114話:記憶の水底(すいてい)
いつもお読みいただきありがとうございます!
今回の第114話では、ついに“記録球”がフィンに応える瞬間が訪れます。ただの記録装置ではなく、想いと記憶が蓄積された“鍵”としての正体が少しずつ明らかに。そしてフィンの決意も、静かに力強く形をなしてきました。
物語としては「記憶」と「語ること」の意味がテーマになっており、セリアやリナとの対話を通じて、フィンが“語る者”ではなく“伝える者”へと一歩踏み出す場面です。
静かなシーンですが、個人的には非常に大切な回になりました。フィンたちがどこへ向かうのか、ぜひこの旅路を見守っていただけたら嬉しいです。
光を失った記録球を見下ろしながら、フィンは深く息を吐いた。
「……セリア、あの映像の場所、どこかにあるのかな」
言葉は、思考の流れにすべるようにこぼれた。彼自身、確信を持って尋ねたわけではなかった。ただ――どうしても気になったのだ。あの“水に満ちた洞窟”が、どこか現実の世界と繋がっているように思えて。
セリアは立ち止まり、小さく首を傾げる。少女の手は膝の前で組まれ、慎重な声で返した。
「うーん……ちゃんとは分からないけど、あの場所――“聖精の泉”って呼ばれてたところに、ちょっと似てたかも」
「聖精の泉?」
リナが聞き返す。フィンも自然と顔を向けた。
「あたしが使われてたところの、もっと奥……儀式とか、偉い人しか入れない場所だった。掃除とかで中に入ることはなかったけど、たまに通路の先から、光が漏れてるのを見たの」
セリアは記憶をたぐるように目を細める。
「水の音がしてて、空気が違ってて……誰かが“あそこは精霊と話す場所だ”って言ってたの、聞いたことがある。だから、なんとなく、雰囲気が似てた気がして……」
「でも、セリアは入ったことはないんだよね?」
「うん。奴隷が入ったら、きっと怒られたどころじゃすまなかったと思う」
リナは一瞬、眉をひそめたが、すぐに少し優しい声で言った。
「でも、気づいたのはすごいよ。普通、そんなの知らないし、覚えてないし」
セリアはむずがゆそうに目をそらした。
「えっと……だって、見たものって、すぐ忘れちゃうと損した気がするじゃん。だから覚えてただけ」
フィンはそんなセリアの姿に、小さく笑みをこぼした。
「助かるよ、セリア。そういうの、俺には絶対気づけないから」
言われて、セリアは頬を少しだけ赤らめ、照れ隠しのように軽く肩をすくめた。
「……別に、たいしたことしてないし」
そう言いながらも、セリアの目はまっすぐにフィンを見ていた。
彼らの間に、ほんの少しだけ、静かな空気が流れる。
だが次の瞬間、その場に立っていたリナが、ふいに空気を引き締めた。
「つまり、その“聖精の泉”ってところが、記録の映像と関係ある可能性があるってことだね?」
「うん……でも、あたしの知ってるのはほんの外側だけだから。詳しく調べるには、中に入らないと」
「簡単にはいかなそうだな……」
フィンは天井を見上げるようにして、息を吐いた。
地下の聖域。魔法と宗教が絡む場所。ましてや奴隷であったセリアでも近づくことすら許されなかった場所。そんな場所へ、今の自分たちが足を踏み入れることはできるのだろうか。
ふと、フィンは記録球のあった装置の縁に指を置く。冷たい感触が、かすかに掌に残る。
(“記憶の器”……。俺は本当に、誰かの記憶を受け取ったんだろうか)
映像の中で少年が名乗った言葉。それがフィンの胸に引っかかっていた。
“ルディ”という名前。それがかつての自分なのか、あるいはまったく別の誰かなのか。
確かめるには――もっと記録が必要だ。
「セリア、あの装置……他にも使い方とか、知らない?」
尋ねると、セリアは装置の周囲を見渡し、ふと何かに気づいたように小さく「あ」と声を漏らした。
「……待って。これ、奥の収納庫のとこで見たやつに似てるかも」
「収納庫?」
「うん。掃除したとき、変な鍵付きの箱が置いてあってさ。“あれ、なんでこんな古いの残ってるんだろ”って思ってたけど……形、これと似てたかも」
フィンとリナは顔を見合わせた。
「それ、行ってみよう」
「うん。たぶん、今なら誰にも見つからずに行ける」
リナが警戒を怠らずにあたりを見回し、先導する。
セリアが覚えている限りの道順を頼りに、三人はふたたび記録室の奥へと足を進める。
地下深く、封じられた記憶を追いかけて――。
記録室を抜け、石畳の通路を慎重に進んでいく。壁には燭台が等間隔に設置されていたが、火は灯されておらず、フィンたちは携帯用の魔光石を頼りに歩を進めていた。
その淡い青白い光に照らされて、冷たい石壁が不気味に浮かび上がる。足音は小さく、だが確実に、広い地下の空間に反響していた。
「……こっちの通路、ほんとに使われてないんだな」
リナがぽつりと呟いた。床に散らばる砂埃や、壁の苔の付き方からして、しばらく人の出入りがなかったことが明らかだった。
「うん。聖域の中でも、記録区画とその奥って、特別に閉じられてるみたいだった」
そう応じるセリアの声には、少し硬さが混じっていた。
フィンは気づいていた。このあたりに入るのは、セリアにとって、決して気楽なことではないということを。
奴隷として使われていた頃、彼女がこうして誰かと並んで歩くことすら、許されなかった。地下に連れてこられるときは、いつも命令一つで、時に理由も告げられぬまま、怯えながら物陰を通ったはずだ。
「無理しなくていいよ。俺たちが先に見るから、セリアは――」
「大丈夫。……今は、もう違うから」
ぴしゃりと、しかし震えることなく返されたその言葉に、フィンはそれ以上何も言えなかった。
彼女の中には、誰にも知られない痛みと、それを越えて歩く強さがある。それを支えるのが、いまの彼の役割だと、そう思った。
やがて、通路の奥にひっそりと口を開けた小さな扉が現れた。
金属製の古びた扉には、幾つかの魔導印が彫り込まれていたが、今はすでに力を失っているのか、光ることはない。扉の隙間からは、かすかな湿り気を含んだ冷気が漏れていた。
「……ここだよ。たしか、掃除の途中でこの部屋に入ったとき、変な箱を見つけたの」
セリアが記憶をたどりながら言い、そっと扉に手をかけた。
ぎぃ、と古びた音を立てて扉が開く。部屋の中は薄暗く、ほこりが舞い上がった。
「……すごい、物置みたい」
リナが声を漏らした。
部屋の中には、古い家具や壊れかけた祭具、紙の束や木箱が雑然と積まれていた。中には剥がれた封蝋のついた文書箱もあり、かつては重要な用途があったことがうかがえる。
セリアは記憶をたどるように、部屋の奥を指さした。
「たしか、あの棚の下に……あったと思う」
三人で慎重に物を避けながら進むと、セリアの指差す場所に、まるで祭壇のように彫り込まれた箱が一つ置かれていた。鈍く黒光りする石材でできたそれは、見た目にもただの収納箱ではないことがわかる。
「これか……」
フィンがしゃがみ込み、そっと手を触れる。冷たい石の感触の中に、かすかな“反応”があった。指先に、ぴり、と微弱な魔力の刺激が走る。
「反応してる……何かが入ってるのかも」
箱の表面には、開閉機構らしきものは見当たらなかったが、中央にだけ、手のひら大の凹みが彫られていた。
「これ、もしかして……」
リナが手を伸ばしかけたとき、セリアが小さく首を振った。
「たぶん、フィンじゃなきゃ開かないと思う」
「なんで?」
「さっきの映像で、“選ばれし記憶の器”って名乗ってたでしょ? これ、たぶん、それに反応する仕組みになってると思う」
フィンは頷き、ゆっくりとその凹みに手のひらを当てた。
次の瞬間、箱が淡く光り出した。
深い青と紫が交じり合い、波のように表面を走る。音もなく、まるで眠っていたものが目覚めるように、封印がほどけていく。
ご、と小さく低い音を立てて、箱の上部がわずかに持ち上がった。
中にあったのは――球体だった。先ほど記録室で使われていたものと酷似した、透明な記録球。
だが、今度の球体は、内部に水滴のような液体を湛えていた。
それは、まるで“記憶”そのものが液化し、器に収められているかのような――そんな不思議な存在感を放っていた。
「これ……ただの映像じゃない……“生きてる”」
リナがぽつりと呟いた。フィンもまた、感じていた。
この球体は、さきほどのような単なる過去の再生装置ではない。“何か”を抱えている。それも、重く、深く、たしかに“自分へと届く何か”を。
「使える?」
リナの問いに、フィンは静かに頷いた。
「……うん。でも、ここじゃ危ないかも。広い場所に移して、ちゃんと構えてからじゃないと」
「じゃあ、戻ろっか。記録室まで」
「うん」
フィンは慎重にその球体を手に取り、布で包むように胸元に抱えた。思ったよりも冷たく、心臓の鼓動が伝わるような微細な震えを感じた。
「フィン」
セリアが、ふいに呼びかける。
「……もし、その中に、つらい記憶があったら――あたしも、ちゃんと見るから」
その目は、まっすぐだった。奴隷という立場を超えて、誰かの過去と向き合うことを、恐れていない瞳だった。
フィンは小さく笑って頷く。
「ありがとう。セリア」
記憶の球体を抱え、三人は再び静かな通路を戻りはじめた。
その背に、積み上げられた古文書と石の箱が、無言で佇んでいた。
――忘れられた過去が、いま、静かに目を覚まそうとしていた。
記録室に戻ると、外の喧騒が嘘のように静寂が満ちていた。
重厚な扉が閉められ、魔術的な遮断結界が張られているためか、外気も、音も、一切届かない。
リナが扉を見やりながら呟いた。
「……ここ、牢屋の一歩手前ね。音も匂いも全部遮断されてる。便利だけど、ちょっと怖い」
セリアは苦笑しつつも、「でも安全だよ」と小さく応じる。
フィンは机の上に、慎重にあの“記憶の球体”を置いた。
さきほどの球体とは異なり、これは**“液状の記憶”**を湛えている。中心部で揺らめく水滴は、どこか呼吸をしているようにも見えた。
「……始めるよ」
フィンが手をかざすと、球体が微かに脈打ち、静かな光が室内を包む。
パアァッ……と淡い青い輝きが広がり、まるで天井が消えたかのように、光の幕が現れた。
空間に投影されたのは――
神殿のような空間。だが、それは王都の宗教庁ではなかった。
黒曜石のような石材でできたアーチ状の天井、円形の祭壇、そしてその中心に佇む少女。
「……これって……」
セリアが息を飲む。
映像の中の少女は、まだ十歳にも満たないほどの年頃。白い布衣に身を包み、両手を胸に組み、目を閉じていた。
顔はぼんやりとしていたが、その輪郭や背丈は――かつてのセリアそのものだった。
「私……?」
セリアが思わず声を漏らした。
しかし、リナは即座に否定するように言った。
「違う。よく見て。あれ……セリアじゃない」
「え……?」
「似てるけど、違う。“作られた何か”よ。たぶん……」
映像は続く。
少女の周囲に、白装束の男たちが四人、黙々と何かを唱えている。天井から垂れる幾重もの魔術式が光を放ち、少女の頭上に集まっていた。
彼女の体は、まるで“封印の器”であるかのように、魔力を吸い込んでいく。
その光景を、映像の隅で見下ろしていた者がいた。
――一人の男。
白髪混じりの銀の長髪、冷たい灰色の瞳、そして胸元にきらめく記章。
「……あいつ」
リナが低く唸った。「王国宗教庁の上級祭官、“ハーゼル”……」
「リナ、知ってるのか?」
フィンが尋ねると、リナは頷いて言った。
「数年前まで第一級聖域の長をしてた男よ。突然退任して姿を消したって聞いてたけど……こんな場所で何を……?」
映像の中で、ハーゼルは静かに口を開いた。
『第二位階、精霊基盤の安定を確認。容器は予定通り反応を示している』
『よし、記憶転写の準備に移れ。“本体”はまだ眠っているが、影を焼きつけるだけで十分だ』
『……この程度で世界が揺らぐなどとは、実に滑稽だな』
彼の声には、一切の情がなかった。
ただ実験と観察だけが目的であるかのように、まるで“神の視点”を持つかのような、冷徹な響きだった。
そして、少女の身体が淡く光った次の瞬間――
映像が急に切り替わる。
水の流れる音。揺れる草。石造りの壁。
そこは、地下のどこか、封じられた泉のような場所だった。
映像の視点が移動する。誰かが、細い通路を抜けて泉へ向かっていた。
「これって……視点が……誰かの目?」
リナの言葉通り、その映像は誰かが実際に“歩いていた視点”から撮られているようだった。
足音、息遣い、そして時折カメラが揺れるような動きがあった。
やがて、水音が大きくなり、開けた空間にたどり着く。
そこには、石の祠と、青く澄んだ泉があった。
そして――祠の中に封じられていたのは、記録球と同じ球体。
だがそれは、まるで“心臓”のように、脈打っていた。
――ドクン。
室内の三人も、思わず息を止めた。
その鼓動が、映像越しにも、脳髄に響くような衝撃をもたらしていた。
その瞬間、フィンは“共鳴”を感じた。
背中に、喉に、心臓に――何かが入り込もうとしている。記録球を通じて、何かが“語りかけてきている”のだ。
(――お前は、誰だ?)
低い、だが明瞭な“問い”が、フィンの意識に直接響いた。
「フィン? どうしたの?」
セリアの声が現実に引き戻す。
気づけば、映像はもう停止していた。
記録球は静かに脈動をやめ、透明な水だけを湛えた球体へと戻っていた。
「……今、何かが……俺に話しかけてきた気がした」
「話しかけた?」
「うん。直接、心の中に。『お前は誰だ』って」
セリアとリナが顔を見合わせる。
「……記録じゃない。これは、“対話型”の球体だよ」
「対話型?」
「精霊とか、特殊な魔術の媒体に記憶を残すと、稀に起こるんだって。意志を持った“残像”が球体の中に定着して、問答形式で記録を呼び出すことがあるの。まるで魂の一部が器に残ってるみたいにね」
セリアの声には震えがあった。彼女自身も、その話を“ただの噂”としてしか聞いたことがなかったのだろう。
「じゃあ……これ、誰かの“魂の一部”?」
「たぶん、あの時、祠に封じられていた“本体”。それがこの球体の中に、かすかに残ってるんだよ」
リナが一歩前に出て、フィンの肩に手を置いた。
「答えてみなよ、フィン。あんたが誰なのか、きっとそれが鍵になる」
フィンは、ゆっくりと記録球に向き直った。
「俺の名前は、フィン。ホビットの村で生まれ育って……いまは旅の途中」
球体が再び、ゆっくりと光を放つ。
記憶の水面に、小さな波紋が広がっていった。
記録球の水面が、静かに波紋を描いた。
それと同時に――“あの声”が、再びフィンの意識の奥へと染み込むように届いてきた。
(……フィン、か)
今度は問いではなく、どこか懐かしむような、確かめるような響き。
周囲は静まり返っていた。セリアもリナも口を閉ざしたまま、フィンの様子をじっと見守っていた。
フィンは目を閉じ、息を整えると、ゆっくりと語り始めた。
「……俺は、ホビットの里で生まれたんだ。森と畑に囲まれた、小さな村で……本を読んで、働いて、穏やかに生きてた。でも……」
フィンの言葉が、少しだけ途切れた。
里は焼かれてはいない。誰かが死んだわけでもない。だが、それでも――彼にとっての“居場所”は、もうない。
「……俺は、追放された。理屈じゃない、“外の世界の空気”を吸った者は汚れる、って言われてさ。それっきり、帰れなくなった」
苦笑交じりの言葉に、セリアが顔を曇らせる。
「……ひどいよ、そんなの」
フィンは首を振った。
「でも、誰かを責めたいわけじゃない。きっと、あの村の人たちも必死だった。世界がどんどん変わっていく中で、不安だったんだと思う」
その言葉に呼応するように、記録球の水が淡く揺れた。
波紋は幾重にも重なりながら、ゆっくりと光を放つ。
(……言葉。想い。記録)
(――お前は、“語る者”か)
低く、響くような声が、再びフィンの心に触れた。
だが、今のフィンは迷わなかった。
「違う。語るだけじゃ足りないんだ。俺は、“伝える者”になりたい。過去の記憶も、今ある痛みも、未来の希望も、全部抱えて、前に進みたい」
その瞬間――記録球が強い輝きを放った。
風が吹いたかのように、部屋の空気が震えた。セリアが思わず肩をすくめ、リナが目を見開く。
まるで、“眠っていた何か”が、目覚めたかのようだった。
そして、映像が始まった。
先ほどとは明らかに違う。これは――記録球の“中”から見た視点だった。
水のゆらぎの中で、光が差し込む。白い天井、差し出された誰かの手。
『君に、この記録を託すよ』
それは、少年のようであり、老人のようでもある、不思議な声だった。
『この世界が、何度、同じ過ちを繰り返しても。誰かが、それを“記録”し、“伝え”、そして“つなげて”いけるのなら――希望は、きっと絶えない』
映像が、強い光に包まれ――そして、消えた。
再び戻ってきた記録室で、フィンは肩で息をしていた。膝に手をつき、額にはうっすらと汗がにじんでいる。
「フィン、大丈夫……?」
セリアがそっと近づき、心配そうに見上げた。
「……うん、平気。ちょっと、疲れただけだよ」
息を整えるフィンのそばで、リナが記録球を手に取る。
球体は、もはや“目覚めた存在”そのものだった。水は澄み切り、中心には回転する光の粒が、静かに軌道を描いていた。
「……やっぱり、これはただの記録球じゃない」
「じゃあ、何なの?」
セリアが首をかしげると、リナは迷わず答えた。
「“鍵”だよ。たぶんね、この記録球は、あの祠に封じられてた装置の中核部分……でも、それだけじゃない。さっきの共鳴で、きっと“次の場所”を示してる」
「次の場所……?」
「うん。地下にある“封じの区画”。聖精の泉のさらに奥……誰も近づかない、閉ざされた空間」
フィンはしばらく沈黙した。
だが、その瞳に浮かぶのは、恐れではなかった。
「……行こう。何があるのか分からなくても、俺は知りたいんだ。この世界に、何があったのか。俺が、何を受け継いでいくべきなのかを」
セリアが目を見開く。
「……フィン」
「大丈夫。俺は一人じゃない。セリアも、リナもいる。一緒にいてくれるだろ?」
「……もちろん!」
セリアが、ぱっと明るく笑った。
「何があっても、ついてくよ!」
「わたしもよ。どうせなら、最後まで見届けさせて」
リナも肩をすくめて微笑む。
三人は顔を見合わせ、そっと頷き合った。
そして、記録室の扉を開ける。
まだ朝の訪れには遠いが、その先に続く道には、確かな“希望の光”があった。
ご覧いただきありがとうございました!
ホビットの里での追放という“喪失”から、フィンはようやく「それでも前を向く理由」を掴み始めました。“全部失った”のではなく、“失ったと思っていた自分の声”を取り戻す回でもあります。
セリアの子供らしい優しさと、リナの大人びた知識が、今回もフィンの支えになってくれました。この三人の関係性が物語の中心にあることを、改めて強く感じます。
次回は、いよいよ地下の“封じの区画”へ。世界の深部に隠された記憶と対峙する旅が始まります。少しミステリー要素も増していきますので、どうぞお楽しみに!
感想・レビュー・ブクマ、とても励みになります。引き続き、応援よろしくお願いします!