か理由があるはずです」


 副官のひとりが、かすれた声で言った。

 誰に対する言い訳でもなく、自分に言い聞かせるように。


 


 「理由だと……?」


 別の小隊長が口を開いた。

 肩章に染みた汗の跡が、焦りと無力感を物語っている。


 


 「じゃあその“理由”の間に、王都が焼かれたら誰が責任を取るんだ?」


 


 中隊長は目を伏せ、机に手を置いた。

 こぶしに力が入り、指の骨がきしむ音が小さく響いた。


 


 「……南門の広場。何か動きは?」


 


 「はい。避難民が増え、詰めかけた民間人の列は南通りまで伸びています。

 門前の治安も限界です。しかも……」


 


 副官の言葉が止まる。


 


 「しかも?」


 


 「……門上に、剣を掲げた者がいます。

 フィン・グリムリーフ。塔の分類で“語り審査中”の語り手……です」


 


 その名に、重苦しい空気が一瞬止まった。


 


 「フィン……?」


 「例の、“記憶の龍”を呼んだ……」


 


 どこかで見聞きした名が、記憶の端に引っかかる。

 それは“英雄”でも“騎士”でもない。

 だが、王都の誰もが耳にした――塔が決して公言しようとしなかった異端の語り手の名。


 


 「……何をしている?」


 


 「剣を掲げ、志願兵を募っています。民衆に声をかけ、武器を手渡しているとのこと。

 群衆の中にいた者の証言によれば、“王都が守られなければ語りも消える”と」


 


 中隊長は顔を上げた。

 灰色の目が、一瞬、硬く光った。


 


 「命令も階級もない男が、戦を始めようとしているのか」


 


 「……はい」


 


 詰所の中にざわつきが広がった。


 


 「もし、記録庁の命令に逆らったと記録されたら……軍法違反になる」

 「だがこのまま放置すれば、民兵の暴動として記録される可能性も……」

 「そもそも彼の行動に、“正当性”は……」


 


 不安と現実がぶつかり合い、声にならぬ声が宙をさまよう。


 


 そのなかで、中隊長だけは、じっと黙っていた。


 彼は椅子を静かに引き、立ち上がる。

 机の上の魔法通信石に目を落とし、それが未だに何の反応も示さないことを確認すると、深く息を吐いた。


 


 「……もう十分だ。塔が語らないのなら、我々が記録するしかない」


 


 兵たちが顔を上げる。


 


 「だが責任を取る者が必要だ」


 


 中隊長は壁に掛けられた地図を指差す。

 そこには王都の南部、そして“南門”が赤く囲まれていた。


 


 「フィン・グリムリーフに、南門防衛の臨時指揮権を渡す。

 “我々が許可した”のではない。

 “彼が行動を起こしたのを、止めなかった”という記録を残すんだ」


 


 「……それで、よろしいのですか?」


 


 「よろしいかどうかではない。

 王都を守るために、命令を出せなかったのは、塔の責任だ」


 


 言い切ったその声は、どこか澄んでいた。


 


 「副官。伝令を出せ。“南門現地指揮官・フィン・グリムリーフ”と正式に通達するように」


 


 「はっ!」


 


 副官が詰所を飛び出すと、扉の隙間から熱を帯びた風が吹き込んだ。

 それはただの風ではなかった。

 語られぬ怒り、救われぬ命、そして、沈黙する塔の代わりに、何かが動き出す予兆だった。


 


 ――そして、門の上。


 


 フィン・グリムリーフは、剣を肩にかけたまま、広場を見下ろしていた。

 整列しているわけではない。

 軍服を着ているわけでもない。

 それでも人々は、彼の後ろに立っていた。


 


 ノーラは静かに立ち、剣を磨いている。

 リナは腰に手を当て、空を睨んでいた。


 


 そこに、ひとりの兵士が駆け上がってくる。


 


 「フィン・グリムリーフ殿!」


 


 肩で息をしながら、兵士が声を張る。


 


 「王都防衛軍より通達!

 本日限り、南門防衛戦の現地指揮権を臨時付与する!」


 


 広場にざわりと風が流れた。


 その風が、言葉の重さを伝えるように、城壁の上を走る。


 


 フィンは一拍、間を置いてから、ゆっくりと顔を上げた。


 


 「……わかった。引き受けよう」


 


 その言葉を聞いたノーラが、すっと目を細めた。


 


 「選ばれたんじゃない。

 “押し付けられた”の。……でも、今のあなたは、それすら笑って受け止めそうね」


 


 横で聞いていたリナが、にやりと笑った。


 


 「じゃあさ、もう隊名決めちゃおうよ!」


 彼女は剣をくるりと回して、肩に担ぐ。


 


 「“王都軍南門フィン隊”、発足だーっ!」


 


 一瞬の沈黙。

 そして、どこからか拍手が起きた。


 


 最初は戸惑い。

 次に確信。

 そして、希望。


 


 拍手は広場全体に広がっていく。


 


 塔が語らないなら――

 この戦いを記録するのは、自分たち自身だ。


 


 言葉を持たぬ者たちが、剣を掲げて、物語を始めた。

夜の帳が、王都の空をゆっくりと覆い始めていた。

 西の空に残る夕焼けの朱は、どこか不吉に濁っている。


 塔の上から差す光は沈黙し、代わりに南門の火台に火が灯された。

 ごぅ、と風が吹くたび、焔がゆらりと揺れる。


 門の外は闇。

 しかしその闇の奥には、確かに“気配”があった。


 


 ――来る。


 


 誰が言ったわけでもないのに、そこにいる全員が感じ取っていた。


 


 「足音は……まだない。でも、空気が違う」

 ノーラが石壁に耳を当て、低く言った。


 


 「風の流れが変わった。湿気が重くなってる。

 兵が動いてる証拠」


 


 フィンはうなずき、門の内側に目を向ける。

 武器を手に集まった志願兵たちが、緊張の面持ちで持ち場に散らばっていた。


 


 それは軍隊とは程遠い集団だった。

 剣の握り方も覚束ない若者。

 農具を削って槍にした老人。

 片手に包帯を巻いたまま、それでも矢を番えている女狩人。


 


 だが、誰ひとり逃げようとはしていなかった。


 


 「隊列、もう一度確認。

 門の左右に三人ずつ。後列に弓手四名。

 投石部隊は、二段目の壁から」


 


 リナが声を張り、細かく指示を飛ばす。

 どこか不安げな表情を見せる志願兵たちに、少しでも“動ける形”を与えるためだった。


 


 ノーラは壁の影に隠れ、双刀を構えながら門の外を凝視している。


 


 「……来た」


 


 彼女の声に、場の空気が一変した。


 


 闇の中――

 門の向こう、地面に擦れる金属の音が小さく響いた。


 


 剣の鞘が岩をこすった音。

 誰かの鎧が風に鳴った音。


 


 “敵”だった。


 


 影がひとつ、門の向こうに立っていた。

 その後ろには、さらに三、四の人影が見える。


 


 「偵察隊か……」

 フィンが呟く。


 


 敵軍の先遣部隊。

 城壁の反応を見るために放たれた、少数の歩兵たち。


 


 彼らは、何も言わずにこちらを見ていた。


 石のように動かない。

 まるで“観察している”かのように。


 


 「まだ撃つな」

 フィンが手をかざして制止する。


 


 弓手たちが静かにうなずき、弓を下ろす。

 誰もが、敵の一挙手一投足に注目していた。


 


 そのとき――


 


 偵察兵のひとりが、かすかに口を動かした。

 しかし、言葉はなかった。


 


 代わりに、彼は右手を挙げ、指を三本、ゆっくりと立てて見せた。


 


 「三……?」


 


 フィンの眉が動く。


 その指は、まるで“数”を告げているようだった。

 次の瞬間、偵察兵はそのまま指を振り下ろした。


 


 その瞬間、草むらの影から――複数の矢が一斉に放たれた。


 


 「下がれ!!」

 リナの叫びが響く。


 


 石壁の上から、矢が突き刺さる音が連続して響いた。

 弓手のひとりが肩を射抜かれ、後方に倒れる。


 


 「敵、陽動! 偵察に見せかけた先制射撃!」

 ノーラが叫ぶと同時に、双刀を抜いて壁から跳ね降りた。


 


 「反撃開始! 弓兵、照準合わせて!」


 「……打て!」


 


 フィンの指示に、後方の弓兵たちが一斉に矢を放つ。

 南門から放たれた矢は、敵の闇に吸い込まれるように飛んでいった。


 


 的に当たったかはわからない。

 だが、数本の矢が闇の中に火花を散らし、確かに何かを弾いた。


 


 「敵兵、後退! 偵察隊撤退中!」


 


 ノーラが壁の影から報告する。

 門の前にいた敵兵たちは、一斉に森の奥へ姿を消した。


 


 短い。

 だが、確かに“戦”だった。


 


 「……命中確認は?」


 「一名負傷。軽傷。

 あとは無事。矢は壁の石に吸われたみたいです」


 


 広場に、再び静寂が戻る。


 フィンは、夜風に剣を向けながら、低く呟いた。


 


 「探り合いは、終わった」


 


 リナが、地面に突き立てられた一本の矢を引き抜き、苦笑いを浮かべた。


 


 「まったく……開戦って、こんな静かに始まるもんなんだね」


 


 ノーラが壁の上に戻ってくる。


 


 「明日の夜明けが、本番だよ。

 今日のこれは、“王都の壁は空っぽじゃない”って伝えるための儀式」


 


 フィンは、剣を鞘に戻す。


 まだ戦いは始まっていない。

 だが、“戦場に立った”という事実だけは、確かにここに刻まれた。


 


 夜風が石畳を撫でる。


 その風が通り過ぎたあと、門の上にはただ、

 “静けさを連れてきた”男が、黙って立っていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


記録庁が命令を下さない中で、誰かが剣を取る――

この36話は、「選ばれなかった者が、それでも戦う意味」を詰め込んだ回でした。


ノーラの静かな支え、リナの一声、そして群衆の拍手。

“語り”は英雄の口から生まれるだけでなく、見上げる誰かの心の中からも生まれる。

そんな“始まりの夜”として、読者の心にも少しだけ余韻が残っていれば幸いです。


次回はいよいよ陽動部隊との戦闘に突入します。

静けさの中にあったものが、ついに音を持ち始める……お楽しみに!

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