113話:水面に映る“真実”
記録装置が映し出す“過去の記憶”――その真偽すら曖昧な中、フィンたちは見知らぬ“誰か”の人生に触れていくことになる。
そして、そこにはフィン自身の過去、あるいは忘れ去られた名前と深く関わる“契約の儀式”が映し出されていた。
水が記録するのは、過去だけではない。
未来をも照らす“可能性の光”であることを、彼らはまだ知らない――。
夜が深まり、王都の灯りは静かに薄れつつあった。
北門から続く商業通りはまだ喧噪を残していたが、南の古倉街――宗教庁に隣接する管理区画はすでに人の気配がほとんどない。
セリアはその暗がりに身を滑り込ませるように歩いていた。
足音一つ立てず、外套の裾を翻し、ひとつひとつの影の形を読み取って進む様は、まるで夜を歩く幻のようだった。
その後ろを、リナが少し不安げな顔で追う。
そしてさらにその背後を、変装用の布を頭からすっぽり被ったフィンが黙ってついていた。
三人の目指す先は、宗教庁地下――“記録映写室”と呼ばれる禁域だった。
「……ねぇ、セリア」
リナが小声で呼びかける。
「このルート、ほんとに安全なの? 前に見張りいたって言ってたけど……」
「“夜更けの交代直前”が唯一の空白。警備日誌を盗み見た限りでは、この時間だけは数分間、視線が交差しない」
「ほんっと……冷静よね、あんた」
リナが半ば呆れ、半ば感心したような口調で呟いた。
「まるで……最初から“潜入”のために生きてきたみたい」
「……そうだったかもしれないわ」
セリアは一瞬、足を止め、背中越しにリナを見返した。
「“逃げる”ことと“見つからないこと”が、私のすべてだった。
生き延びるためにね。見つかれば、罰されたり、物のように扱われたりした。
だから、どんな小さな空白も、私は“通れる道”に変えてきたの」
その声は静かで、悲しみをひけらかすものではなかった。
ただ、事実を語るような響きがあった。
リナは目を伏せた。
「……ごめん。軽く言っちゃった。あたし、あんたのこと……まだ全然知らないんだよね」
「いいのよ。知らないままでいいこともあるわ。私は“今ここにいる”ことを大切にしてる。それが、あの子――フィンがくれた時間だから」
セリアの視線が、ゆっくりとフィンの方へ向けられる。
彼は変わらず無言だったが、その肩がわずかに動いたのを、二人は見逃さなかった。
「おいおい、聞こえてたのかよ」
リナが呆れたように笑う。
「……フィンって、寝てる時も変だけど、起きてても変わってるよね。誰かのために命削るの、当たり前だと思ってるみたい」
「でも……そんな人だから、精霊に選ばれるのよ」
セリアは淡く笑った。
「彼は、自分の痛みに鈍いけど、他人の痛みにだけは、異常なほど敏感なのよ。
……本当は一番、誰かに守られるべき人なのに」
リナはその言葉を聞き、ふと歩みを止めた。
「……ねぇ、セリア」
「なに?」
「さっき、“フィンの隣で風を動かす者”って言ったよね。……あたし、本当に、そんな風になれてると思う?」
セリアは振り返り、リナの顔を見つめた。
火山帯を越える旅の中で、傷だらけになっても、諦めずに剣を振り続けた少女の瞳だった。
「ええ。あなたはもう、誰かの背中を追うだけの存在じゃない。
“契約者の剣に、風をまとわせる者”よ」
「……むず痒いセリフだなぁ、もう」
リナは顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
だが、その口元にはかすかに笑みが宿っていた。
「セリア」
今度はフィンが、静かに呼んだ。
「“記録映写室”って、どんなところなんだ?」
「……一言で言えば、“見えない過去を映す場所”よ。言葉で残されなかった記憶や、精霊の声を視覚化するために、かつて作られた場所。
でも、今は宗教庁の地下に移されて封印されてる」
「何が、映るんだろうな」
「水の精霊が宿るなら……“揺れる記憶”の映像よ。もしかすると、フィン自身の記憶にも触れるかもしれないわ」
「……そうか。覚悟、しとくよ」
三人の足音は、やがて石造りの地下道に吸い込まれていった。
不規則に並ぶ古びた石灯籠。苔むした通路。
風がないはずなのに、どこからか濡れた空気が頬を撫でていく。
その先にあるのは、“水の記憶”――そして、“フィンが忘れた過去”かもしれない。
王都の地下通路は、どこまでも静かだった。
セリアが記憶していた“下層通路”は、宗教庁の施設が拡張される以前の古い管理区域に属していたもので、現在は使われていない――はずの場所だった。
しかし、扉という扉には封蝋の痕があり、鉄製の格子窓にはうっすらと“結界符”の残滓がこびりついている。明らかに、最近誰かが出入りしていた形跡だった。
「……まだ誰か、出入りしてる可能性があるわね」
セリアが囁き、足音を殺して前方の曲がり角を覗く。
リナは即座に剣の柄へと指をかけ、無言で頷いた。
「つまり……油断するなってことね。了解」
その短いやり取りの後、フィンは壁の装飾へと手を伸ばした。乾いた石の質感。わずかに浮き彫りになった古代文字。そこには、崩された王家の紋章と見られる意匠が残されていた。
「“聖映の間”……。これが、記録映写室の正式名称らしい」
呟いたフィンの言葉に、リナが小さく眉を寄せた。
「へぇ、なんか……神殿みたいな名前ね」
「元々は、信仰儀式に使う“再現映像”のための部屋だったらしいわ」
そう言ってセリアは、懐から古びた銀の鍵を取り出す。
「これは昔……王都の研究区域で掃除をしていたとき、“落ちていた”のを拾ったもの。誰にも気づかれないよう、ずっと持っていたの」
リナが口元を緩める。
「……悪い子ね、セリア」
「ふふ、褒め言葉として受け取るわ」
セリアが静かに鍵を錠前へ差し込むと、くぐもった金属音とともに、分厚い石扉がわずかに揺れる。小さく舞った埃が、三人の顔をかすめた。
そして――その扉はゆっくりと開かれた。
「……っ!」
リナが思わず声を漏らす。
中に広がっていたのは、外観からは想像もできない、時間が凍ったような空間だった。石造りの天井には、黒曜石の幾何学文様が輝き、床には古語で記された記録文が整然と敷き詰められていた。
そして壁際には、“投影球”と呼ばれる半透明の球体がいくつも並んでいる。その数、十を超えていた。
「これ……全部、記録装置?」
リナが驚き混じりに訊くと、セリアは頷きながらひとつに手をかざす。
「この球体は、“魔素”によって記憶と共鳴することで、情景や音声を映し出すの。でも……今の私じゃ無理みたい」
彼女の指先が触れた球体は、ただ冷たく沈黙していた。
「フィン、あなたならできるかもしれない」
呼びかけに、フィンは静かに一歩前に出る。
「……やってみるよ」
彼が手をかざした瞬間、球体の内部にわずかな波紋が生まれた。
その揺らぎは、まるで水面を撫でる風のように柔らかく広がり――やがて、青い光がふわりと部屋全体に映し出された。
浮かび上がったのは、王都ではなかった。
緑豊かな水辺。苔むした石造りの祭壇。そこで、栗毛の髪を持つ少年が、水を張った鉢へと手をかざしていた。
「……これ、あんた?」
リナが息を呑む。
セリアも、震えるような声で囁いた。
「フィン……あなたの記憶?」
しかしフィンは、静かに首を振る。
「ちがう。これは――“誰かの目”から見た、俺。
……つまり、俺の記憶じゃなく、“第三者の記録”だ」
場面が変わった。
空は徐々に曇り、村は黒い霧に包まれていく。少年の姿も、次第に薄れてゆき――
最後に映し出されたのは、水面に浮かぶ“名前”だった。
それは文字でも、声でもなかった。
けれど、確かに“意味”を宿していた。
「……ル、ディ……?」
リナが読み上げかけたその瞬間、映像は淡く弾けて消えた。
球体の光も消え、再び重たい沈黙が部屋を包む。
フィンの顔には、うっすらと汗が浮かんでいた。
「……大丈夫?」
セリアが肩を支えると、フィンは力なく笑って頷く。
「うん、平気。……ただ、ちょっと思い出しかけただけ。
……“水の記憶”って、こんなに重いんだな」
リナは黙って彼を見つめていた。
その眼差しには、もはや“ただの旅人”としてのフィンは映っていない。確かに、何かを背負い始めた“王”としての姿があった。
ふと、セリアが壁の一角に指を当てる。
「……これ、見て」
そこには、ほんの数日以内に刻まれたであろう“刻印”があった。
「これは……最近、誰かがこの装置を使った証拠よ」
リナの目が鋭く細められる。
「つまり……誰かが、私たちの前にここに来てたってこと?」
セリアは小さく頷いた。
「ええ。そしてその“誰か”は、私たちがここに来ることも……分かっていたのかもしれない」
リナの手が剣にかかる。
「……罠ってことも、あるってわけね」
「あるいは、“道しるべ”かもしれない。
……水の精霊は、記憶を媒介にしか“呼びかけ”ができない存在だから」
室内に、静かな緊張が漂った。
そして――フィンが、低く呟いた。
「……俺、呼ばれてる気がするんだ。
あの水面の奥に……“もう一人の自分”がいる気がして」
その言葉に、誰も即答しなかった。
だが三人の胸の奥には、確かに同じものが芽生えていた。
――“水面の記憶”は、過去だけではない。
それは“未来への問いかけ”なのかもしれない、と。
静寂の中、記録装置の球体は青白い残光を宿したまま、再び沈黙していた。
誰もが言葉を失っていた。
先ほど映し出された映像には、確かに“フィンによく似た少年”の姿があった。だがそれは、明らかに彼とは異なる――何か得体の知れない重みを背負った存在だった。
「……あれは、俺じゃない。でも……どこかで“知っている”ような気がした」
フィンがぽつりと呟く。
その横顔には、確かに戸惑いと、記憶の底から浮かび上がるような微かな痛みがにじんでいた。
「感じたの。あれは……“誰かの記憶”として保存されたもの。でも、どうしてフィンに反応したのかしら?」
セリアの問いに、フィンは小さく息を吐いて答える。
「たぶん、“記録された視点の主”と俺の魔素の波長が近いからだと思う」
「血縁……とか?」
リナが首を傾げると、セリアは首を横に振った。
「魔素の波長は、血縁だけじゃ決まらない。育った環境や精霊との接触、使った魔法の系統……さまざまな要因で似通うこともあるの」
「じゃあ、見せられた映像は……誰かが体験した記憶?」
「その可能性が高いわ。でも問題は、“なぜここに、それが保存されていたのか”ってことよ」
セリアは壁を見上げながら続ける。
「この“聖映の間”は、宗教庁でも上層の限られた者しか知らない場所。そんな場所に、フィンに酷似した人物の記憶が残されていた……それは偶然じゃない」
「……つまり、誰かがフィンを“観測していた”?」
リナの表情が引き締まる。
「監視か、あるいは予兆か……いずれにせよ、意図的に“ここに”保存された記録だと考えるべきね」
セリアの言葉に、室内の空気が一層重くなったように感じられた。
「“水の記憶”は、精霊術の中でも特別な技術よ。水はすべてを映し、真実をそのまま刻む。だからこそ、歪められない“証拠”として古代から重宝されてきた」
「となると……精霊か、それに通じる誰かが関わってるのは間違いなさそうね」
リナが小さく唸るように言った。
「でも、そもそもこんな場所に“記録”を残せるって、相当な権限が必要なんじゃないの?」
「ええ。私たちでさえ、今回は特別な許可をもらってようやく入れたのよ。なのに、あの記録を残した人物は……明らかに何度も出入りしてる形跡がある」
「それって……けっこう危ない話じゃない?」
「ええ。“意図的に残された何か”がある以上、見逃すわけにはいかない」
フィンは黙って頷いた。
彼の脳裏には、映像の中の“あの少年”が深く焼き付いていた。
表情、仕草、空気の匂いまで――たしかに他人であるはずなのに、どこか懐かしかった。
「……なあ、フィン。あんた、ホビットの里でひとり暮らししてたんだよな?」
リナが問いかける。
フィンは小さくうなずいた。
「うん。俺の家は小高い丘の上で……ずっとひとりだった。家族については、よく覚えてない。ただ、あの暮らしが“始まり”じゃなかった気がしてる」
「じゃあ、あの映像の“少年”が……?」
「わからない。でも、俺と似た何かを抱えていた。あれは偶然じゃない」
セリアがそっと言葉を添える。
「もしかしたら、あなたは“誰かに守られていた”のかもしれないわ。記憶を封じられてでも、何かから遠ざけられていた可能性もある」
「守るために……記憶を?」
「ええ。私にも、“名前”を奪われた時期があるの。呼ばれない名前は、やがて忘れ去られる。だけど、どこかに“本当の自分”は残ってる」
セリアの目には、フィンと重なる過去の記憶が宿っていた。
「もし、“ルディ”という名前が本当にあなたのものだったとしても、それは過去の話。今ここにいる“フィン”こそが、あなた自身」
「ありがとう、セリア。でも……」
フィンは壁に残された古びた印に手を添える。
「それでも、知りたい。“俺が誰だったのか”。そして“これから何を選んで生きるべきか”を」
「……あんたなら、ちゃんと見つけられるわよ」
リナがぽん、と彼の背を叩いた。
「でもさ、最後の方で出てきた“ルディ”って名前……ちゃんと聞こえなかったけど?」
「“ルディアス”かもしれないし、“ルディアン”かもしれない。あるいは、もっと長い名前の一部かもしれないわね」
セリアは新たな記録球体の前に歩み寄ると、表面の埃を払った。
「この部屋の記録は、時系列ではなく“共鳴の強さ”で反応する仕組みなの。次に映るのが過去か未来か……それすら分からない」
「未来?」
フィンが目を見開くと、セリアは微笑んだ。
「水は、ときに“未来を映す”のよ。もちろん、確定された運命じゃなく、今この瞬間の“可能性”として、ね」
フィンは深く息を吸い、球体へと手を伸ばした。
「……もう少しだけ、この場所に付き合って。俺自身の“意味”を、確かめたいんだ」
彼の手が触れた瞬間、再び光が部屋に満ち始めた。
――静寂が、また一つの“記憶”を語り始める。
光が満ちるとともに、球体の中から新たな映像が浮かび上がった。
最初に現れたのは、水面だった。
薄暗い洞窟のような空間。天井から滴る雫が、ぽつり、ぽつりと静かに水面を揺らす。その水の中央に、一人の少年が立っていた。
長い外套をまとい、頭巾を深く被ったその姿には、はっきりとした顔は見えない。だが、その立ち姿、背格好、そしてわずかに揺れる銀髪が、フィンによく似ていた。
「また、あの子だ……」
リナが小声で呟く。
しかし、前回の映像とは雰囲気が違っていた。
静けさの中に、奇妙な“ざわめき”が混じっていたのだ。
それは風の音でも、水音でもない――記憶の断片、あるいは感情の残響のような、言葉にならない何かが空間を満たしていた。
《これは……試練の記録? それとも、儀式?》
セリアは目を細め、真剣なまなざしで映像を追っていた。
やがて、少年がゆっくりと両腕を広げる。
その掌から、淡い青の光がふわりと浮かび上がった。まるで水精霊と会話するような、穏やかな波動。それに呼応するように、足元の水が静かに波紋を描き、空間全体に広がっていく。
すると――
洞窟の奥から、影が現れた。
それは人の形をしていた。だが、顔は仮面で隠され、体は布で覆われている。声もなく、ただ無言のまま、少年に歩み寄っていく。
「誰……?」
リナの声に、フィンもまた息を呑んだ。
少年はひるむことなく、その影と向かい合った。そして、彼の口から言葉が発せられた。
「俺は“選ばれし記憶の器”……精霊の名において、ここに誓いを立てる」
その瞬間、空間が揺れた。
水面が跳ね、天井から滴る雫が急激に凍りついて落ちた。空気は張り詰め、まるで何か“契約”が結ばれたかのような緊張感に包まれる。
「契約……?」
セリアの瞳に鋭い光が走る。
「これはただの記録じゃない。儀式の映像よ……それも、“精霊と結ぶ正式な契約”」
その言葉に、フィンはごくりと唾を飲み込んだ。
映像の中で、少年の身体が淡い光に包まれていく。青、白、そして時折、紫のような色がちらついた。それは明らかに、通常の魔法とは異なる“深い契約”の証だった。
そして、仮面の人物が少年の額に手を当てると、その指先から小さな光の粒が弾けた。
「記憶の断章を――託す。おまえの未来に、残響が届くことを願って」
低く、どこか無機質な声が響いた。
次の瞬間、映像がふっと途切れた。
投影は止まり、再び球体は沈黙に戻った。
誰もすぐには口を開かなかった。室内には、あの映像の“余韻”だけが残っていた。
「……やっぱり、あの少年はフィンに似てる。でも、それ以上に……」
リナがぽつりと言葉を探す。
「……“同じ感情”を抱いてた気がするの。誰かの思いを、背負おうとしてた」
フィンは黙って頷いた。
「怖かった。でも、どこかで理解できた。あのときの彼が、何を考えていたのか、少しだけ……」
「記憶を託された?」
セリアの問いに、フィンは首を傾げた。
「それは……わからない。でも、“誰かが伝えたかったこと”があるって感じたんだ。俺に、見てほしかった……そんな気がする」
セリアは、しばし考え込んでいたが、やがてぽつりと漏らした。
「“選ばれし記憶の器”――そう名乗ったわよね。だとすれば、あれはただの映像じゃなく、“受け渡しの儀式”だった可能性があるわ」
「記憶を、受け渡す……?」
「ええ。精霊の中でも、水の属性に属する存在は、ときに“記録を媒介に記憶を宿す”ことがあるの。その際、特定の素質を持った人間に、“記憶そのもの”を継承させるのよ」
「じゃあ……俺の中に、あの少年の記憶が……?」
「あるかもしれない。もしくは、眠ったまま、鍵を探している状態かも」
セリアの言葉に、フィンはしばらく沈黙した。
そして、静かに呟く。
「……ルディ、って名前が最後に出たのも、偶然じゃない気がする。あれは、きっと“彼の名前”だった」
「つまり、フィンの“前の名”?」
リナが慎重に問いかけると、フィンは少しだけ目を伏せた。
「もしかしたら。でも、俺には今の名前しかない。だからこそ、知りたいんだ。あの記憶が、何を意味していたのか」
その言葉に、セリアとリナはそろって頷いた。
静かに、しかし強く。
そして、ふたたび球体に向かい合う三人。
彼らは知っている。これが始まりなのだと。
自分たちの中にある、“知らなかった真実”を知るための旅が――いま、確かに動き始めているのだと。
今回のエピソードでは、フィンに似た少年と仮面の人物による“精霊との契約”の記録が描かれました。
“選ばれし記憶の器”という言葉、そして“ルディ”という名の断片は、彼の正体に少しずつ輪郭を与え始めています。
まだ全てが繋がるには早すぎますが、少なくともこの“記憶の部屋”は、ただの記録庫ではなく、意志ある何者かが残した“メッセージ”の場であることが示されました。
次回、さらに明かされる“記憶”とは何か――そしてフィンは、自らの存在にどのような決意を固めていくのか。
ご期待ください。