第一記 雑草と花
「――っ!」
右腕に激痛が走る。
今は地面に倒れこんでいるこの少女に、噛み切られそうになった右腕。
少女に飛びかかってこられた時、この右腕を噛まれた。噛み切られなくて済んだが――。
「……」
俺は足もとに倒れこんでいる少女を見下ろす。
少女はもう動くことはない。けどこれで良かったと思う。
もう痛みを感じることはない。これは『癒し』。
「これがお前の求めていた癒し。良かったな、癒しを受けることができたんだぞ」
もちろん少女が応えることはない。
「さあ、俺はもう帰るよ。この地に孤児がいないことが分ったし、もう用はないからな」
この荒地に孤児はいなかった。血を好む『黒い孤児』。
何処に居るんだろう。早く探して『白い孤児』と巡り合わせなければ。
そのために俺はこの地に立つ。そして『彼女』のためにも。
『彼女』のためにも。
「孤児はいたの」
目の前の、綺麗な赤い薔薇が絡まる玉座に座る主。この世で最も美しいであろう美貌をもち、黒を基調とした美しいドレスを身にまとい、黒い腰まで伸びる髪、そして闇色だが、奥に光を秘めている瞳。
彼女――レフィリアは使者の黒に近い灰色のジャケットを着、緑色の瞳の少年に問う。
「いや、あの荒地にはいませんでしたよ。――ただ、」
「・・・・・・何かしら」
「雑草の類の娘はいました」
少年の言葉にレフィリアは微笑む。
「そう、雑草が。
それで、その右腕は、雑草にやられたのね」
あとでまた続きを書きます、、
中途半端ですみません(>_<)