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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

コスモスの押し花の温泉招待券

作者: 陸 なるみ

推理ジャンルです。ミステリーなのかサスペンスなのか、暗号なのかクイズなのか区別がつきません。


 大学の友人と作っている動画サイトがブレイクした。


 男2人で全国の露天風呂を訪ねてレポートするというだけのものだが、連れはイケメン、俺は体育会系、2人で湯に浸かる姿などをチラ見せしたら、どんどん「いいね」が付き、登録者が増えた。

 投げ銭太客は俺たちのBL展開を待っているとしか思えない。


 今日は広島の高原にある道の駅「温泉コスモス」に来ていた。宿泊はできないが食事には定評があり、銭湯の手軽さで露天風呂が楽しめる。

 風呂上りに地元の珍しい魚料理もレポートする予定。


「痛っ! 何だコレ!! うわっ、歩けねぇ!」

 先に露天風呂に足を浸した連れが、整った顔をひん曲げて飛び出した。


 けんけんで中の洗い場に戻ろうとするが、摺りガラスのドアの手前で蹲る。

 連れは何とか胡坐になって足の裏を確かめているが、俺は肩越しに様子を見ながら足の間の一物を睨みつけていた。


 そのうちに連れは激痛に堪えられず、右膝あたりを両手で押さえなが真っパでもんどり打ち出した。

 右足の裏はどんどん紫がかって腫れてくる。


「どうかしたんか?」

 大浴槽に浸かっていた地元のオジサンが摺りガラスを開けた。


「風呂ん中に何かあったみたいで踏んづけて」


 オジサンは連れの足の裏をじっと見ると「湯にカラコギ?」と呟いて、連れの足を、湯気の上がる温泉の、湯の取り入れ口に当てるよう指示した。


 流れ出る熱い湯が沁み、連れは「うぎゃああああーーー!」と叫ぶ。


 オジサンは動じもせずに露天風呂を見にいき、目を丸くする他の客たちには露天には入るなと告げ、温泉の管理人を呼びに行った。

 きっと地元の漁師か釣り好きだ。


 俺は連れの苦しみを眺めていた。

 アナフィラキシーショックは起こしそうにない。死にはしないだろう。


 最近連れがファンサービスと称して、行く先々で女に手を出すようになった。

 温泉宿にたむろし待ち構えるファンがいるのは確かだが、今時、タレントでも後々問題になるというのに。


「俺に会いに来た妹とファンの区別がつかなかったのがお前の運の尽きだ」


 今回連れをこの温泉におびき出したのは「入湯お食事招待券・2名様・Ref.No.π20」。


 コスモスの押し花を添え女の子らしい封筒に入れて、「俺の地元からなんだけど」と渡したら、簡単に「行く!」と言いやがった。


 さて、3.141が「温泉」、265が「憎し」、8979が「コスモス」だとしたら、俺が露天に沈めたものは何だったと思う?


 刺身も唐揚げも旨いんだぜ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 999字の中に謎解きや人間ドラマがギュッと凝縮されていて、とっても濃密で良いですね。 [一言] 地元の漁師さんか釣り人と思わしきおじさんが事態に気付いたという事を考えますに、浴槽には刺毒魚…
[良い点] 円周率だから取り敢えず円周率を検索して見てみましたが、それから全く分かりませんでした。 皆様の回答を見て、オコゼって何と自分の無知さに恥ずかしくなりました。 先程どんな魚なのか見てみたら、…
[良い点] すみません、完敗です^^; 他の方の感想欄を伺ったら、皆さん、ちゃんと推理されていて凄いですね! それにしても、わずか千字にこれだけの内容を凝縮する手腕、お見事です。
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