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想い


魔法学校卒業後


「結婚はまだなのか…フーク」

「はい、お父様。ソフィアは魔獣の勉強をするために新たに学校に通い始めるそうです。」

ソフィアが新たに学校生活をスタートさせたが、フークには親からかなりの圧をかけられていた。


ソフィアが結婚したいと、直接本人から言われるのを待っているんだ。

そのためならばいくらでも待てる。

フークの気持ちは変わらずいた。


――――――――――


あれからフークとの交流が増えていったある日、シェネル家に招かれ2人で話す機会ができた。


「ソフィア、今日は来てくれてありがとう」

「はい、こちらこそありがとうございます」

「また会えて嬉しいよ…」

「フーク様どうかしましたか?」

フークはいつものように笑って答えたつもりが、最近たくさん会うようになったソフィアには少しばかり見抜かれてしまった。

「え、いや、何もないですよ」

あれから2年長々と親からの圧を受けていたフークは少し心が曇り始めていた。


しばらく話したのち、シェネル家で食事をした頃、外の天気が荒れ出してしまった。


「大変です!ソフィア様今日お迎えに来る馬車が悪天候のため来られないそうです」

ソフィアの付き添いできていてメイドのマリーが伝えにきた。

「困ったわね…」

「部屋は空いているところありますし、泊まって行ったらどうですか?ソフィア」

「え、いいのですか?」

「構いませんよね、お父様」

フークはソフィアを一晩泊まらせることにした。


「それでは、こちらのお部屋をお使いください。もし何かありましたら何なりとお申し付けください」

シェネル家のメイドが案内をしてくれた。


「うわー、素敵なお部屋ねー。なんだかお泊まりってワクワクするわね」

「ソフィア様泊まらせていただいているのですから、お行儀よくしてくださいね。お母様からも恥のないようにと言われておりますから」

「あ、はーい…」


「おやすみなさい」

あっという間に寝る時間になり、ソフィアもベットに横になる。

外はまだ、強い風で草が揺れ、雨も降り雷も少し鳴り出していた。


「うーん、なんだか眠れないわね…場所が変わると寝にくいのもあるけど、外の音もかなり気になるのよね…ちょっとお手洗いにでも…」

隣のベットでマリーが寝ているので起こさないようにそっと出てお手洗いに向かった。

「…ん?まだあかりがついている部屋があるわ」

お手洗いまでの廊下を歩いていると、その奥の部屋の扉が少し空いていた。

ソフィアは気になり少し覗いてみると、そこはフークの部屋であった。

そこにいたフークはただソファーに座っていた。

そして、時折雷のチカチカとした光で照らし出される頬には少し涙が光って見えていた。

「え…フーク様泣いている?…」

少し驚いたソフィアは思わず扉に体が当たってしまった。

「誰かいるのか…」

いつもと違う低めの声で問いかけられる。

「あ…ごめんなさい。お手洗いに行こうとしたら迷子になっちゃって…」

咄嗟にソフィアは嘘をついた。

「ソフィアか…でも迷子は嘘だね」

「えっ、なんで…」

「だってお手洗いはソフィアがいた部屋からここより近いはずだよ」

「あ…」

咄嗟についた嘘は呆気なくバレてしまった。

「ごめんなさい、まさかフーク様がいると思ってなくて…」

「大丈夫だよ、こっちにくる…?」

フークに招かれソフィアが空いている隣に座る。

ソフィアはなんだかやけに緊張してしまい、黙ってしまった。

「ソフィアらしくないね、緊張してる?」

いつも見ていたフークは凛としているが、部屋着というのもあり、すぐ壊れてしまいそうなくらい優しい雰囲気だった。

「なんだかフーク様がいつもと違う感じがして…」

「そうだよね…なんか情けないところ見せてしまったな…」

フークは目を合わせずどこか遠いところを見つめていた。

「何かあったのですか…?」

ソフィアは意を決して聞いてみると、少し黙り込んだ後にフークはそっと話し始めた。

「ちょっと困ってしまったんだよね…」

「困った?」

「僕はソフィアが好きだ…だからソフィアがしたいこと、尊重している。ずっと待つ、そう決めた。でも父上はそれを望んでない…仕舞いには別の婚約者候補を合わせたがる。それを受け入れないならシェネル家は継がせないと…僕はやっぱり諦めなくては行けないのかな…」

「えっと…それは…」

自分が原因と知り何も言い返せなかった。

「本人の前で話す内容じゃなかった。すまない…忘れて」

「いいえ…私も関わるべき問題です。私が我儘なばかりにフーク様をこんなにも苦しめていたなんて気づくこともできなくて、ごめんなさい。フーク様は今まで私に無理矢理結婚を押し入ってきたり、卑怯なことは一切しなかった。その優しさに甘えてしまっていた。そして、会うたび笑顔でいつものように接してくれて…あれ…なんで。」

ソフィアが話し始めると目の前にいたフークの目から涙が溢れていた。

「あ、いや…これは…」

慌てるフークにソフィアは思わず抱き寄せた。

「何も恥ずかしいことではないです…今まで苦しめてごめんなさい。私もこれからはちゃんと前向きに考えます。そのために少し時間をいただけませんか…?」

「わかりました」

フークは弱々しい声だった。

「もう少しこのままでいてもいいですか…?」

珍しくフークはその弱々しい声でお願いをした。

「良いですよ」



「ありがとう…ソフィア」

「こちらこそありがとうございます。フーク様にもちゃんとこんな一面があったと安心しました。1人で抱え込まず、たまには私にも頼ってくださいね。それでは、おやすみなさい」

「おやすみなさい、ソフィア」

最後はお互い笑みを浮かべていた。


すっかり夜が開け天気も戻り早朝にソフィアは自宅へ帰った。

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